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== 女教師エリカ ==

女教師エリカ (8)マッサージ

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女教師エリカ 目次

女教師エリカ (8)マッサージ

「ひっ、ああ…、だ、だめえ…、感じちゃう…」
やっ、あ、ああっ…、はっ、ああ、どうして、こんなに、…。
保健室のベッドに横たわるエリカは、発情した女体をもてあましてもだえていた。孝輝の軽いタッチにさえ敏感な素肌は電流が流れたように波打ち、発情した女体は切なげによがっていた。

「せ、せんせい…、だいじょうぶ?」
感じちゃう、って…、すっげえっ、エロイぞ…、エリカ、興奮してるのか?…。
ナマ太もものしっとりした感触と甘えた声に若い劣情を煽られた孝輝は、フンフンとうわずった鼻息を鳴らししていた。生々しい女体に目がくらんだエロ高校生は、太ももに当てた手を滑らせてオマタに挟み込まれたスカートを徐々にズリ上げながら、うつろな視線を向けるエリカの様子をうかがっていた。

「あ、あんっ、スカート、めくっちゃ、だめえ…」
見られちゃう…、パンツ、はいてないのに…、だめえ、見ちゃあ、…。
スカートが段々ずり上がるのを感じたエリカは、感じすぎて力が入らない手をなんとか伸ばして、孝輝の手を押さえる。

「せんせい…、え?…」
うはあっ、触られちゃったよおっ…、へ…、おケケ?…、パンティ、はいてない?!…。
湿り気を帯びた柔らかい手に押さえられて天にも昇る気持ちだった孝輝は、引っ張られるままにスカートを足の付け根まで押し上げていた。パンチラを期待していたが、目に入ったのは地肌と薄い茂みだった。秘密の花園をモロに目撃した衝撃とオマタから湧き上がるオンナ臭さで頭がクラクラする。

「あんっ、お、お願い、孝輝君」
やあんっ、見えたあ?…、恥ずかしいよお、でも、変…、おかしくなっちゃう、…。
スカートをめくり上げられた恥ずかしさで力が入った手で、孝輝の手を一気に引いたエリカは、すぐ近くに来た少年の顔を悩ましげな表情で見つめていた。

「な、なんですか、せんせい…」
うわあっ、すっげー、エロだよ…、エロカワ200%全開だよっ、…。
間近に見るエリカはメスの本性をむき出しで、若い劣情にまみれた少年をメロメロにしていた。かすかに震えてプルプルの唇から漏れる悩ましげな声に、孝輝の股間はビンビンにふくれあがって早く出せと窮屈さを訴えていた。

「まっ、マッサージ、して…、お願い…、背中に乗って、足…、の付け根…」
もう、だめ、限界よおっ、お願い、エリカをイカせて、…。
生殺し状態でおかしくなりそうなエリカは、教師であることを忘れて孝輝の手でイカされることをおねだりした。エリカがうつぶせになってスカートを太ももの間に押し込んでお尻のワレメに押し込む。

「は?…、あ、はいっ、こうですか」
マッサージ?…、え、いいのかっ、うひいっ、いい気持ちっ…、はうっ、背中、いいっ、チンポがっ、…。
お尻にピッタリ張り付いたスカートがやたらとエッチに見えて、孝輝は鼻息を荒くしてくびれたウエストの両側に膝を突くと、スカートの上から両手でお尻を揉み出した。お尻の気持ちいい弾力に上機嫌のエロ高校生は、わざと股間を背骨あたりにこすり付けて息子の刺激も楽しんでいた。

「ああっ、そう、そこ、ああっ、いいっ」
はあっ、もっと、ああっ…、そこ、あんっ、触ってえ…、でも、言えない、…。
揉みくちゃにされるお尻に秘肉が引っ張られて、スキマから愛液が垂れる。ヒタヒタに濡れたそこを直接イジって欲しいが、それはどうしても言えなかった。

「はあ、せんせい、いいっ?…、はあ、うっ、うう…、はああっ」
はあっ、たまらんっ、いいっ、見えるっ…、うっ、あ、ああっ…、で、でた…。
形のいいお尻を揉みくちゃにする孝輝はバカ面を緩めながら、段々ずり上がるスソの下にある女体の神秘に妄想を逞しくていたが、突然息子がしびれる感じに慌てて股間を押さえたが、情けないうなり声を漏らすとパンツの中にザーメンをまき散らしていた。

「え、どうしたの?…、ああ、やあん…」
あんっ、あ、え?…、やだ、いっちゃうの?…、やだあっ…。
パンツの中で漏らしてしまった赤っ恥な早漏にいたたまれないエロ高校生は、脱兎のごとく逃げ出していた。一人残されたエリカはうずく女体をもてあまして、今にも泣き出しそうだった。

女教師エリカ (9) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 7話 涼子の休日(7)

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交渉人涼子2 7話 涼子の休日
(6)担任生徒はストーカー?

「で、最近どう?」
偶然会った女子高時代の後輩に、涼子が10代に戻ったような懐かしい気持ちで近況を聞く。

「普通に先生してます、ただ…」
「どうしたの?」
「涼子先輩、あれ…」
彩は大学卒業後母校で教員になっていたのは涼子も知っていたが、彼女の顔が曇ったのを見て心配して聞くと、伏し目がちに彩が目配せする。

「あれ?…、ウチの高校の娘?」
視線の先には母校の制服を着た美少女がこちらをうかがっていた。
「ええ…」
困り顔の彩が曖昧に応える。

「どうしたんですか?」
「そうね、お茶でもしましょうか?」
彩の顔色で何かのトラブルかと山田が口をはさむと、落ち着いて話を聞いた方が良さそうだと思った涼子がみんなに声をかけた。

「いいですね、愛、ケーキセットのおいしいお店、知ってますよ」
さっきまで涼子先輩を取られそうな危機感で戦々恐々の愛だったが、そんなことはあっさり忘れてケーキのことで頭をいっぱいの嬉しそうな顔でお薦めの店を紹介する。
「じゃあ、そこに行きましょう、チョット待ってね、精算してくるから」
お茶するのにこだわりはないので、愛の申し出に乗っかった涼子は茉莉の服の精算に向かった。
「あの、オレが…」
「いいわ、お父さんからカード預かってるから、茉莉の初立っち記念だって…、茉莉見ててね」
薄給の山田がやせ我慢して払おうとすると涼子はあっさり断った。涼子のキレイな後ろ姿を見ながら山田は内心ほっとしていた。

「まだ、いるわね」
愛のお薦めの店に入った涼子は、離れた席に座った制服美少女をすぐに見つけていた。
「彼女、私の担任の子なんですけど…」
そんなことは予想済みなのか、彼女を見ようともしない彩は小さくため息をついた。

「ミルフィーユがおいしいんですよ」
「じゃあ、オレもそれにする」
茉莉をあやす愛と山田は彩の相談などどうでも良さそうにケーキセットのケーキを選んでいた。
「茉莉ちゃんは、ママのオッパイでちゅね」
山田は持ってきていたほ乳びんを取り出すと、おいしそうに飲む茉莉にニコニコしていた。

「涼子さんは、どうします?…、あ、彩さんも」
元気にほ乳びんに吸い付く茉莉に上機嫌の山田が聞くと
「彩さん、どうする?」
「じゃあ、わたしも、同じので…」
「私も同じでいいわ」
涼子も彩もスイーツにこだわりはないのか、相談事でそんな余裕はないのか、みんな同じ注文になった。

「それで、彼女がどうしたの?」
ミニスカウェイトレスに注文すると、さっそく涼子は本題に入る。
「別に私に何かするってワケじゃないんですけど…、ストーカー、っていうか?…」
彩は真っ直ぐ見つめるキレイな顔に顔を伏せると、いいにくそうに答えた。
「ええっ、女子生徒がストーカーなんですか」
「声が大きい」
「すいません…」
愛の大げさな反応に涼子が切れ長の目でチラ見するとお気楽婦警は恐縮して、スクールガール風チェックミニのスソを引っ張って小さくなっていた。

「イタズラ電話とか、なにかされたんですか?」
奥さんの友人に対してと言うより、警官としての使命感で山田が口を挟む。
「手紙を貰ったことがあります…、つきあってくださいって…」
山田の事務的な態度に顔を伏せた彩は、心細そうに告白する。
「禁断の愛の園!?…」
「愛っ」
「ひいんっ…、ゴメンなさい…」
さっき注意されたばかりなのにまた露骨に反応する愛のあからさまなセリフに、涼子が厳しい視線を向けると愛はちいさくなって山田の後ろに隠れた。

「でも、そのくらいなら…」
女子校で上級生に下級生がラブレターを渡したりするのはよくあることで、涼子は下級生に限らず上級生や同級生から手紙を貰った経験が何度もあり、実は彩からも貰ったことがあった。ラブレターぐらいでそんなに深刻になる事でもなさそうだと思ったが
「はあ、そうなんですけど…、断ったら、学校の外でもついてくるようになって…」
彩は涼子に助けを求めるような、頼りなげな目を向けていた。

交渉人涼子2 7話(7) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 7話 涼子の休日(5)

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交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 7話 涼子の休日
(5)彩

「きゃあんっ、かわいいっ」
ベビー服売り場で愛は大はしゃぎだったが、かわいらしい服に自分の着ているモノの数倍の値札を見て、山田は怖じ気づいていた。

「耕太さん、こんなのどう?」
涼子は天使の衣装にふさわしいかわいらしい服を山田に見せる。
「あ、いいですねえっ、う…」
ボーダーのシャツにチェックのミニスカが快活なコギャル風で、それを着た茉莉を妄想した山田はいつものバカ面でニヤけたが、値札を見ていきなりオチていた。

「じゃあ、これにする」
「涼子さん、これなんかどうですか?」
…、あるんだ…。
自分よりずっと給料の安い山田の心細さなど関知せずに満足そうな涼子に、嬉しそうな愛が持ってきたのはメイド風ベビー服だった。
「茉莉ちゃん、愛とペアルックしようね」
いかにも愛っぽいチョイスだと思っていると、お気楽婦警はベビーカーをのぞき込んでスクールガール風ミニスカのおしりを危うくしながら、1歳児にコスプレをそそのかしていた。

「うん、いいね」
あまり乗り気でない涼子に対して山田は嬉しそうだった。かつてメイド喫茶の事件で涼子にオーダーメイドのメイド服を着せて、自分も執事コスをした山田は親子3人のコスプレを妄想して、至福の喜びに浸っていた。

「…、耕太さん」
インナーワールドに入り込んだ夫にジトッとした視線を向けた涼子は、呆れた声をかける。
「あ、いいじゃないですか、ねっ」
涼子の声に現実世界に引き戻された特殊性向の夫は、値札無視でゲットする気満々だった。

「あ、そうか、4人で、できますね」
妄想世界で遊ぶ山田からのテレパスで3人のメイドコス姿を頭に浮かべた愛は、自分も参加する気満々だった。
「あ、ああっ、あうっ」
ニコニコと天使の笑みを見せる茉莉に
「茉莉ちゃんも気に入ったみたいですよ」
愛は都合のいい解釈で赤ん坊まで味方に引き入れる。

「いいわ、わかりました」
3対1の劣勢に追い詰められた涼子は、こんなコトで争うのはバカバカしいので不承不承了解する。
「帰ったら、さっそく着てみましょう」
親子3人コスを妄想した山田は、だらしない笑顔でいっちゃった視線を虚空に泳がせて心底嬉しそうだった。

「あの…、涼子先輩ですか?」
その声に振り返るとスーツ姿の上品な若奥様風女性が立っていた。
「あれ?…、ひょっとして彩さん?…」
キレイな化粧の下の素顔を想像した涼子は、女子高時代の後輩を思い出した。
「やっぱり、涼子先輩だあっ」
涼子が思いだすのと同時に済ました笑顔が人なつっこい笑顔に変わって、抱きついてきた。

「あの、涼子さん?…」
見知らぬ女性にじゃれつかれて戸惑いがちの涼子に、山田が不安そうに声をかける。
私の、涼子先輩なのに…。
涼子の豊満な胸に顔を埋めていい女は自分だけだと勝手に思い込んでいる愛は、嫉妬混じりの視線を送っていた。

「あ、ごめんなさい、耕太さんですよね、披露宴で…」
涼子にさんざんジャレついて満足したのか、彩が居住まいを正して山田にキレイなお辞儀をする。
「『涼子先輩』に毎日お世話になっている、愛です」
まだ彩が山田に話している間に割って入った愛が、「先輩」を強調して挨拶する。

「あ…、そうですか…、初めまして、雙葉で涼子先輩の後輩だった白戸彩です」
対抗心ムキだしの愛にやや引き気味な彩は、姿勢を正すとまたもキレイなお辞儀で頭を下げて自己紹介した。その仕草はお嬢様女子校の上品な仕込みを想像させる。

「あ、そうだ、涼子さんのお友達の…」
披露宴でひときわ華やかなグループにいた彩を思いだした山田が、うれしそうなバカ面をさらすと
「おぼえてくれたんですね、うれしいです」
20代後半の人妻は、ウットリした笑いに大人の色気を漂わせていた。

「やあんっ、カワイイ赤ちゃん、涼子先輩そっくりですね」
ベビーカーをのぞき込んだ彩に、茉莉が紅葉のような手を差し出して天使の笑みを浮かべる。
「ありがと…」
偶然の出会いに戸惑いがちの涼子は笑顔で応えたが、鼻と耳は自分似を自負する山田と「涼子先輩」を取られそうな愛は、若干不満そうに見ていた。

交渉人涼子2 7話(6) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 7話 涼子の休日(4)

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交渉人涼子2 7話 涼子の休日
(4)おしめ

「はあ…、着きました」
慣れない外車に茉莉を乗せているのでいつもより慎重に運転した山田は、デパートの駐車場に車を停めてサイドブレーキを引くと、ホッとしてため息をついた。

「あ、あれっ、どうしちゃたの?…、いない、いない、バア…」
山田のその声を待っていたかのように茉莉がグズり出す。天使のような笑顔しか見て無かった愛がオロオロしていた。
「ウンチよ、おしめ替えないと」
対照的に冷静な涼子が替えのおしめを出すと
「あ、ウンチですか、よかった」
何がよかったのかよくわからないが、いつもの脳天気な笑顔に戻った愛は、ベビーシートから茉莉を抱いて後部座席でおしめを替えはじめた。

「くちゃい、くちゃい、でちゅね」
あら、手慣れてるわ、…。
お気楽婦警は思ったより慣れた手つきで乳児のおしめを替える。
「茉莉のウンチは臭くないよ、オレ、茉莉のウンチだったら、食べられるから」
愛のお気楽なセリフにいきなり振り返った山田が、親バカぶりを発揮して気色ばむ。

「…、それじゃ、変態ですよ」
さすがの愛も山田の親バカというより変質者じみた発言にドン引きして、怖じけた表情を見せる。
たしかに…。
このときばかりは涼子も愛と同意見で、山田に疎ましそうな視線を向けると、
「耕太さん、窓開けて」
320iの窓を開けるように言う。

「いいえ、開けません、茉莉のウンチは臭くありません」
普段は涼子に言いなりの山田が、このときばかりはなぜか意固地に逆らっていた。
「いいから、開けて」
夫の変態じみたこだわりにつきあうつもりのない涼子は、山田に抱きつくようにしてドアに手を伸ばすとすべてのウインドウを全開にした。

「だって、茉莉のウンチは、涼子さんのオッパイからできてるんですよ、オッパイは涼子さんの血と成分は同じなんですよ」
出産後も形のいいまま拡大を続ける胸を押しつけられた山田は、こわばった表情を緩めたが、それでも茉莉のウンチが臭くないことを熱弁する。母乳の成分が母親の血液と同じだと知ってから、山田は授乳する涼子を神聖化さえしていた。
「なるほど…、そうですね…、涼子さんの血液と同じですもんね…」
手早くおしめを替えた愛は意外にも山田の説明に納得して、天使の笑顔を再起動させた茉莉をあやしながら、ウンウンとうなずいていた。

「耕太さん、わかったわ…、でも私は、やっぱり臭い」
山田なりにこだわる理由はわかったが、ウンチはやっぱりウンチだと思った涼子はきっぱりと言い切った。
「そんな…」
母が愛児に自分の血を分け与える崇高な行為に対する、真摯な思いをあっさり否定された山田は、ガックリとうなだれていた。

「だけど涼子さん、プライベートだと『耕太さん』って呼ぶんですね」
使用済みおむつを汚物入れに入れた愛は、しおれる山田がかわいそうだと思ったのか、あるいは何考えてないのか、いきなり話を変えて公務中とは違う涼子をはやし立ててお気楽に笑う。
「え、へへっ…、そうなんだ」
そのセリフにたちまち立ち直った山田は、うれしそうな笑顔を見せた。

「行きましょ…、耕太さ…、あ…、トランク、開けて」
普段他人に見せない素顔を見られた気がした涼子は、急に恥ずかしくなって車から出た。ベビーカーを取り出そうとついまた山田を呼ぶと、気恥ずかしさにそっぽを向いていた。

交渉人涼子2 7話(5) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 7話 涼子の休日(3)

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交渉人涼子2 7話 涼子の休日
(3)お気楽婦警の闖入

「おはようございます、来ちゃいました」
ふたりの非番に合わせて自分も休暇を取った愛が、ニーハイの絶対領域を見せつける様にステップに片足を乗せた愛車のアドレスにまたがり、ニコニコ笑っていた。

せっかくの休みなのに、…。
最近の活躍で刑事見習いとしては認めているが、予測不能なこのC調娘が苦手な涼子は、後部座席で渋い表情を見せる。

「イヤ~んっ、カワユ~ス…、涼子さんそっくりですね」
ウィンドウをのぞき込んだ愛は、愛らしい笑顔を絶やさない茉莉に悲鳴のような嬉しそうな声を上げる。
「だろ…、でもオレにも似てるよね」
一人娘をほめられて嬉しい山田は、しかし鼻や耳なんかは自分似だと思っているので、ちょっと不満そうにツッコミを入れる。
「ええっ、ジャニーズ系ボーイズ顔の女の子になったら、かわいそうっ」
ニコニコ笑うお気楽婦警は、父親としてのよりどころを見事に打ち砕いて山田を黙らせた。

「ひょっとして、家族でお出掛けですか?」
いつもの見慣れたミニスカポリスの超マイクロミニ制服ではなく、スクールガール風私服の愛が涼子に話を振る。
「あなたは、これからアキバの劇場で踊るの?」
せっかくの家族の団らんを邪魔されてちょっと不機嫌な涼子が、AKB48に紛れ込んでも違和感のないファッションを皮肉ると
「ええっ、そんなにカワイイですか?…、やあん、恥ずかしいっ」
涼子の冷たい視線をモノともしないお気楽婦警は、チェックミニのスソをヒラヒラさせてあくまでも嬉しそうだった。

「うん、せっかく来てもらって悪いけど…、そうだ、一緒に行く?…、茉莉の服を買いに行くんだ」
涼子の不機嫌には敏感な山田は取りなすつもりで口を挟んだが、ついお人好しな性格が出て愛を誘っていた。
「ええっ、いいんですか、おじゃまじゃないですか?…、あ、そうだ、涼子さん、前に座って下さい、茉莉ちゃんは私が面倒みますから」
遠慮する口ぶりは最初だけで行く気満々の愛は、ふたりに恋人気分を味わってもらおうと気を使ったつもりで、涼子にナビシートに移るよう勧めていた。

「え、あ、悪いね、じゃあバイクはガレージに入れておいでよ」
「そこですね、ちょっと待ってて下さい」
山田は涼子に隣に座って貰う方がうれしいので、渡りに船とばかりに愛の同行を認めるとバイクを置いてくるように言う。
「耕太さん、早く出して」
「ええっ、ダメですよ…」
しかし休日までC調娘にかき回されるのはうんざりな涼子がワガママを言うと、山田はさすがに承伏しかねてたしなめる。

「スゴイですね、高そうな外車がもう1台ありました」
パタパタと楽しそうに走ってチェックのミニスソを揺らした愛が、後部座席をのぞき込んで涼子に交代を促す。
「ね、涼子さん、せっかくの休日ですから楽しくやりましょう」
空気を悪くしたくなくて気を回す山田に、涼子は氷の微笑で応えて愛と交替した。

「お二人の邪魔はしませんから、そうだ愛のことはベビーシッターだと思って下さい」
ちゃっかり後部座席に収まったお気楽婦警は、楽しそうにお気楽な笑いを浮かべて茉莉をあやしていた。
あなたの存在自体が、邪魔なのよ、…。
愛想笑いを浮かべる山田をチラ見した涼子は、切れ長の目でお人好しの夫をいまいましそうに見ていた。

交渉人涼子2 7話(4) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 7話 涼子の休日

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交渉人涼子2 7話 涼子の休日
(2)親バカ

「耕太さん、おはよう」
寝ぼけ眼でおりてきた山田に涼子が声をかけると、
「涼子さん、おはようございます」
バスローブ姿から漂う色気に昨日の夜を思い出したのか、いつものバカ面をさらしてうれしそうに笑っていた。

「耕太さん、見て、茉莉、パパよ」
茉莉を床に立たせた涼子が手を離すので、
「えっ…、あ、茉莉ちゃん…、こっちでちゅよ…」
慌てた山田は天使の笑みでよちよちと近寄ってくる愛娘にビックリして固まったが、すぐにひざまずいて大きく両手を広げ、
「おおっと…、茉莉ちゃん、立っちできるようになったんでちゅね」
嬉しそうな笑顔に倒れ込んでくる茉莉を受け止めると、高々と抱え上げて大喜びしていた。

「ビデオ、撮りましょう、お父さん、お母さん、ね」
愛らしい笑顔の茉莉の小さな手で鼻をイジられて喜色満面の山田が、記念すべき初立っちを記録しようと急かす。
「耕太さん、朝ご飯してからね、顔洗ってきて…、それにパジャマじゃ、恥ずかしいでしょ」
一人娘の成長を喜んでくれる山田に涼子は嬉しそうだったが、母の作ってくれたせっかくの朝食が冷めてしまうコトを言うと
「そうですね、すぐに顔洗ってきます」
大事そうに茉莉を涼子に渡した山田は、勇んで洗面所に向かった。

「茉莉ちゃん、おいちいでちゅか?…」
人肌に温め直したほ乳ビンをうれしそうに吸う茉莉に、バカ面を緩ませてニコニコ笑う山田は朝食をかき込んでいた。
「耕太さん、そんなに焦らなくても、茉莉は逃げないわよ」
頬にお弁当を付けた山田に、涼子はニッコリ笑ってキレイな指先でつまんで口に入れる。
「あ、えへへっ…、お母さん、おいしいです」
仕事だと厳しい上司だがプライベートは甲斐甲斐しい妻で、そんなツンデレっぽい涼子にデレデレした笑いを浮かべた山田は、優しい笑顔で見守る喜久恵に照れ隠しでお上手を言う。

「そう、たくさん食べてね」
お代わりのお茶碗を引き取る喜久恵は、快活な婿養子を本当の息子のように思っていた。
「耕太君は、たくさん食べるから気持ちがいいな」
元気な婿に2番目の孫を期待する泰造も、カラカラ笑った。
「はい、恐縮です」
リタイアしても大企業の部長クラスの威厳を漂わせる義父に、山田は頭が上がらない気がしていつも丁寧語で接していた。

「じゃあ、撮るわよ」
朝食をキレイに平らげて着替えた山田が、よちよち歩きの茉莉に付き添うのを、涼子はハンディカメラで撮影していた。
「涼子、撮ってやる」
泰造がビデオカメラを引き取って、一緒に写るように勧める。
「ありがと、お父さん」
よろよろと歩く茉莉に一喜一憂する山田と涼子を、泰造は慣れた手つきでカメラに収めた。きっとふたりが仕事に出ているとき、茉莉を撮りまくっているのだろう。

「やっぱり、茉莉はかわいいなあ」
初立っちの記念ビデオをさんざん撮りまくったあとは鑑賞会が始まった。テレビに大写しになる天使の笑顔に親バカぶりを発揮してデレデレする山田に、泰造は秘蔵するホントの初立っちビデオのことは黙っていた。

ふっふっ、私はキミの知らない茉莉を知ってる、…。
泰造は決して入り婿の山田を疎ましく想っているわけではないが、愛娘によく似た茉莉を自分の方がより愛していると密かに自負していた。

嬉しいハプニングで予定より遅れたが、涼子と山田は出掛ける準備をした。
「じゃあ、行ってきます」
ベビーカー兼用のベビーシートを後部座先にセットした320iのドライバーズシートに座った山田は、茉莉との別れをちょっと寂しそうに見送るオーナーの泰造に手を振ると、ガレージをゆっくりと出て行く。
「あれ?」
普段運転する覆面パトと同じ右ハンドルだがちょっと重めに感じて慎重にハンドルと切ると、見慣れたピンクヘルメットが近寄ってくるのを見た。

交渉人涼子2 7話(3) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 7話 涼子の休日

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交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 7話 涼子の休日
(1)記念すべき朝

「ああっ、ううん…」
カーテンのスキマから差す朝日に目を覚ました涼子は、ベッドの中で小さく伸びしてモデル並みの女体をくねらせると、温んだ空気に包まれる心地いいまどろみをしばし楽しんでいた。

「くすっ…」
耕太さん…、おはよう、…。
隣で高いびきをかく山田の横顔に昨夜の熱い愛の交歓を思いだした涼子は、幸せそうな笑みを浮かべてウットリ見つめ、しなやかな指先でたくましい胸板をなぞっていた。

「ふふっ…、はあ…」
ぐっすり寝てるわ、…。
指先の愛撫に目を覚ます様子のない夫を起こさないようにベッドから抜け出すと、寝覚めの女体に絡む生ぬるい空気を振り払うように、一糸まとわぬ姿で四肢を広げて大きく伸びをした。

カーテンのスキマから差す一筋の朝日が、ギリシア彫刻のような女体に陰影のコントラストをつけて、みずみずしい裸体がつくる悩ましげな曲線を際だたせていた。

非番で久しぶりにゆっくりできる涼子はどう過ごそうか考えながら、ガウンを羽織って座るとコットンで乳首を消毒してから搾乳機を胸に当てた。

茉莉は6ヶ月を過ぎてからいちおう離乳食をはじめたが、母乳の出がいい涼子は出なくなるまで授乳をやめないつもりだった。妊娠してから大きな美乳がさらに大きくなった涼子は、特別班に復帰してからも母乳パッドを常用していた。

「おはよう、お母さん、茉莉は?」
搾乳を終えた涼子がガウン一枚で階下に降りると、朝ご飯の用意をする母の喜久恵に声をかけて冷蔵庫にほ乳ビンを入れる。
「まだお父さんと寝てるわよ」
おみおつけの味見をしていた母は初孫がまだ夫といると告げる。涼子の結婚を機に希望して銀行を早期退職してドイツから帰国し、普段家にいることの多い父は、初孫を目に入れても痛くないほどかわいがり、夜も面倒を見てくれる。

特に今日のような休日の前の晩には、二人目の孫を期待する泰造は進んで茉莉の面倒を見たがった。

「おいしそう」
「なあに、そんなかっこうで、はしたない」
涼子がテーブルに並んだ朝食をつまむと、ガウンからこぼれそうなたわわな胸をチラ見した喜久恵が小言を漏らす。茉莉の母になっても娘っぽく甘える涼子に、喜久恵は苦笑したが嬉しそうだった。

「ごめん、シャワー浴びてくる」
ジットリした目で笑う母にガウンの前合わせを押さえた涼子は、そそくさとバスルームにむかう。

「はあっ」
ああ、気持ちいい、…。
夏の間は水でシャワーを浴びる涼子は、全身の火照りを奪って素肌を伝う水滴に小さく溜息を漏らす。経産婦になっても、というか独身時代よりスベスベして艶の良くなった肌の、柔らかい曲線を透明なツブがコロコロとなぞっていく。

「ああ…」
昨晩山田に愛撫された乳房に手を当てた涼子は、ツンと突き出た乳首に軽く触れると悩ましげな溜息を漏らす。

二人目か、…。
ゆっくりと手を下げて下腹に当てた涼子は、両親の期待する赤ちゃんが宿っていることを期待して、肌を打つ冷たい水滴の心地よさを感じながら、しばし幸せな気分に浸っていた。

授かり物だから、…。
二人目は男の子、山田によく似た元気な男児がいいな、などと考えながら、カランをひねった涼子は水滴を払ってバスルームを出た。

体を拭いてバスローブを羽織った涼子は、そろそろ泰造が起きてくる頃だと思って、溢れそうな胸元をきちんと合わせてからキッチンに向かう。

「お父さん、おはよう、茉莉、おはよう、ご機嫌ね」
茉莉を抱いた泰造はテーブルに置いた新聞を眺めていた。滅多にグズることのない天使のような笑顔の茉莉を、世界一カワイイ赤ちゃんだと思った。
「おう、おはよう…、今日はどこか行くのか」
風呂上がりで色っぽい愛娘の姿から恥ずかしそうに目をそらした父は、休日の予定を聞く。

「うん、茉莉もそろそろ立っちの時期だしね、服でも買いに行こうかって」
お母さんの笑顔にキャッキャとはしゃぐ茉莉を、泰造から受け取ろうとすると
「あ、あのな、涼子…」
竹を割ったような性格の父が珍しく言いよどんでいた。

「なに?」
珍しい父の態度に涼子が不審げに聞き返すと、おみおつけをよそっていた喜久恵もなんだか申し訳なさそうに涼子を見る。
「茉莉、ほら…」
どことなく後ろめたさを漂わせた父が、茉莉を床に立たせる。

「あうっ、あっ、ああっ」
ニコニコと笑う茉莉は、父の手を離れるとイスにつかまって伝い歩きして涼子に近寄っていく。
「茉莉…、立っちできるようになったの?!…」
我が子の成長をまざまざと見せつけられた涼子は、神の奇跡を見た信者のようにひざまずき、愛らしい笑みを絶やさない天使をやさしく抱きしめた。柔らかいホッペに寄せた頬に涙が伝う。

「茉莉、立っちできるようになったんだ…、だまってて悪かったな…」
涼子や山田より先に感動シーンに立ち会ってしまった父は、嬉しそうに細めた目から感極まって涙をこぼす娘に、申し訳なさそうにつぶやく。
「涼子、ごめんね…、最近忙しそうだったから、つい、言いそびれて…」
初立っちの感動シーンに立ち会ってしまった母も、娘の背中を優しくなでていた。

「いいの…、耕太さん、どうするかしら…」
涙をぬぐった涼子は山田の喜ぶ様を想像してニッコリ笑い、すくすくと育つ娘の笑顔に至福の喜びを感じていた。

交渉人涼子2 7話(2) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 6話 中年自殺未遂事件(6)

ろま中男3 作品リスト
交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 6話 中年自殺未遂事件
(6)切ない覚悟

「清水さん、もう、いいでしょ、やめましょう」
自殺しようとする父に母娘が心配するそぶりさえ見せず、赤の他人の愛が泣いて引き留めようとするのを見ていた涼子は、清水に落ち着いた声で話しかける。

「涼子さん、そんなんじゃ、ダメですっ、もっと心配してあげないと」
死のうとする清水を本心から心配して泣いているように見える愛が、冷静な涼子に意見する。
「いいのよ、清水さんは本気で死ぬつもりなんて、無いんだから」
泣きながら訴えるミニスカポリスに、美人刑事は端正な横顔に笑みを浮かべて応える。

「あの、美人な刑事さん、どういうコトですか?」
「うん、何言ってるか、わかんない」
一家の大黒柱が自殺しようとしてもほとんど取り乱さず、他人事のような家族は意味がわからずに不思議そうに聞く。

「ここはどこ?」
「わたしは、誰?…、えへっ」
「ん…」
「はいっ、ここは病院です」
涼子にいきなり話を振られた愛は慌てて涙をぬぐうと、「ここはどこ?」に続く下の句を応えてニコニコしていたが、涼子の冷たい視線を浴びて焦って質問に答える。

「病院の屋上から飛び降りて、自殺なんておかしいでしょ」
「あ、そうか…、病院だったら、飛び降りても、すぐに治療されて、助かっちゃうかも」

「清水さんが、他にも高いビルがあるのにわざわざ病院を選んだのは、死ぬつもりが無かったから」
「間違って落ちても、病院なら助かる可能性が高い、と思ったからよ」
緊張気味に答えた愛に小さくうなずいた涼子が狂言自殺である理由を説明すると、愛が納得したようにウンウンとうなずく。

「愛、自殺による保険金支払いについての免責は?」
涼子は清水が口にした自殺理由について愛に振った。

「あ、はいっ、商法第680条第1号で『被保険者ガ自殺、決闘其他ノ犯罪又ハ死刑ノ執行ニ因リテ死亡シタルトキ』保険金の支払いは免責されるとあり、この法律に従う限り自殺による保険金支払いの義務はありません」

「ただ保険会社は約款で自殺による免責期間を1~3年程度に設定しているため、免責期間後の自殺には保険金が支払われるという俗説が流布しています」

「しかし免責期間後の保険金支払い義務は、『精神障害や心神喪失中の場合』における自死に適用されるというのが基本的な考え方であり、保険金目当てという公序良俗に反する目的のために自殺した場合は、支払い義務はないという判例が過去何度も出ています」

見かけによらず法知識が豊富なミニスカポリスに、保険金が支払われない理由を説明させながら、涼子は切れ長の目で目配せした。

「あっ」
「もう、飛び降りできませんよ、涼子さん、確保しました」
清水が説明に気を取られている間に屋上のヘリを伝って接近した山田が、涼子の合図とともに飛びかかり清水を取り押さえた。


「誤解があったようですけど、清水さんが自殺しても、私たちは自殺が保険金目的だと証言しますから、保険金の支払いはありません」
警官たちに連れてこられてうなだれる清水に、涼子は諭すように話しかける。

「刑事さんが黙っててくれれば、保険金は下りるってこと?」
「じゃあ、刑事さん、黙ってて、お願い」
清水が確保されて自殺の心配が無くなった今でも、保険金に目がくらんだ母娘は家族の愛情のカケラさえ感じないタワゴトをほざいていた。

「涼子さん、私わかりました、清水さんは『ダメおやじ』だったんですね」
「愛ちゃん…、それって清水さんに失礼だよ」
狂言自殺説の理由がわかった愛が、昭和のアニメを持ち出してうれしそうにニコニコしていると、そんな昔のアニメなど知らない山田は、『ダメおやじ』が自殺を思いつめた中年を侮辱する言葉だと感じて、渋い顔でたしなめようとする。

「山田、いいから、愛、続けて」
「はいっ、ダメおやじはオニババに毎日イジメられてましたけど、ダメおやじはオニババを愛していたし、実はオニババもダメおやじを愛してたんです」
涼子が山田をさえぎると嬉しそうに笑った愛が説明する。山田はまだ意味がわからずに涼子と愛の顔を交互に見ていた。

「そうね、清水さんは家で妻と娘から虐げられていたけど、それはふがいない自分に対する励ましだと思っていた」
「本当は家族から愛されていると信じたかった、それを確かめるために狂言自殺を思いついたんですね」
続きを引き取った涼子は、清水の狂言自殺の真相を説明する。

「そうです…、すいませんでした」
うなだれて膝をついた清水は、絞り出すようにつぶやく。
「でも、リストラされた自分が自殺すれば、家族に保険金が残せると思ったのは本当です」
そして本気で死ぬつもりだったことも吐露した。
「家族に愛されていると、わかったら…、それに応えるためにも…、死ぬつもりでした」
肩を震わせてうなだれる清水は、コンクリートの地面にポタポタと涙の跡を作っていた。

「もうわかったでしょ…、それに自殺しても、保険金は下りないわ」
「あなたは自分の幸せを、もっと考えた方がいい」
リストラで追い詰められ、それでも家族の幸せを考えた中年男性の悲哀に、どうしようもない想いがこみあげてくる。しかしそれを顔に出さないように毅然とした態度を保った涼子は、清水が二度と自殺しようという考えを起こさないよう願って声をかけた。

死を賭した父の想いにうちのめされたのか、母娘は口をつぐんでうなだれていた。


「お父さんが寝たきりになっても、ちゃんと面倒見るからね」
家族全員が揃った夕餉の席で涼子は清水の父親としての悲痛な覚悟を思いだすと、茉莉をあやす泰造を優しく見つめた。
「…、たかいたかい、お父さんは寝たきりになるような、ヤワな鍛え方をしとらんぞ」
早期退職して悠々自適の父は愛娘のセリフに戸惑ったが、高々と持ち上げた初孫のカワイイ笑顔に相好を崩すと、腕まくりして力こぶを自慢していた。

「涼子さんには、オレのシモの世話をお願いします」
「耕太さん…」
涼子の折檻にびくともしない肉体を誇る入り婿は、泰造の言を借りればとても寝たきりになりそうにない。老後よりもっと近い今夜を妄想してニヤける山田に涼子は苦笑したが、泰造と喜久恵は二人目の孫を期待して、山田を頼もしそうに見て笑っていた。

交渉人涼子2 6話 中年自殺未遂事件 終わり
交渉人涼子2 7話(1) につづく
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┃ テーマ:自作長編官能恋愛小説 ━ ジャンル:アダルト

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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 6話 中年自殺未遂事件(5)

ろま中男3 作品リスト
交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 6話 中年自殺未遂事件
(5)清水の決意

「おとうさん、誰なの、この人」
美人刑事を愛人と勘違いしたそそっかしい妻は、誤解を解こうと切実な表情に冷や汗を垂らす夫に迫る。

「そうよ、おとうさん、こんな破廉恥な女まで、はべらせて、恥ずかしくないのっ」
高校生の娘もコスキャバ嬢にしか見えない愛を疎ましそうに見て、自殺を覚悟した憐れな父を責めたてる。

「だから違うんだよ、お父さんは、死のうとしているだけで、浮気なんかしてない」
どうやら清水は家庭内で女2対男1の肩身の狭い思いをして虐げられているようだ。状況を理解してない妻と娘は言いたい放題で清水を責める。

「何が違うの、おとうさんが自殺しようとしてるって聞いて来たら、こんなホステスみたいな女と」
ホステス…、へえ…、私って、そんな風に見えるんだ…。
男性からの視線に慣れている涼子だが、ホステス扱いされたのははじめてで、とりあえず清水は今すぐ飛び降りる気配がないので、女性からの感想に新鮮な思いを抱いていた。

「そうよ、こんなの援助交際にしか見えないわよ、こんな頭の軽そうなコスプレ女に入れあげるなんて、最低よ」
そうね、あなたは正しい…、お父さんは、入れあげてないけどね…。
母娘(おやこ)の攻撃は一向に止む気配がない。涼子は嵐が過ぎ去るのをまってしばらく静観していた。

「あの…、愛は援助交際でもなければ、レイヤーでもありませんよ」
涼子に突き飛ばされた愛はひなたぼっこするようにのんきに寝そべって、グラビアアイドルのように超マイクロミニの脚線美を取り巻く警官たちにさらしていたが、娘の辛口なセリフは聞き捨てならないのか、訂正しようと声をかける。
「うるさいわねっ、変態コスプレ女は引っ込んでてよ」
「変態、コスプレ女?…、ひどいっ」
父親から愛に攻撃の矛先を変えて毒を吐く娘に圧倒されたミニスカポリスは、マジ泣きかウソ泣きかわからないが、また両手で顔を覆って泣き出した。

「あの…、オレたち3人とも警察官です」
見かねた山田が警察手帳を出して娘に声をかけると
「えっ、あっ、そうだったんですね、えへへっ…、お母さん、この人たち、警察の人だって」
「え、そうなの…、あらっ、そうですか、スイマセン、勘違いしちゃって、ほほっ」
長身イケ面刑事のアイドル顔は母娘の癇癪をあっさり納めた。ヒダミニスカのナマ太ももの間に両手を押し込んでシナを作るセーラー服美少女に、負けじと母も愛想笑いを浮かべる。

「奥さんですね、自殺をやめるように説得して下さい」
落ち着いてやっと話が出来ると判断した涼子は、清水に自殺を思いとどまるように母娘に依頼する。
「ほほっ、ホステスさんじゃなかったんですね…、お父さん、自殺なんてやめて…、世間体が悪いわ」
美人刑事に頼まれた妻はごまかし笑いしながら、夫のことより近所づきあいを気にしていると
「そうよ、自殺なんかされたら、私たちがイジメてたみたいでしょ」
娘もまた父の命よりも自分の都合しか考えてないセリフを漏らす。これでは清水が自殺を思いとどまるとはとても思えなかった。

「悪いけどとうさんは死ぬ…、ふたりとも幸せに生きてくれ」
転落しそうになった動揺が収まって母娘の勘違いも解けた清水は、ふたりのしょっぱい説得はいつものことなので気にしてないのか、翻意の無いことを告げる。

「だから、清水さん、なんで死ぬの?」
変態コスプレ女の汚名返上とばかりにミニスカポリスがくちばしを挟む。それは母娘が来る前にした質問だった。
「そうよ、なんで死ぬの?」
「きっと、お小遣いが少ないからスネてるのよ、おかあさん、もう少しお小遣い上げてあげれば?」
死を決意するほど追い詰められた夫の気持ちを、真面目に考えるつもりなど全くなさそうな妻が愛と同じように聞くと、娘は見当外れな理由を持ち出す。

「ちがう、おとうさん、リストラされたんだ…、だから、死ぬ…」
ようやく本題に戻ってどことなく安心したような中年は、自殺の理由をつぶやく。

「そんな勝手な理由ダメよ」
「そうよ、残された私たちはどうなるのよ」
沈鬱な表情でつぶやいた清水に、母娘は真剣な表情で反対する。

あら、結構まとも、…。
コレまで緊張感のない発言を繰り返してきた母娘とは思えない真面目な様子に、涼子が感心すると
「残された私たちの生活はどうなるの」
「そうよ、私、来年受験なのよ、今更就職希望になんか、恥ずかしくて変えられないわ」
へ?…、おとうさんは、どうでもいいの?…。
母娘が心配していたのはうやっぱり自分のことだった。

「大丈夫だ、生命保険がおりるから…、美里が大学出るまでの費用なら、心配しなくていい…」
父が死のうとしているのにカネのことしか考えてない家族に、そんなことはハナから想定内なのか、特段落胆した様子を見せない清水は諭すように娘に話しかける。

「そうなの、じゃあ、いいか」
「でも、自殺だと、生命保険おりないんじゃ?」
「え、じゃあダメよ、おとうさん、死んじゃダメ」
「そうよ、自動車事故なら、確実よ」
沈鬱な表情で今にも飛び降りそうな父の前で、コトここに及んでもやっぱりカネのことしか考えない母娘に、
「自殺で保険がおりないのは、契約後1年間だけだ」
寂しそうな笑みを見せると背中を向けて、屋上のヘリから下をのぞき込む。

「だめえっ、死んじゃあっ」
それまで黙って母娘の話を聞いていたミニスカポリスが急にしゃしゃり出て、ポロポロ泣きながら清水を引き留めようとする。
「婦警さん、ありがとう…、でも、私は死にます…」
家族よりもよほど心配してくれる愛に、清水はちょっと救われたような笑顔を見せると、飛び降りようとして自分の死に場所になるはるか下の道路をのぞき込んだ。

交渉人涼子2 6話(6) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 6話 中年自殺未遂事件(4)

ろま中男3 作品リスト
交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 6話 中年自殺未遂事件
(4)家族の訴え

「ねえ、オジサン、どうして死にたいの?」
涼子が考え込んだのを見て自分の出番とばかりに愛がすかさず問いかける。先着した刑事から自殺理由はリストラだと聞いていたはずだが、愛は不思議そうな無垢な笑顔で聞く。

「うるさいっ、あっちいけっ」
先ほど足を滑らせて落ちかけた自殺志願者の清水は、まだ足がガクガク震えるのを振り払うかのように、ブリッ娘する婦警をいまいましそうに怒鳴りつける。

「愛、あっちいかない…、だって、オジサンを死なせたくないから」
えっ…。
涼子は愛の横顔を見てギョッとした。愛が泣いていたからだ。
えええっ、…。
どんなに凶悪で残虐な犯罪者の前に出ても脳天気な笑顔を絶やさず、悲しみの感情とは無縁と思っていたお気楽婦警がポロポロ涙を流していたからだ。

「オジサン、ひっ、死んじゃダメ…、奥さんや、子供さんが、ひっく…、悲しむよ…」
コイツは…、まったく…、ホントにわからん…。
超マイクロミニのスソをギュッと握って引っ張る愛は顔を伏せてマジ泣きし始めた。この泣き声が演技だとしたらコイツは天才詐欺師になれると涼子は舌を巻いていた。

「え…」
それは清水も同じのようで、さっきまでニコニコしていたコスキャバまがいの婦警が悲痛な嗚咽を漏らしてか細い肩を揺らすのを、ただ見つめて固まっていた。

「そうですよ、うっ…、オジサンが死んだら、悲しむ人が、ひっ…、いっぱい、います…」
愛の悲しげな泣き声にもらい泣きした山田がイケ面顔にダラダラ涙を流し、真剣な表情で問いかける。

まさか、以心伝心?…、この娘だけは、ホントに、予測不能だわ、…。
泣き落としの方針を決めた涼子は、まだ山田にもそれを伝えていなかった。涼子の気持ちなど全く関知しないはずの愛が泣き落としをはじめたことが偶然なのか、あるいは自分の意図を読まれてなのか全く判断がつかなかった。

「ね…、オジサン、死なないで、お願い…」
うつむいた顔をゆっくり上げた愛は下まぶたに涙を一杯溜めたウルウルした目でを見つめる。
「う…」
清水は女の涙に弱かった。少女のように泣く幼げな愛が一人娘の顔とダブるのか、よろよろと歩み寄って網フェンスに指を食い込ませると、すすり泣く婦警を感極まったように見つめた。

「そうですよ、娘さんが、ううっ、悲しみますよっ」
根が単純な山田は愛の沈鬱な泣き声にすっかり影響されて本気で悲しくなっていた。ボロボロ泣きながら大声を上げて訴えた。

こりゃ、いけるかも、…。
愛と山田がタッグを組んだ泣き落とし作戦はかなり効いているようだ。愛が本気かどうかはともかく、アイドル顔刑事の本気の男泣きは自殺の決意をかなりぐらつかせているように見えた。

「ね…、死んじゃ、ダメ…」
「あ、ああ…」
「お願い、こっち、来て…」
「オレも、お願いします、自殺なんてやめましょう」
「ああ…、うん…」
演技か本気かよくわからないミニスカポリスの涙の訴えプラス山田の男泣きに、かすかに目を潤ませてうなずいた清水は、自殺を思いとどまったように見えた。

「こっち来てくれたら、愛の…、見せて上げるから…」
ひとり置き去りにされた幼女のように泣きじゃくる愛は、ギュッと握ったミニスカのスソをいきなり持ちあげた。
「ああ…、えっ…」
泣きながらうなずいていた男性は、まくり上げられたミニスカとピンクのパンティを見て表情を凍らせると
「バカにすんなっ、死んでやる」
泣きながら怒り出して、今にも飛び降りそうな勢いで屋上の縁に立った。

「ちょっと、まって…」
へっ…、バカっ…。
オトボケ婦警の予測不能な行動に焦った涼子がマヌケなポーズを続ける愛を押しのけ、自殺を留まらせようと声をかけるのと同時に
「おとうさんっ、なにしてるのっ」
「えっ」
後ろから声がして清水が振り返った。

「きゃああっ」
「いやああっ、おとうさあんっ」
いきなり振り返ってバランスを崩した清水は足を絡ませて転んだ。視界から中年男性の姿が消えたのと同時に、黄色い悲鳴と年季の入った叫び声が響く。

「あっ、ああっ…、死ぬかと思った…」
運良くこちら側に倒れた清水はビックリしたように目を見開き、網フェンスに指を食い込ませて起き上がると、放心してつぶやいた。
「…、はあああっ」
転落という最悪の事態を想定して成り行きを見守っていた刑事たちも、緊張から解放されて安堵の溜息を漏らす。

「おとうさんっ、なにしてるのっ?…、この人誰っ?」
モデル並みの美人刑事を一瞥した生活感のにじんだ中年女性は、命拾いしてまだ放心したままの清水をにらみつけて険しい表情で詰め寄ると
「やだ、おとうさんっ、いやらしいっ」
セーラー服少女も、突き倒されたままマイクロミニをはだけさせてナマ太ももをみせつけるミニスカポリスをチラ見して清水をなじる。

「まて、違う、おまえたちは、勘違いしてる」
放心した顔から血の気が引いて怯える表情を見せた清水が、シワの刻まれた額に汗を垂れ流して懸命に弁解していた。ふたりは清水の妻と娘だった。

とりあえず、助かった、…。
ある意味絶望的な状況に追い詰められた清水だが、とりあえず今すぐ自殺する危険はなくなったと涼子はホッと胸をなで下ろしていた。

交渉人涼子2 6話(5) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 6話 中年自殺未遂事件(3)

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交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 6話 中年自殺未遂事件
(3)真面目な自殺志願者

さて、どうしたものかな、…。
自殺志願の中年男性は異様な興奮状態で危険な状態だ。2メートル以上ある網フェンスで簡単に手が出せず、取り押さえようというそぶりを見せたとたんに男性が飛び降りる恐れがあった。

凶悪犯罪人だったら多少手荒な扱いになっても、俊敏な涼子がいきなり飛びかかって取り押さえてしまえばいい。交渉人である涼子だが犯人逮捕の決め手はいつも力業だった。

しかしただの自殺志願なら刑法犯ではないし、いつもの乱暴な手段が使えないので、調子が違って涼子は手を出しかねていた。

「オジサン…、死んだら、もう、こんなカワイイ女の子、見られなくなるよ」
うかうかしている涼子を尻目にお色気担当婦警がしゃしゃり出た。
また、この娘は…、でも、どう出るか、とりあえず、見てみるか…。
いつものように勝手に先走る愛を切れ長の目でチラ見した涼子だが、彼が愛の安っぽい色気に乗っかってくれればそれでもいいと突き放して様子見することにした。

「どお、ココ、見たくない?」
お気楽ミニスカポリスは取り囲む警官たちに恥じる様子もなく、超マイクロミニのスソに指を這わせてズリ上げるそぶりを見せる。
もったいぶるな、パッと、いっちゃえ、…。
セクシーポーズのつもりなのか、つま先から足を突き出してナマ太ももを強調する愛がシナを作ってフェンスの向こうの中年男性にウインクする。涼子は心の中でスケベオヤジのようにはやし立てて、成り行きを見守っていた。

ザ・ミニスカポリスの評判を知っている刑事や制服警官たちは、愛にイヤらしい視線を絡めて鼻の下を伸ばしていたが
「ふっ、ふざけるなっ、バカにするも、いいかげんにしろっ」
「ひっ、きゃんっ」
死ぬ覚悟を決めた人間は愛程度のガキの色気にはなびかなかった。大声で怒鳴りつけられた愛は腰を抜かして中年男性にM字開脚を披露したが、ガキのションベン臭い下穿きにはやっぱり目もくれない。

「ここは、涼子さんの出番ですね」
いつからいたのかまだ心持ち腰を引いた山田が、涼子のセクシーポーズというご褒美を期待する忠犬のように後ろで笑っていた。
「だったら、おまえが行け」
また変な事、考えてる…、あなたが行きなさいっ…。
茉莉というカワイイベイビーまでいる愛妻に人前で恥ずかしいマネをさせる妄想をして、だらしなく顔を緩めるスケベな夫を横目でチラ見した涼子は、プチ癇癪を起こして脚線美でキレイな弧を描くとみっともなく腰を引いた山田のケツを蹴り上げた。

「ひいっ…、あっ、あの…、死んじゃ、いけません」
笹野に痛めつけられたお尻の中心をまた涼子に攻められた山田は、お尻を押さえながらたたらを踏んでフェンスに寄りかかると、泣き出しそうな半ベソの顔で中年男性に訴えかけた。

「うっ…、うるさいっ、オレは死ぬんだ」
お尻の激痛のせいで半ベソになっているのだが、中年男性は意外と涙もろいようで情けない顔を見せるアイドル顔のイケ面刑事の涙に一瞬躊躇してから拒絶した。

泣き落としか、…。
山田の方が少しでも中年男性の気を引いていることに不満な愛が、つまらなさそうに横で超マイクロミニのスソをチラチラさせるのを無視した涼子は、浪花節の泣き落としで説得する作戦を考える。

「名前を聞いてもいいですか」
方針の決まった涼子が真面目な顔で近寄り、興奮して荒い吐息にまみれた中年男性をジッと見つめた。もちろん名前はさっきの刑事が調査済みだが直接聞くのが交渉の第一歩だった。
「うっ、うるさい、関係ないヤツは、引っ込んでろ」
美人刑事の真っ直ぐ見つめる目ヂカラに気圧される気がした中年男性は、心持ち顔を伏せて怒鳴り返す。

「きゃっ、あぶない」
興奮した男性の足下が崩れ落ちそうになって不満そうに見ていた愛が黄色い悲鳴を上げる。幸い男性は何とか踏みとどまっていた。遠巻きにする刑事たちも固唾を飲んで緊張したが、一様に安心したようなため息をつく。

「あなたの身元がわからないと、あなたが死んだあとで調査しなければなりません、自殺するだけでも迷惑なんですから、よけいな手間を省くべきでしょう」
落ちそうになって改めて20メートル以上はある落下点をのぞき込んでハアハアと興奮した吐息を響かせる中年に、涼子は突き放したような一見冷たい言葉を投げかける。

「う…、清水だ…、もう、いいだろ、死ぬから、あっちに行ってくれ」
50歳前後に見える男性はきっと地道で真面目な人生を送ってきたに違いない。そういう人間にとって誰かに迷惑をかけることは他人が思う以上に後ろめたさがある。涼子のセリフに過敏に反応した男はあっさり名前を教えた。

「清水さん、そんなところにいたら、話が出来ません、こっちに来ませんか」
名前を聞き出すことで交渉相手との意思の疎通ができた涼子は、神妙な面持ちで呼び寄せようとする。
「うっ、うるさいっ、死なせてくれっ」
屋上のフチに立つ中年の足はガクガク震えていた。ちょっとしたきっかけで足を踏み外すかも知れない。自殺の決意が固い中年男性は涼子の声を無視して、飛び降りるきっかけを測っていた。

どうしたものかな、…。
とりつく島のない中年に振り出しに戻った気分の涼子は小さく息を吐いて、次の手を考えあぐねていた。

交渉人涼子2 6話(4) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 6話 中年自殺未遂事件(3)

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交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 6話 中年自殺未遂事件
(2)事件発生

「涼子、事件だ」
美人刑事の容赦ない急所蹴りに恐れをなして課長席に戻った佐々木は、事件の一報を受けて受話器を置くと、意識して威厳のこもった声を作って涼子を呼んだ。

「はいっ」
その声に気合いの入った返事をした涼子は、まだすがりついて泣きマネをしていた愛を突き放すと、ヒールの音を響かせて課長席に向かう。
「きゃんっ」
ぞんざいに扱われたお気楽婦警は、床に尻もちをついて超マイクロミニの脚線美を頼りなく広げ、いまだに床に転がる笹野と山田にサービスしていた。

「自殺志願者だ、ビルの屋上から飛び降りようとしている」
「場所は?」
「○○病院だ、おまえもよく知ってるだろ」
佐々木の告げた病院は涼子や山田が刺されて入院した病院で、涼子はそこで出産もしていた。

「行くぞ、山田」
「はいっ」
…、アンタは、呼んでないって、…。
涼子はハイヒールをバイク用のブーツに履き替え、まだ床で伸びている山田に声をかける。しかし返事をしたのはニコニコと嬉しそうな愛だった。

「はっ、行き、ます…」
よろよろと起き上がったアイドル顔のイケ面刑事はお尻を押さえたみっともないへっぴり腰で、使い物になりそうになかった。
「…、あとから、来い」
しょうがない、…。
山田をあっさりあきらめた涼子は特別班を飛び出して、駐車場に向かう。

「今日こそ、負けませんよ」
涼子の後を追うお気楽ミニスカポリスは、またしても愛車のAddress V125Gで涼子の逆輸入純正レーサーレプリカに勝負を挑む。
「…、ついておいで」
今日もチギッて、あげる…。
静かに震動する銀色の車体にまたがった涼子は、ピンクヘルメットをかぶってニコニコする愛をチラ見すると、ギアをローに入れて駐車場を飛び出す。

「あっ、やんっ、いじわるっ」
乾燥重量162キロの車体は130馬力近いマックスパワーで、はじき出されるように公道に出るとすぐに小さくなった。いきなり置いてきぼりを喰らった愛は懸命にアクセルにしがみついて後を追う。

かつて刺されて意識のない山田を乗せて来た病院だが、今日は山田という重しがないのでその時以下の時間で到着した。涼子は騒然とするロビーで男たちからのイヤらしい視線を受け流して通り抜けた。
「ご苦労様です、現場はこちらです」
規制線に立つ制服警官が美人刑事のセクシーなミニスカ姿を認めて、だらしなく顔を緩めながら敬礼する。

「やあんっ、先輩待って」
規制線をくぐろうと中腰になる涼子のセクシーポーズを見逃すまいとする制服警官が、イヤらしい緯線を向けていると愛も到着した。
「ご苦労様ですっ」
愛のミニスカポリスぶりはこの警官も当然知っていて、立て続けの眼福にますます表情を緩め、ニコニコ敬礼する愛がしゃがんで規制線をくぐるお尻をのぞき込む。
「きゃっ、やあんっ」
超マイクロミニのお尻を押さえた愛だったが、天然かあるいはサービスのつもりか、つまずいて四つん這いになり、パンチラゲットした警官を喜ばせた。

屋上にはフェンスの向こう中年が立っていて、遠巻きにする私服刑事や制服警官がなにやら声をかけている。
「ご苦労様です」
一番年嵩そうな中年刑事に声をかけると
「あっ、さっそく頼みます」
涼子に見覚えはなかったが、中年刑事は涼子を知っているようであっさりバトンを渡す。

「対象者の状況は?」
相手は犯罪者ではないので手荒なことは出来ない。とりあえず自殺しようとする理由を聞く。
「マルタイはリストラに悲観して、自殺を思い立ったようですね」
涼子の階級は警部補であるいはそれより下なのか、涼子よりも一回り以上も年上に見える刑事は丁寧語で応える。

「家族は?」
「既婚です、子供が2人、高校生の娘です、奥さんにはこちらに向かってもらってます」
中年刑事は相変わらず丁寧な口調で、入手済みの情報をありのまま応えた。

「借金でもあるんですか?」
そこへ愛が黄色いくちばしをツッコンで、興味津々な感じの寄り目で聞く。
「それはまだわかってない」
新米婦警の階級章を見た刑事は、強気な口調になって応えた。

「とりあえず、話してみましょう」
お気楽婦警に混ぜ返されるのを避けたい涼子は、フェンスのむこうにいる中年に向かってツカツカと歩み寄り、愛も嬉しそうに付いていく。

「え…、くっ、くるなっ、それ以上来たら、飛び降りるぞっ」
真っ直ぐに向かってくるナイスバディの美人に見とれた男性は、後ろをついてくるミニスカポリスにキャバクラ嬢かホステスと勘違いしたが、涼子の真面目な顔にマヌケな連想を振り払うと、口からツバを飛ばしてわめき、牽制した。

交渉人涼子2 6話(3) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 6話 中年自殺未遂事件(1)

ろま中男3 作品リスト
交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 6話 中年自殺未遂事件
(1)コント特別班

彼はじっと待っていた。息を殺して気配を消した彼は獲物が目の前に現れるのを待って、すでに小一時間そこにいた。

来た、…。
獲物は彼の存在など全く意識せず、無警戒に接近してくる。
ひひっ…、のんきに歩いてるな、…。
獲物が射程距離に入ってくるのを固唾を飲んで待つ彼は、美しい肢体が歩を進める優雅な姿に見惚れて小さくため息を漏らす。

いまだっ、…。
しなやかな曲線を描く脚線美が視界一杯に広がった瞬間、アドレナリンを大量に分泌させた彼は、老いたといえどもヒヨッコどもにはまだ遅れを取るつもりのない肉体を俊敏に踊らせて獲物に飛びかかった。

「あっ、やんっ」
死んだように机に突っ伏していた笹野がいきなり抱きついてきたが、
「笹野さんっ、…」
涼子はあっさりかわすとしなやかな身のこなしで反撃の間合いを取る。絶好の機会を逃して床に這いつくばったまま手出ししない老人に、敏腕美人刑事は切れ長の目のハシで冷たい視線を送っていた。

「いいじゃねえか、ちょっとぐらい…、いいケツしやがって」
獲物を逃したお触りハンターはローアングルから涼子の脚線美に視線をたどらせて、濃厚な色香を漂わせるヒップに視線を絡めていた。

「や~いだっ、エロジジイ」
超マイクロミニがすっかり定着して、別館の制服警官だけでなく所轄署の警官たちからもザ・ミニスカポリスの称号を頂く愛は、のぞかれないようにお尻を押さえると床にふてくされて寝そべる笹野を見下ろして楽しそうに笑っていた。

「私が結婚したら、やめる約束でしたよね」
イスに座りムッチリした太ももを重ねて足を組んだ涼子が呆れたように声をかける。
「…、老い先短い老人の…、たった一つの楽しみまで、奪うのか…」
ゆっくりと起き上がった笹野はわざとらしく咳き込んでか弱い老人を演じながら、憐れみを誘う表情で涼子の艶やかな女体に視線を絡ませる。

「そんなこと言ってもダメですよ」
そこに山田が加わって下手な芝居を続ける笹野をにらみつける。
「なにっ、涼子をっ、このケツを独り占めしやがって、ゆるせんっ」
大先輩である笹野はヒヨッコの生意気な物言いに突然怒り出し、山田の尻を思いっきり蹴り上げる。
「ぐっ…」
涼子のソコを攻めたことはあっても攻められたことのない山田は、百年殺しの激痛に等しい苦しみにもだえてあっけなくその場に崩れ落ちた。

「笹野さん、何するんですかっ」
当たり所が悪ければ不能になるかも知れない場所への攻撃に顔色を変えた涼子は、癇癪を起こす老人に気色ばむ。
「コイツがダメになったら、オレが相手してやるよ」
全く反省の色がない不良老人は口から泡を吹く山田を愉快そうに見下ろし、憤然としてにらみつける涼子を小バカにするように、しわくちゃの顔をゆがめて美人刑事のカラダを視姦していた。

「もう、許さないっ、愛、ヤッテおしまい」
不良老人のタチの悪いおふざけだとわかっている涼子は、お色気担当婦警にドロンジョばりの口調で命令する。
「アラホラサッサー」
尊敬する先輩の命令にまじめに応えた愛は額の横で手のひらをくるくる回して敬礼すると、超マイクロミニのナマ足を振り回してキック攻撃を繰り出す。

「そんなモン、ワシが喰らうかっ、悪い子はこうだっ」
気合いの入らないヘロヘロキックをあっさり受けた笹野はスベスベした太ももを抱えると
「やっ、やんっ、エッチ、スケベっ、やだあっ」
背後に回り込んでシャツの上から胸をわしづかみにし、お尻に股間を密着させて前後運動を始める。老人のおふざけとはいえ、大胆すぎるセクハラにさすがの愛も本気で嫌がっていた。

「笹野さん、いい加減にしないと、逮捕するよ」
若くてカワイイ婦警に思う存分セクハラする老刑事を半ばうらやましそうに見ていた捜査一課特別班の佐々木課長が、軽犯罪行為に警告した。
「前からどうだ?…、ほら、楽しいぞっ」
ウッシッシッと巨泉笑いするエロジジイは、後輩である上司に前からセクハラしろとそそのかす。

「いい加減に、しなさいっ」
エロ笑いして気を抜いた笹野の後に回り込んだ凉子は、セクハラ大魔神に変貌して女性の敵となった大先輩刑事の急所を山田のお返しとばかりに後ろから蹴り上げた。
「ぐっ…、りょ、涼子…」
ハイヒールの先端が思いっきりケツのワレメに食い込んだ。歯を食いしばってしわくちゃの顔を緊張させてアブラ汗を垂れ流した笹野は、悶絶した山田に折り重なるように倒れて老醜な屍をさらす。

「ああんっ、涼子さんっ、愛、もう、世界一カワイイ幸せなお嫁さんに、なれないっ」
ようやくスケベジジイの魔の手から逃れた愛は、床に転がった笹野から超マイクロミニの中をのぞかれているとも知らずに涼子に抱きついて泣きついた。

「そうか…、かわいそうにな」
抱きついてくる愛を受け止めて背中をなでる涼子は、世界一のお嫁さんは自分だと思っているので、だらしなく横たわる山田をチラ見して小さくため息をつき、おざなりなセリフで慰めた。

交渉人涼子2 6話(2) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 5話 無差別殺傷事件(8)

ろま中男3 作品リスト
交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 5話 無差別殺傷事件
(8)オレと…

「立て…」
犯人を抑え込んで後ろ手に手錠をかけた山田に、涼子が冷たい視線を向ける。

「バカども、だと…」
手錠で拘束された犯人が向けるふてぶてしく憎々しげな眼光で、バカ扱いされて無差別に凶刃を突き立てられた犠牲者の恐怖や苦痛の叫びが生々しく鼓膜に響き、脳裏に戦場のような陰惨な犯行現場が蘇る。

美人刑事の美しい肢体が怒りで瞬間沸騰し、黒髪ロングヘアの先まで激高してなびく。

「ふざけるなっ」
小バカにしたような視線を向ける犯人を、涼子は怒りに燃えた瞳で真っ向からにらみつけて一喝する。

「おまえのどこがエリートだっ、おまえは人間以下の虫ケラだっ」
「ぐえっ」
山田に引き上げられた犯人のみぞおちにロングブーツのヒザが食い込む。詰め物をされた口から苦しそうなこもったうめき声が漏れる。

「ゲス野郎っ、痛みを知れっ」
「ううっ、げっ、ぐおっ」
反対の足がまたみぞおちに食い込んで、目のまわりを涙でビショビショにした犯人は苦しそうに前屈みになる。

「この百倍千倍の痛みだっ」
「うげっ、ごっ…」
何人もの善良な人たちを理由もなく傷つけたエリート気取りの勘違い野郎に、やり場のない怒りにかられた美人刑事は、犯人を気絶させないようにいつもの頭へのまわし蹴りを無意識に封印し、ボディ攻撃を続けた。

「涼子さん、もうこれ以上は…」
執拗なストマック攻撃を受けて、犯人は口に詰め物をされたまま胃の内容物を逆流させた。吐瀉物で喉をつまらせた犯人が床に倒れてのたうち苦しむ姿を見て、やっと山田は涼子を止めた。

「やだあ、きたな?い」
「ひっ…、えっ、げっ、うっ、げっ」
はだけた胸を片手ブラで押さえた愛は、ムッチリした超マイクロミニの下半身を折りたたんでしゃがむと、悶絶する犯人から詰め物を指先でつまみ出し、犯人は咳き込みながらゲロを吐き出す。

「山田っ」
ゼーゼーと苦しそうに息継ぎする犯人に舌を噛んで自決する気力はなさそうだったが、涼子はもう一度山田に猿轡を指示する。山田は床に落ちていた肩ひもを切られたブラを犯人の口に詰め込む。

「やだあっ、変態っ」
さっきまで胸に付けていた下着を口に含む苦しそうな犯人を横目でチラ見した愛は、思いの外うれしそうに笑っていた。



涼子の私的制裁を見て見ぬふりをしていた恩田警部は頃合いと見て警官隊を突入させ、犯人に猿轡と拘束具を着せて所轄署まで連行した。愛のブラが犯人の口に押し込まれたままだったのは言うまでもない。

救急隊や消防庁から派遣されたDMAT(Disaster Medical Assistance Team:災害派遣医療チーム)ら医師たちの、懸命の治療の甲斐もなく重傷被害者の半数は意識を取り戻すことはなかった。



「あっ、あああっ…」
ベッドの横で悲痛な泣き声を上げる母ちゃんをオレは天井のあたりから眺めていた。ベッドのまわりにはガキの頃から知ってる顔が並んでいる。

「この子は、ひっ…、男に、ううっ…、なって、ひっ…、いたんで、ううっ、しょうか?…」
母ちゃんが、泣いてる…、何言ってんだ、やめろよ…。
母ちゃんが泣きながら、うつむいてまわりを囲む友人たちにすがりつき、問いかける。

「特別な、うっ…、女の人は、ううっ…、いたんで、ひっ…、しょうか?…」
胸をえぐられるような悲痛な泣き声が静かな病室に響く。

女って?…、そういうこと!?…、恥ずかしいだろ、やめてくれよ…。
母ちゃんの気にしていることが、オレが童貞かそれとも親しい女性がいるかどうかだとわかって、集まった友達に、こっぱずかしくていたたまれなかったが、
え、オレか?…。
顔に布をかけられてベッドに横たわるカラダがオレだと気付いて、霊魂になって母ちゃんを見下ろしているのだとわかった。

オレ、童貞のまま、死ぬのか!?…、そんなのイヤだっ、…。
経験しないままあの世に行くなんて、死んでも死にきれないとはこのことだ。オレは焦りまくった。


「童貞のまま、死にたくないっ」
そんなの、絶対にイヤだあっ…、へ…、あれ、夢?…。
オレは自分の寝言で目が覚めた。半ベソをかいたオレは白い天井を見ていた。

「くすっ…」
カワイイ笑い声がして、そっちに目を向けると車いすに座った女の人がいた。
「よかった、意識が戻って」
手足のギブスに巻かれた白い包帯が痛々しいが、その女の人が蒼井優似の彼女だとすぐにわかった。

「あの?…」
カワイイ笑顔を見せる彼女の頬には、涙の乾いた跡があった。

「ここ、病院です、助けてくれて、ありがとう」
ナースコールを押した彼女は車にはね飛ばされたときのように、包帯を巻いた手でオレの手を握った。あのときの恐怖はもちろんなく、その手の温かさがやけに嬉しくて、オレはきっとニヤけていたに違いない。

「恐かったでしょ…、それなのに…、かっこよかった」
しっかり見られてたよおっ、みっともねえっ…、え…、まあ、いいか、…。
通り魔を目の前にしてビビリまくったオレを、彼女はずっと見ていたのだと思うと、恥ずかしい汗が全身から出てくる気がするが、「かっこよかった」の一言でそんなのは吹き飛んでいた。

「あ、あのっ…、オレ、さっき、なんか言った?」
あ、やっべえっ、聞かれたか?…。
恥ずかしい寝言を思いだしたオレは、つい彼女に聞いていた。
「え?…、うふふっ…」
恥ずかしそうに顔を伏せた彼女はただ笑うだけで応えてくれなかったが、オレの手をギュッと握ってきた。その温かくて柔らかい感触が気持ちよくて嬉しかった。


オレは今、車いすの美少女とつきあっている。あの通り魔は精神鑑定で責任能力ありと判断されて、殺人罪など諸々の罪で起訴されたとのことだ。裁判で責任能力さえ認められれば死刑は確実らしい。

オレの目下の夢は、もうじきギブスの取れる彼女と散歩して、並んで歩くことだ。

交渉人涼子2 5話 無差別殺傷事件 終わり
交渉人涼子2 6話(1) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 5話 無差別殺傷事件(7)

ろま中男3 作品リスト
交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 5話 無差別殺傷事件
(7)お気楽婦警大活躍?

「なんだ、そいつは」
犯人も緊迫した立て籠もり現場にそぐわない愛の姿に、涼子と同様に緊張感をそがれていた。

「私が人質と交替しますっ」
犯人の自慢話が長すぎてヒマをもてあました愛はやっと来た出番を待ってましたとばかりに、無差別殺傷通り魔の人質役に全く恐れる様子もなく、小学生レベルの脳天気さで手を上げて、犯人に近寄っていた。

「くるなっ、コイツを殺すぞっ」
「大丈夫だって、何にも持ってないから…、私のナイスバディ、見たくない?」
状況が飲み込めずにナイフを振り回す犯人に、物怖じしないお気楽婦警はカワイイ笑顔で、超マイクロミニのスソを指でつまんでヒラヒラさせていた。

まったく…、たいしたモンだ、…。
一歩間違えれば殺されるかもしれない状況で笑いながら近寄っていく愛に、涼子は呆れるのと同時に畏敬の念さえ感じていた。

後ろの山田を確認すると、さっきまでのニヤけた笑いは消えて、何かあったらすぐに飛び出せる体勢をとっていた。

「じゃあ、交替します」
失禁して意識を無くした人質女性をヨッコイショと横にどけた愛は、犯人に体を押しつけてナイフを持った手を首に巻き付けていた。

ニコニコ笑う愛は、まるでマジックショウで胴体切断される美女のように余裕綽々だった。

「おまえ、死にたいのか」
愛はスリルを楽しんでいるというより、単にこの場の主役になれたことが嬉しいのだが、涼子でさえいまだ理解不能なお気楽婦警のC調な精神構造は、理解出来ることしか受け入れてこなかった狭量な犯人に、とうてい理解出来るものではなかった。

犯人はなにかワナでもあるのかと警戒して視線を泳がせていた。

「愛、死にたくないよ、でも犯人さんも、こんなナイスバディを目の前にして、何もしないで殺すなんて、できないよね」
犯人の脅し文句に全く動じない愛は、ブラと超マイクロミニしかつけてない自慢のナイスバディをこれ見よがしに見せつけていた。

「なにを…、言ってやがる…」
若い女性のみずみずしく柔らかい素肌を押しつけられた犯人は、ほとんど人生ではじめての感触にドキドキしていた。

自分からはしたない姿になって人質を交替したのは、マイペースなお気楽婦警の暴走にも見えたが、意外にも効果があった。

精神疾患の疑いさえあった犯人だが、その行動原理には都合の悪いことをすべて他者に押しつけ、自分を正当化する思考形式が根底にある。

つまり犯人は過ちを認めるというどMな自傷行為を徹底的に避けようとする、本能に忠実な人間なのだ。自分では旧帝大を卒業したインテリのエリートだと思っているが、その行動は本人が意識しない本能に支配されているということだ。

「やあんっ…」
そして無差別殺傷通り魔は女性に対しては未体験の純情君だった。本人が意識しない本能はふくれあがった股間が示していた。

「犯人さんの、エッチ…」
お尻を押してくる固い感触に恥じらいながらシナを作ったお気楽婦警は、首に突きつけられたナイフがまるで見えないかのように、未知の女体との第三種接近遭遇に挙動不審な犯人を上目遣いに見つめて、幼い笑顔で誘惑光線を送っていた。

コレがすべて愛の策略だとしたらたいしたモノだが、どう見ても本人は楽しんでいるようにしか見えない。

山田、いくぞ…。
どんな状況にあっても人生を楽しむことに忠実なお気楽婦警はひとまず置いておいて、のぼせ上がる犯人のスキを見逃さない涼子ではなかった。アイコンタクトした涼子は、山田が陳列棚を反対方向に回り込むのを確認すると、電光石火の早業で犯人に飛びかる。
「えっ」
山田が意識のない人質女性を確保するのと同時に、涼子の手が犯人のナイフを払って愛を犯人から引きはがす。

「きゃあんっ、いやあ~ん」
犯人のナイフが誰かを傷つけるコトはなかったが、運悪く(?)ナイフが当たって肩ひもを切られた愛が、はだけた胸を押さえて「まいっちんぐ」ポーズで超ミニスカのナマ足を跳ね上げる。

「くっ、ぐうっ」
人質を犯人から遠ざけた山田も犯人が懐からナイフを取り出そうとした手を押さえて、自殺を防ぐために用意しておいたハンカチを口に押し込む。

「あれ…、もうおわり?」
山田が「マチコ先生」とツッコんでくれるのを期待していた手ブラの愛は、あっさり確保された犯人をつまらなそうに見ていた。

交渉人涼子2 5話(8) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 5話 無差別殺傷事件(6)

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交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 5話 無差別殺傷事件
(6)エリート人生の顛末

「オレは建築科に進んで、将来は一流の建築士を目指してた、あの頃が一番充実した人生だった」
相変わらずゆがんだ笑みを浮かべる犯人は、充実した大学生活が懐かしそうだった。

「エリートであるあなたを迫害するバカもいなかったでしょうしね」
「そうだ、オレにふさわしいエリートとも出会った」
イジメから開放されて大学生活を満喫しただろう犯人に涼子が問いかけると、自慢気な声が応える。大学時代には友人もいたようだ。

「あなたに匹敵するエリートと出会ったわけね、その人とはどうしたの?」
友人がいるなら、そこを突破口に出来ると期待した涼子だったが、
「…、うるさいっ、エリートは孤高なんだっ」
男はいきなり怒り出した。
「ひっ、う、うう…」
血糊の付いたナイフが首に触れて人質女性が悲鳴を上げたが、慌てて口を覆った。

「そうね、エリートは崇高な目的のために孤独なのね」
人質を気遣って、涼子がすかさずフォローする。
「そうだ、オレが悪いんじゃないっ、アイツがオレを理解出来なかっただけだ」
友人とはケンカ別れをしたのだろう。犯罪傾向のある自信家にありがちな、自らの過ちを認めようとしない態度がありありと見えた。


自分が悪い人間だと思いたくないという自己正当化はほとんど本能に近いもので、間違いを犯したと思いたくないのは誰にでもあることだ。

自らの間違いを認めることは心に傷を負うことで、その間違いが大きければ大きいほど、心は深く傷つき、その傷の深さに人は立ち直れなくなるかも知れない。

間違いを認めることはどMな自傷行為だと言える。だから自分を守るために人は本能的に間違いを認めようとしない。

普通の人間は本能的に痛みを回避しようとする気持ちと、良心の呵責との板挟みになって苦しむ。

しかし意図的に犯罪を起こす人間は、自らの過ちを認めずに常に責任を他者に押しつけ、心の痛みを避ける傾向が非常に強い。

犯人はその典型だと思われた。本能に忠実で痛みを感じてこなかった人間は、他者の痛みがわからずに他者を傷つけるコトにためらいを感じない。


「そうして孤高を保ったあなたは、大学も立派に卒業したのね」
犯人の性向がだいたいつかめた涼子は、話を先に進める。
「そうだ、一流の建築会社に就職したオレは、一級建築士の資格を取るとすぐに独立した」
ここでも利己的な性格を暴露した男は、会社をうまく利用したことが自慢なのかゆがんだ笑いを見せる。男の性格では会社生活になじめずに、独立を前提に就職したことも想像される。

「オレの人生は順風満帆で、栄光に満ちたものになるはずだったのに…」
そこで犯人の表情が険しくなった。
「バカどもは、オレの素晴らしい建築デザインが、理解出来ないんだっ」
「いやっ、助けてっ」
ブルブルと震える犯人は人質にナイフを押しつけながら、社会から認められなかった不遇を嘆き、社会に責任を押しつけた。

通常独立した建築士は建築会社社員にプロデュースを任せて、依頼主との調整をしてもらう。自信過剰な犯人はプロデュースも自分でしたのか、あるいは自分のデザインを絶対と信じる犯人は依頼主からのデザイン変更要望が許せずに拒絶してきたのか、どちらにしても依頼主と折り合いを付けることが出来ず、商売的には大失敗したのだろう。

「そうね、偉大な理想は、バカどもにはわからないものね」
男が犯行に及んだ経緯はだいたいわかった。

独立に失敗した犯人は債権者に財産を差し押さえられて、すべてを無くしたのだろう。エリートを自負する犯人が、社会の最底辺にいるホームレスと同じような生活をする屈辱に耐えられないのは、容易に想像できる。

屈辱は攻撃的な怒りに変わり、無差別殺傷事件に及んだ。

「だから、オレはバカどもに、オレを迫害した罪を思い知らせてやることにした」
怒りをあらわにした犯人はナイフを握りしめて、今にも人質に突き立てようとしていた。
「ひっ…」
両手で口を押さえた女性は首に食い込む冷たいヌルッとした感触にのけぞると、恐怖に耐えきれずついに気絶した。スカートのスソが乱れたナマ足の間からかすかに湯気が上がって、失禁したことを示していた。

人質の意識が無くなったのは好都合だった。意識があると救出の際混乱した人質が暴れて、邪魔になるからだ。

「あら、人質、オシッコしちゃったわね、エリートのあなたにそんなキタナイ娘、似合わないわよ(脱ぎなさい)」
激高する犯人よりも、人質の状況が好転したことに意を強くした涼子は強行突入を決意した。暇そうな愛をチラ見した涼子は、犯人を警戒させなように防弾チョッキを脱ぐように指示した。
「なんだ」
人質の失禁に気付いた犯人は、汚いモノを見るような目で女性をチラ見してから、涼子に聞く。

「これよ、へ…」
お色気担当、いくのよ…、は?…、なんでそこまで、…。
人質の代わりに愛を差し出そうとした涼子は、
「えへへっ」
防弾チョッキどころかシャツまで脱いで超マイクロミニとブラだけになり、恥ずかしそうに笑う愛にあきれてズッコケるところだった。忠犬のごとく涼子の後ろの控えた山田は、愛のはしたない姿をローアングルから見上げて、デレデレして鼻の下を伸ばしていた。

交渉人涼子2 5話(7) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 5話 無差別殺傷事件(5)

ろま中男3 作品リスト
交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 5話 無差別殺傷事件
(5)交渉開始

「それ以上近寄るな、女を殺すぞ」
商品棚を隔てて犯人と人質女性を確認出来る位置まで近づいたところで、犯人の甲高い声が響いた。しっかりしたその声は神経質そうな感じはあるが、精神異常者というより、自信過剰なうぬぼれが混じっているように感じた。

「わかった…、話をしましょう、なんでこんなことしたの?」
障害物に隔たれたこの位置では犯人を取り押さえようとしても、その前に人質が刺されるのは目に見えている。とりあえず犯人の精神状態を確認しようと涼子は落ち着いた声で話しかけた。

山田、…。
後ろに控える山田と愛に、姿勢を低くしておとなしくしているように目配せすると、
はい、…。
アイコンタクトを瞬時に理解した山田が忠犬のごとくしゃがみ込み、
あ、そうか、…。
愛も山田にならって超マイクロミニの足を内マタに畳んでしゃがみ込んだ。

「オレの偉大さをバカどもに教えるためだ」
笑いを含んだ声が応える。20代くらいに見える若い男は唇のハシを上げて、皮肉っぽい笑いを浮かべていた。

「偉大というのは?」
誇大妄想か?…。
自信家という勘はあたっていた。統合失調症かもしれないが、精神を病んでいるかどうかより人質に危害を加えさせないことが重要だった。

人質は男の楯にされて全身をさらしていた。10代後半から20代前半くらいの若い女性は、後ろから首にナイフを突きつけられて、短めなスカートスソが乱れてナマ太ももが震えている。

頬を伝う涙の跡が痛々しい。ただ過呼吸など極度に追い詰められた危険な兆候はなさそうで、涼子は少し安心した。

「オレはエリートなんだ、バカどもを支配するべく、生まれたんだ」
相変わらず犯人は不気味な笑いを浮かべている。
「エリートってことは、子供の頃から頭が良かったのね」
うかつに手を出せない状況で、涼子は犯人の心理状態を確認するために話を続けた。

「そうだオレは小学校で常に成績トップだった」
感情を抑えた女刑事の声に応えて、犯人は自慢気に少年時代から語りはじめた。
「中学校で体育が悪かったが、アイツがわざと悪い点を付けたからだ」
そこまで言って、唇のハシが神経質そうに震えた。

ナイフを突きつけられた人質女性は怯えて顔色が真っ青になっているが、まだしばらくは持ちこたえられそうだ。

「アイツとは?」
体育の成績は犯人の逆恨みだと思うが、もちろんそんなことは口に出さない。
「体育の野田だ、あの筋肉バカ教師、オレがエリートなのを妬んでやがった」
「イヤガラセされたわけね」
「そうだ、でもあの頃のオレはまだ自分の偉大さに気付いてなかったから、見逃してやったけどな」
話を合わせる涼子に、犯人は愉快そうに笑ったが、若干引きつって見える。ただ自信過剰ではあるが受け答えに支離滅裂な所はなく、思ったよりまともな状態だ。

「学級委員とかしてたの?」
優等生ならクラス委員を経験してそうで、そうなら協調性が期待できる。
「そんなモンするか、あれは雑用係だ」
犯人は即座に否定した。他人のために奉仕する気持ちがまったくない利己的な少年だったことを想像させた。

「オレは地元で一番のエリート高校に進学しても、やっぱりエリートだった」
「そう、すごいのね」
「そうだ、オレはスゴイ人間だ、なのにソレを認めようとしないバカどもが…」
そこで犯人の顔が醜くゆがんだ。悲惨な過去に興奮して憤っているように見える。

イジメね…。
犯人の暗い過去はすぐ思い当たった。勉強ばかりしていて協調性もなく利己的な少年が、イジメのターゲットになったことは容易に想像できる。
「でも、あなたはそんなバカどもの迫害を、エリートとして耐えた」
「そうだっ、バカだからくだらないイジメでオレを冒涜して、なけなしの自負心を満たそうとする」
甲高い大声を上げた犯人に怯えた女性は
「ひっ、助けてっ」
泣き声混じりの悲鳴を上げる。

「うるさいっ、黙ってろ、殺すぞ」
「うっ、うう…」
脅し文句に震え上がった人質女性は、口をつぐんで嗚咽を飲み込み、かすかに肩を揺らす。

ダメだ、…。
人質の危機に山田が動きそうな気配を見せたが、チラ見した涼子の厳しい視線に何とか押さえた。
へ…、アンタは…、まあいいわ、…。
愛の様子をうかがうと手持ちぶさたに枝毛を探していた。緊迫した現場でもお気楽な婦警に気合いが抜けそうになったが、静かにしていてくれればいいと涼子は考え直した。

「バカどもの迫害をモノともせずに、あなたはきっと一流大学に受かったんでしょうね」
少なくとも人質が凶刃を受けなかったコトにホッと息を吐いた涼子は、落ち着いたお世辞めいたセリフで犯人をなだめようとする。
「そうだ、オレにふさわしいのは最低でも旧帝大だからな、九大に合格した」
犯人はまた自慢気にゆがんだ顔で笑った。

「やっぱりすごいのね」
お追従するセリフで応えた涼子だった。ただ旧帝大でも東大のような超一流大学にくらべると若干落ちるのが微妙だ。あるいはそのあたりもコンプレックスとして深層心理に根ざしているのかもしれない。

交渉人涼子2 5話(6) につづく
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交渉人涼子2 5話 無差別殺傷事件(4)

ろま中男3 作品リスト
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交渉人涼子2 5話 無差別殺傷事件
(4)ブリーフィング

「ご苦労様です」
涼子が敬礼で挨拶すると、現場指揮官はウワサの女刑事を二度見してから、答礼を返した。

恩田という名の中年警部は、凄惨な殺戮を引き起こした通り魔に怒りを禁じ得ないのか、あるいは本庁のお出ましに忸怩たる思いなのか、苦虫を噛み潰したような渋い顔だった。

「犯人はレンタカーで5名をはね飛ばし、車外に出て8名をナイフで刺傷させた」
「負傷者は治療中でまだ死亡者の報告は受けていないが、半数以上は重体だ」
恩田が現状を説明する。

「犯行を止めようとして飛びかかった青年に倒された犯人は青年を刺したが、倒れた犯人を取り押さえようとした一般市民やPBから駆けつけた警官の囲みをナイフで脅して突破すると、逃げ損なった女性を人質にとって、ショップに立て籠もった」
そこまで言うと恩田は悔しそうに唇を噛み締めた。

「勇気ある行動ですね」
犯人に飛びかかったという青年に、山田が感心してつぶやいた。愛も山田に同意してウンウンとうなずいていた。

「自分がケガしたら、元も子もないだろ、素人のヒーロー気取りは迷惑なんだよ」
警部は犯行を止めようとした行為を賞賛するより、ケガ人を増やしたことを苦々しく思っているようだ。

「そんなっ」
「山田、やめろ」
警部の態度に納得できない山田が食ってかかり、涼子が押しとどめる。

「…、青年は複数の刺し傷を受けて、出血多量で意識不明だ」
山田の厳しい視線から目をそらした警部は、あるいは青年の勇気を認めているのか、悔しさのこもった沈鬱な声で青年の状況を告げた。

「今は犯人逮捕が先決だ」
恩田の態度に市民を守る警察官としての矜持を感じた涼子は、まだ納得できずに不満そうな山田をたしなめた。
「はい…、すいません」
涼子の真剣な表情に口をつぐんだ山田は、警部に頭を下げた。

「人質を安全に確保して、犯人を生きたまま逮捕してくれ」
卑劣な犯人に怒りを感じ、逮捕の機会を譲る悔しさをにじませた声に
「必ず生きたまま逮捕して、法律の裁きを受けさせます」
涼子は警部の意を汲んで敬礼し、直立不動の姿勢で応えた。山田と愛も涼子にならって敬礼した。

「犯人は相当数のナイフを所持していると思われる」
「投げられたナイフで負傷したケースもある」
「接近の際はナイフの所在に常に注意しろ」
「拳銃の所持は確認してないが、警戒は怠るな」
「他人を簡単に傷つける人間は自分も簡単に傷つける」
「通り魔は一般に人生に絶望して破滅的な精神状況にある事が多い」
「犯人自殺という結末は絶対に避けろ」
「人質はか弱い女性だ、負傷者はもう出したくない、頼むぞ」
言い残した注意点を列挙した警部は、最後に本心を語って三人を見渡した。

再度敬礼した涼子は、防刃機能のある防弾チョッキを渡された。

ないよりマシか、…。
官給品の防刃性能はたかが知れているので、ジャケットを脱いだ涼子は気休めのつもりで防弾チョッキを着用した。
オシャレ、じゃない…。
愛は自慢のボディラインが防弾チョッキで隠れてしまうのが不満そうで、ウエスト部分のベルトを思いっきり絞っていた。

「いくぞ」
振り返った涼子は山田と愛を見つめて声をかける。山田はいざとなったら涼子の楯になるつもりで、涼子のすぐ後ろに控えた。

楯を構えた警官隊の囲みを通り過ぎて、犯人の籠もったショップに踏み入る。

「だれだっ」
商品棚が並んだ狭い店内を奥に進むと、甲高い男の声がした。神経質そうな印象だった。

「人質を開放して、投降しなさい、周りは警官隊が取り囲んでいる、あなたはもう逃げられない」
店の奥、キャッシャーの向こうに男女の姿を確認した涼子は、緊張した面持ちのふたりに目配せして、ゆっくりと接近していった。

交渉人涼子2 5話(5) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 5話 無差別殺傷事件(3)

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交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 5話 無差別殺傷事件
(3)現場到着

「○○通りで通り魔だ、女性を人質にして立て籠もった」
きりっとした表情を見せる涼子に、佐々木課長が短く説明する。

「わかりました、現場に急行します」
デスクワークで溜まったウップンを振り払うかのように、涼子がきびすを返すと
「通り魔は、自殺志願者のようなモノだ、くれぐれも刺激しないように頼むぞ」
課長が、無差別殺傷を起こす通り魔は最後には自殺することが多いのを、涼子の背中に念押する。

「はい、気をつけます」
モデル並みのカラダをよじってセクシーな見返り姿を見せた涼子は、心配よりも信頼のこもった眼差しを向ける課長にうなずき、駐車場に向かった。

「今日は負けませんよ」
ミニスカポリスがニコニコしてついてくる。前回の事件で涼子のYAMAHA YZF-6Rにチギられた愛は、今日こそは置いていかれないぞと、ヤル気満々だった。

緊張感が…。
事件とは関係ない勝負に燃えるお気楽婦警の楽しそうな様子に、気合いをそがれて小さく嘆息した涼子に
「待ってください」
覆面パトのキーを取りに行っていた山田も、追いかけてきた。

「あ…、バイク、ですか…」
タンデムシートの恐ろしさが身に沁みている相棒刑事は、大人の色気を漂わせる脚線美のブーツが弧を描いて、シルバーの車体にまたがるのを怖じけて見ていた。
「いいわよ、あなたは車で…」
フン、と擬音がしそうな笑みを浮かべた涼子に
「いえっ、お供しますっ」
公私ともに涼子にベタ惚れの山田は、ゴクンとツバを飲み込むと決死の思いで狭いダンデムシートにまたがって、ヘルメットに頭を押し込んだ。

ドルンッ…。
グローブをしたしなやかな指先がイグニッションをONすると、静かに眠っていたYZF-6Rが低いうなり声を上げる。
「はあっ」
低い震動で女体を震わされた涼子はセクシーな溜息を漏らすと、ローにギアを入れる。大人ふたりを乗せた銀色の車体ははじき出されるように、駐車場から公道に飛び出した。

クオオッ、クオックオッ
ファインチューンされた599ccインライン4 DOHC16バルブエンジンはMAX130馬力近い出力を誇る。ローギアで瞬時にレッドゾーンに達したタコメーターは、ギアチェンジするごとに10,000rpmの頂上付近を左右に揺れて快調なエンジンの回転数を伝える。
ああっ、…。
タンクに上体を伏せて浮き上がろうとする前輪を抑え込む涼子は、全身で心地よい震動を受けて、ヘルメットの中で艶めかしい吐息を漏らす。

「ああんっ、まってえ」
YZF-6Rの1/10の馬力しかないノーマルAddress 125Gに超マイクロミニのナマ足を揃えた愛が、おいてかれまいと懸命にピンクヘルメットの頭を伏せて追っていく。

「ひっ、ひいいっ…、じぬうっ」
休日の一般道はトラックなどの大型車両も少なく、割と空いていた。前傾姿勢を取る涼子に必死にしがみついた山田は、置き石のような一般車両をヒラリヒラリとかわして追い抜く、一般道ではあり得ない超高速ライディングに、泣き声混じりの悲鳴を上げていた。

「やあんっ、もう…」
混雑した道路状況なら、Address 125Gの軽く小さい車体の利点を生かしていい勝負になるが、ある程度クリアラインが取れるのなら、潜在能力を発揮するYZF-6Rに全くかなわない。
「涼子さん、まってえっ」
涼子と恐怖のどん底にある相棒を乗せた銀色の車体はあっという間に見えなくなった。

「ああんっ、え…」
もう、買い換えちゃうぞっ、あ…。
アクセルをめいっぱい握ってもまったく勝負にならない。癇癪気味に愛がもっとパワーのあるバイクに買い換えようかと思った瞬間、Address 125Gはエンストした。
「うそっ、うそだから、アドレス、走ってえっ」
焦ってセルスイッチを押すと、すぐにエンジンはかかった。

ごめん…、浮気なんてしないから、許して、…。
ピンクヘルメットのミニスカポリスは愛車に詫びながら、法定速度を無視して涼子の後を追った。

「ついたわ、降りて」
現場に到着した涼子は、しがみついて震える山田に声をかける。
「神様…、ありがとう…」
半ベソをかいた山田は、生きたままバイクから降りられる幸運を神に感謝していた。

敬礼する制服警官にバイクを見ているように頼んだ涼子は、まぶしそうに細めた目でゆっくりとあたりを見渡した。
…、ひどい…。
現場は救急車やパトカーが無造作に停められて、被害者の悲鳴や走り回る救急隊員の阿鼻叫喚でさながら戦場のようだった。ケータイを手にかざした野次馬たちでごった返す人混みをかき分けた涼子は、封鎖された車道に血溜まりを複数確認した。
これか、…。
犯人が突入に使用した車は、前面の数カ所にへこみを見せて、フロントグラスに複数の衝突痕のひび割れを示している。

「涼子さん、鬼速(オニッパヤ)ですね…、え…」
ようやく到着した愛がヘルメットを取りながらお気楽に笑って、涼子のライディングをはやし立てたが、現場の悲惨さに表情をこわばらせて口をつぐんだ。
「こんなこと…、ゆるせない」
ようやく正気に戻った山田も、通り魔の凶行のあとを目の当たりにして、にこらえきれない憤りを口にする。

「人質の安全最優先、犯人を絶対に刺激しない…、行くわよ」
常軌を逸した残虐な殺戮を行った犯人に怒りを燃やした涼子は、同時に破滅的な精神状態にある犯人との交渉の困難さを再認識して、気合いの入った声をかける。
「はいっ」
山田と愛は同じ気持ちで同時に応えた。

交渉人涼子2 5話(4) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 5話 無差別殺傷事件(2)

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交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 5話 無差別殺傷事件
(2)恐怖と勇気

キチ○イだ、…。
誰だかわからないがナイフを持った男が、車にはね飛ばされた人を襲っている。放送禁止用語が頭に浮かぶ。

ああっ、…。
目の前で現実に行われている凶行に、足がガクガク震えてオレはみっともなく尻もちをついた。

どこかで悲鳴がしたと思ったら、あちこちから女性の叫び声がした。

ううっ、…。
腰が抜けて震えるオレは、しかし男から目が離せずにいた。男は何度もナイフを振り下ろし、倒れた人に何度も突き刺した。

ひいいっ、…。
振り上げたナイフがキラリと陽光を反射して、鋭い刃先から血が滴るのが見えた。

逃げないと…、ひっ…。
命の危険に怯えて震えながら逃げようとすると、手をつかまれた。ビビッて振り向くと彼女の濡れた目がオレを見つめていた。

うわあっ、…。
彼女の視線に戦慄した。涙に濡れた目に込められた死にたくないという強い意志が、オレを恐怖させる。

歯の根が合わずにカチカチと鳴った。彼女に弱々しく握られた手を振り払うことも出来ずに、また尻もちをついていた。

あ…、うわあっ、…。
彼女の大きな瞳が恐怖を帯びて揺れる。ハッとなって振り返ると、男が血を滴らせたナイフを下げて、こっちに向かってくる。

ひいっ…、ああっ…。
殺されると思った。逃げようとして何とか腰を上げると、手首を掴む手が強くグリップした。ギョッとして振り向くと、潤んだ目が助けてと懸命に訴えていた。

「あ…、うわあっ」
その時のオレは、彼女をオトリにして逃げるという、賢い考えが浮かばなかった。オレが逃げたら、彼女が殺されると思ったとたん、オレは泣きべそをかきながら、男に飛びかかっていた。

「うわっ、うわああっ」
低い体勢からのタックルに男はあっさり倒れた。オレは泣きながらわめいて、男に抱きついていた。

「うわっ、あっ」
遠くでする悲鳴を聞きながら、両手に力を込めて男の腰のあたりに抱きついていると、背中を叩かれた。

「あ…、ああ…」
それから何度も背中を叩かれた。脇腹に垂れてくるナマ温かい何かに、刺されたのだと思ったけど、もうどうしようもなかった。

「ああ…」
だんだん力が抜けてきて、涙でぼやけた視界が暗くなってくる。

「あ…」
男にはねのけられたところで、記憶は途切れた。


「涼子さん、お茶、どうぞ」
デスクワークで書類を処理する涼子の前に、愛がニコニコ笑って湯飲みを置いた。

「もう、そんな短いの、はかなくていいのよ」
前回の事件処理で涼子から指示された超マイクロミニを定番にした、愛のまぶしいナマ太ももをチラ見した涼子は、不機嫌そうにつぶやいた。

「これで男の人から見られるのが、快感になっちゃいました」
涼子の不興を全く関知しない愛は、ハツラツとした脚線美を見せつける様にして足を一歩前に出すと、足を跳ね上げてシナを作っていた。

「おおっ、今日は黒かっ、気合い入ってるな」
そこへニンマリ笑った笹野が口を挟んできた。

「もう、スケベジジイなんだからっ」
「あ、マチコ先生だ」
短いスカートをのぞかれても恥じらう様子のない愛の「まいっちんぐ」ポーズに、山田が嬉しそうにツッコミを入れた。

「ふうん…」
デレデレしちゃって…、帰ったら、折檻ね、…。
愛のサービスポーズではしゃぐ山田に、涼子は切れ長の目で冷たい視線を送る。
「あ…、いや、その…」
冷たい視線を受けた山田は不機嫌そうな上司に恐縮しながら、婦唱夫随のあうんの呼吸で涼子の考えていることを敏感に察知して、マゾっぽい倒錯した興奮を昂ぶらせてニヤけていた。

「涼子、事件だ、行ってくれ」
まったりした特別班の空気をかき消すように、課長の緊迫した声が響く。
「はいっ」
その声に涼子は気を引き締めると、大人の色気を漂わせる脚線美を新米婦警に見せつける様に、ヒールを響かせて、課長席に向かった。

交渉人涼子2 5話(3) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 5話 無差別殺傷事件(1)

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交渉人涼子2 5話 無差別殺傷事件
(1)茫然

その日は天気のいい休日だった。

特に何を買うという目的もなく繁華街に出掛けた。強いて理由を挙げるとしたら、ひとりでいるのが寂しくて人混みに紛れたかったのかも知れない。

しかし来てすぐに後悔した。見るつもりはなくても楽しそうなカップルが目に入って、独り身のわびしさが身に沁みる。

なにしてんだ、オレ…、そうだ…。
ひとりで落ち込んでいてもしょうがないので、ガールズウォッチングを楽しむことにした。

見るだけなら、かまわないよな…、女の子だって、見られてキレイになる、って言うし…。
オレは人混みを歩きながら、ナンパするでもなくただ女の子を見るだけの自分の情けなさを正当化していた。

う~ん…、色とりどりというか、百花繚乱?…。
「女性の美しさは都市の美しさ」ってCMのコピーが昔あったけど、休日に街を歩く女の人は着飾ったキレイな人が多い。こんな目の保養がタダで楽しめるなんて、大都市に住んでいる役得なのかも知れない。

お…、あの子、カワイイじゃん…。
信号待ちする人だかりに20代前半くらいのカワイイ女性を見つけた。

ただ女の子の年齢当てに全く自信は無いので、ひょっとしたら10代かもしれないし、20代後半かもしれない。

いいなあ、…。
そんなことはどうでもいい。肩ムキ出しのキャミ姿はエッチな感じではなく健康的な感じで、モデルとまでは言わないが、スタイルもいい。

なにより顔がオレ好みだ。細面な感じだがやせた感じではなく、蒼井優にちょっと似ている。本人も意識して蒼井優似に化粧やヘアメイクしてるのかも知れない。

あんな娘が、彼女だったら、…。
どうやら彼女はひとりらしいので、オレはあらぬ妄想を浮かべて楽しくなっていた。

歩行者信号が進めに変わって彼女が歩き出す。

かわいいなあ、…。
ハイヒールだかパンプスなんだかよくわからないが、リボンの付いたカワイイ靴が一歩ずつ前に進む姿に、オレは見とれていた。

おっと、やばい、やばい…。
オレはきっとだらしなく顔を緩めていたに違いない。ひとりでニヤニヤ笑う不気味な自分の情けなさを自覚して、オレは表情を引き締めて歩き出した。

ゴドンドッ…。
その時だった。目の前に突入してきた車が、前を歩く人たちをなぎ倒した。鈍い重そうな音がした。彼女も車にはね飛ばされた。

え…。
実際には一瞬の出来事だったと思うが、体勢を崩した彼女がまるで人形のようにはね飛ばされるのが、スローモーションのようにゆっくり見えた。

すぐに車は止まってドアを開けて誰かが出てきたが、オレは車道に倒れた彼女を茫然と見ていた。

あ…。
グッタリと道に横たわった彼女がゆっくり顔を上げる。その顔はやはり人形のように表情がなかった。

ひっ、…。
が、目が合ってオレは背筋が凍るような恐怖を覚えた。

ああっ、…。
その目はオレに助けを求めていた。唇がかすかに震えて助けてと言っていると感じたが、鼓動が耳の中でうるさく響いて何も聞こえない。

うわあ…。
オレを見つめる彼女の顔が急に大きくなった。走りだした自分に気付いた頃には、震える手を伸ばす彼女の前にしゃがんでいた。

「大丈夫?」
大丈夫じゃないに決まっているが、そんなありきたりな言葉しか出てこない。オレは何も出来ずに、震えながら顔を上げてかすかに唇を震わせる彼女をただ見ていた。

え…。
何も出来ずに手をこまねいていると、彼女の目は左上を見てビックリしたように大きく見開いた。

え…、なに?…、ええっ…。
オレもつられて顔を向けた。両手を振り上げた男が、道に倒れた人に馬乗りになっていた。その手にナイフが握られているのがわかったのは、男が両手を振り下ろし、倒れた人の胸に刺さったナイフを抜き出したときだった。

交渉人涼子2 5話(2) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 4話 スーパー立て籠もり事件(6)

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交渉人涼子2 4話 スーパー立て籠もり事件
(6)円満解決

「そういうわけにはいかないわ」
また、この娘は、…。
よけいな口を出す愛に、涼子が渋い顔をしていると
「ふたりで監禁ごっこしてたら、周りが勝手に騒いで大ごとになっただけですよね」
お気楽ミニスカポリスは勝手に話を作っていた。

「そうです、ふたりでふざけてただけだったのに…」
女性も愛のデマカセに乗っかって、涼子に強く迫っていた。

「そうですよ、涼子さん、オレもふたりはふざけているように見えました」
山田もふたりを引き裂くようなマネはしたくないのか、珍しく涼子にたてつく。

「わかったわ、なんとかします…」
あ~あ、大変だわ…、でも、犯罪者を作るのが、仕事じゃないしね、…。
女性の熱意に負けた涼子は、関係各所を説得する大変さを思って小さくため息をつき、笑っていた。

「良かったね、幸せになってね」
横紙破りな意見を了解してくれた涼子に嬉しそうに抱きついた愛が、女性にニッコリ笑う。

そうか…、コイツは、お色気担当ね…。
関係部署の説得に愛をお色気担当で利用しようと思いついた涼子は、小悪魔な笑顔で脳天気に笑う愛を見下ろしていた。
「なんですか?」
涼子の珍しい表情を見た愛はその意味がわからなかったが、一緒になって笑っていた。


準キャリアで警察上層部とコネがあるというウワサの女刑事のゴリ押しで、取り調べは涼子に任された。

逮捕された男は、就職したばかりの会社が不運にも倒産して、数年間フリーターとして生活していていたが、将来を悲観して死のうとしたそうだ。

しかしひとりで死ぬのは寂しいので、普段通っていたこのスーパーの、密かに想いを寄せるレジ係と無理心中をたくらんで、今回の立て籠もり事件を起こした。

あのとき涼子が飛びかからなかったら、男は女性を刺してその後自殺しようとしていたと、取り調べで吐露した。


「プレイの設定はわかったから、もういいわ…、ホントはあの女性と遊んでたんでしょ、ウラは取れてるのよ」
山田とふたりで犯人の調書を取った涼子は、愛のデタラメを事実として犯人に念押しする。
「へ…、あの…」
犯罪事実を隠蔽しようとする女刑事に男は戸惑っていたが
「彼女が待ってるわ、幸せになりなさい」
彼女が気持ちを受け入れてくれたことを伝えると、男は机に突っ伏して大声を上げて泣いた。


「もう変な気を起こしちゃダメよ」
涼子は男に二度と死のうなどと考えないように、しつこいくらい説教して釈放した。
「小さな町工場だけど、雇ってくれるわ」
そして以前ある事件で関わったことのある社長にお願いして、男に勤め先を紹介した。


「ハデで恥ずかしいけど、似合うかな…」
釈放されて警察署を出る男を、涼子から連絡を受けたレジ係の女性が、黄色いワンピースを着て待っていた。

「良かったですね…」
窓からふたりの様子を見ていた山田が、感極まったように目を潤ませてキスを迫ってきたので、
「調子に乗るなっ」
「げっ…」
涼子は当然のように回し蹴りを喰らわせてなぎ倒した。床に転がった山田はそれでも幸せそうに笑っていた。


スーパー立て籠もり犯を不起訴で釈放した涼子は、署長やスーパーの店長など関係各所に説明で駆け回ったが、涼子の指示でいつもよりさらに短い超マイクロミニをはいた愛が、嬉しそうに同行していた。

交渉人涼子2 4話 スーパー立て籠もり事件 終わり
交渉人涼子2 5話(1) につづく
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┃ テーマ:自作長編官能恋愛小説 ━ ジャンル:アダルト

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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 4話 スーパー立て籠もり事件(5)

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交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 4話 スーパー立て籠もり事件
(5)事件解決?…

やれやれ…、そういうこと…。
犯人が人質女性を好きだとわかって、危害を加える危険は低いと考えた涼子は、恋する青年をはやし立てるお気楽な山田と愛をシレッとした目で見ていた。

「ね、そんなモノ離して、ちゃんと告白しましょう」
見事に犯人の気持ちを言い当てた新米婦警は、優しく笑いながら犯人に投降を勧めた。
あらま、私の出る幕、無し、…。
このまま事件が解決しそうな雰囲気に、涼子は愛の交渉人としての素質をちょっと見直していた。

「う、うるさいっ、オレはコイツと死ぬんだっ、出てけっ」
しかし犯人は声を荒げて片手で抱きしめた女性に包丁を押しつける。幸いまだ人質はケガしてないが、犯人の興奮した様子からは、凶器が人質のカラダを傷つけるのは、時間の問題と思われた

「ちょっと…」
もう、よけいに怒らせたじゃない、…。
このまま事件解決と思っていた愛は思惑が外れて渋い顔をしていたが、
「スイマセン…」
涼子の不機嫌そうな顔にシュンとなった。

行くわよ、…。
愛をさがらせた涼子は、山田をチラ見すると強行突入を目配せして伝える。
はい…。
涼子のアイコンタクトを了解した山田が小さくうなずくと、解体途中のマグロが乗った作業台を軽々飛び越えた涼子が人質を確保するのと同時に、山田が犯人の凶器を払って抑え込んだ。

「え…」
あっという間の出来事に、逮捕された犯人は呆然としていた。
「あ…、涼子さん、スゴイ、カッコイイッ」
ネコ科の肉食獣のようにしなやかにカラダを踊らせた涼子に見とれていた愛は、神速の軽業に感嘆の声を上げ、職務を忘れて傍観者になっていた。

手錠をかけられた犯人は、警官隊に引き渡されて所轄に連行された。

「あの…」
涼子に救出されたレジ係の女性が、不安そうに涼子に声をかける。
「あの人…、どうなるんでしょうか…」
女性は犯人の罪状を心配しているようにみえた。

「あなたを不法に拘束した被疑者は、刑法220条の逮捕監禁罪に問われます、裁判で有罪判決が出れば、3月以上7年以下の懲役です、包丁で脅した行為は刑法222条脅迫罪になり、2年以下の懲役、または30万以下の罰金です、通常は併合罪としてそれぞれ罰が科せられます」

この娘、どうして、こんなに詳しいのかしら、…。
そこへまた愛が首を突っ込んで、法知識をチラつかせた。

「そうですか…、でも、お客さん、なんですよね…」
女性は犯人が刑務所に入れられるのを望んでいないように見えた。
「あなたと犯人の関係は…」
事情聴取は署に戻ってから行うが、女性の態度が気になって涼子は聞いてみた。

「関係なんて…、ただのお客さんとレジ係です…、けど…」
「けど、なに?」
うつむいた女性はそこまで言って口ごもった。

「…、『幸せの黄色いハンカチ』かも…、婦警さんのセリフで、そう思ったんです…」
女性はためらいながら続けた。どうやら女性も犯人に好意を持っていたようだ。

「あの、痴話ゲンカ…、ってコトになりませんか、誰かケガしたってワケじゃ、ないんだし」
監禁男を犯罪者にしたくなくて、女性は強い口調で訴えた。
「でも、逮捕監禁の罪は親告罪ではないし、これだけ大がかりに警察が動いている以上、告訴は避けられないわ」
レジ係の優しい気持ちになんとなく申し訳なくて、涼子は目をそらしてつぶやいた。

「いいじゃないですか、痴話ゲンカだったんですよ」
そこにまた愛が首を突っ込んで、ニコニコ笑っていた。

交渉人涼子2 4話(6) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 4話 スーパー立て籠もり事件(4)

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交渉人涼子2 4話 スーパー立て籠もり事件
(4)幸せの黄色いハンカチ

「は?…」
何言ってんの?…、この娘は…。
立て籠もり現場の緊迫した雰囲気に不釣り合いなセリフを言う愛に、涼子はあきれたような不思議そうな顔を見せていた。

「涼子さん、『幸せの黄色いハンカチ』ですよ」
不可解な表情を見せる涼子に、愛はニコニコ笑って説明する。
「あ、涼子さん、こないだ一緒に見ましたよね、武田鉄矢、感動したなあっ」
ふたりで見たレンタルDVDの武田鉄矢と桃井かおりの濃厚なキスシーンを思いだした山田が、これまた緊張感のない声で応える。

「山田は、いいから…、どういうこと?…」
いまにもキスしそうに迫ってくる山田の顔を横に向かせた涼子は、まだ理解出来ずに愛に聞いた。
「あの映画で、健さんと倍賞千恵子さんの出会いのシーン、おぼえてます?」
涼子の興味が引けて嬉しそうな愛は、犯人のことなど無視して笑っていた。

「おっ、オマエら、何言ってんだっ、本当に殺すぞっ」
無視された犯人が激高し、片手に抱えた女性に柳包丁を突きつけて、オトボケ刑事たちに存在を主張する。
「いっ、やっ、死にたくないっ、お、おねがい、助けてえ…」
首筋に触れる魚臭い刃物に怯える人質女性が、涙混じりに悲痛な叫び声を上げる。

「落ち着け、おまえの要求は何だ」
興奮する犯人の血走った目をジッと見つめた涼子が、抑揚のない声で犯人の要求を引き出そうとする。

「うるさいっ、出て行けっ」
涼子の正攻法の交渉など、とりつく島もない犯人は大声を上げると、人質女性をギュッと引き寄せて、首筋に当てた包丁を押しつけて威嚇する。
「まて、落ち着け、早まるな」
今にも人質女性の首筋に突き刺さりそうな柳包丁に、涼子も思わず後ずさっていた。

「だから、好きな人にそんなことしちゃダメ」
代わって前に出た愛が、カワイイ顔に渋い表情を浮かべて、犯人にお説教じみたセリフを口走る。

「ちょっと」
愛の独断専行をとどめようとした涼子に
「オレわかった、高倉健はレジ係をしていた倍賞千恵子とはじめて出会うんだよね」
さっきの問いかけの答えがやっとわかった山田が、自慢気に言う。

あ、あれか、…。
涼子も『幸せの黄色いハンカチ』のあのシーンを思いだして、木訥な中年がレジ係の女性に想いを抱く様子を頭に浮かべた。

「そうですっ、この犯人はレジ係の女性に恋してしまったんですっ」
嬉しそうな山田にニッコリ笑った愛が、自信満々で犯人の心情を語る。

そんな、映画みたいなコトが…。
しかし公務中なのを思いだして気を引き締め、愛の突飛な説明を否定しつつ犯人を見ると
「うるさい、悪いかっ」
ニコニコ笑うミニスカポリスに心持ち頬を染めた犯人が怒鳴った。

へ…、図星なの…。
柳包丁を握った手を震わせて興奮しながら、照れた表情をかすかに見せる犯人に、涼子は拍子抜けしていた。
「あの…」
人質女性も涙に濡れた怯えた表情で、犯人の顔色をうかがっていた。

「ちゃんと、告白すればいいのよ」
ミニスカポリスが当然だと言わんばかりにニコニコと笑うと
「てコトは、犯人の要求は、『あなたが好きです』ってこと、ですか?」
立て籠もり犯が実は恋する青年だったとわかって表情を緩めた山田は、冷やかし気味にこみ上げる笑いをこらえていた。

「うっ、うるさいっ、そうだよっ、好きなんだよっ、悪いか」
お気楽ミニスカポリスに秘めた想いをバラされてしまった犯人は、愛の告白をヤケクソ気味に口走っていた。

交渉人涼子2 4話(5) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 4話 スーパー立て籠もり事件(3)

ろま中男3 作品リスト
交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 4話 スーパー立て籠もり事件
(3)説得開始

「ご苦労様です」
野次馬の人だかりをかき分けた涼子は、犯人が立て籠もる鮮魚コーナーを取り巻く警官隊に指揮官の警部を見つけ敬礼する。

「ご苦労様ですっ」
緊張感のないミニスカポリスはニコニコ笑って敬礼すると、またもナマ足を跳ね上げてコビを振りまく。
だから、短いのよ、…。
愛が来る前は、現場で制服警官たちのイヤラシイ視線を一身に受けていた涼子だったが、愛に注目する視線を感じて、不機嫌そうなジットリした視線を向けた。

「涼子さん?…」
え…、イケナイイケナイ…、事件に集中しないと、…。
お気楽ミニスカポリスに気を取られてた涼子は、山田に声をかけられて我に返り、
「犯人は?…」
宗田と名乗る警部に状況説明を求めた。

犯人はレジの女性を拉致して鮮魚コーナーの調理場に立ち籠もった。作業中の職人から柳包丁を奪って、女性に突きつけて脅しているらしい。女性以外の店員はすでに待避済みで、犯人からの要求は特にない。

「山田、行くわよ」
「はいっ」
涼子が気合いを入れて山田に声をかけると、愛がハツラツとした声で応えた。

アンタじゃ、ないわよ、…。
子供っぽい元気のいい返事に、ココが小学校で自分が低学年の担任のような錯覚を覚えた涼子は拍子抜けして、
「山田、いいわね」
返事するタイミングを逃してイジける山田を切れ長の目で見ながら、もう一度声をかけた。

「はい」
涼子の冷たい流し目にゾクゾクして、折檻されたときのような喜びを感じた山田は、愛に負けじと元気よく返事をする。
何考えてるんだか、…。
山田の目が微妙に笑っているのに、小さく嘆息を漏らした涼子は、もう一度気合いを入れ直して調理場のドアを開ける。

「くっ、来るなっ、こっ、コイツを殺すぞっ」
解体中のマグロが乗った作業台の向こうに、20代ぐらいの男性が血走った目でこちらをにらんでいた。

男は手に刃渡り20センチはありそうな包丁を握って、片手で引き寄せた女性に突きつけている。

「その女性を離して、投降しなさい」
興奮する犯人を無表情に見つめた涼子が、お約束のセリフで犯人の自首を勧めると
「来るなっ、来たら、コイツを殺すっ」
こわばった顔に怯えの表情を見せる犯人が、また同じような文句をわめいた。

「その人、誰ですか?…」
涼子の肩の後ろからひょいと顔を出した愛が、緊張感のない笑顔で犯人に問いかけた。
またアンタは、出しゃばって、…。
耳元でしたその声に誰よりも気が抜けた涼子は、苦々しい思いでお気楽な笑顔をにらんでいた。

「た、たすけて、くださいっ」
人質の女性がその声に反応して、涙混じりのかすれた声を漏らす。
「お、おまえは、黙ってろ」
哀れを誘うその声に、犯人がうわずった声でまたわめく。
「ひっ…」
女性は目の前にかざされた鈍い光を放つ刃物に、縮み上がって口をつぐむ。

「女性に危害を加えるなっ、罪が重くなるだけだぞっ」
涼子の後ろに控えていた山田が、もっともらしいご託で犯人に渋い顔を向けた。
「うるさいっ、だ、黙れっ、ホントに殺すぞっ」
アイドル顔のイケ面のお為ごかしにますます興奮した犯人が、女性の首筋に包丁を突きつけ、
「ひっ、た、助けてっ、殺さないでっ」
冷たい刃先の感触を素肌に感じた女性が、半ベソで助けを求める。

「アンタは、黙ってなさい」
よけいに犯人を興奮させた山田に、涼子が冷たくつぶやく。
「あ、す、すいません…」
涼子に怒られて恐縮した山田だったが、美人刑事の冷たい視線にまたマゾ気を昂ぶらせていた。

「ダメだよ、好きな人に、そんなコトしちゃあ」
涼子と山田の奇妙な関係を匂わすやりとりの横で、困った人を見るような目で犯人の粗暴な行為を見る愛が、聞きようによっては思いやりがこもったとも感じる声で話しかけた。

交渉人涼子2 4話(4) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 4話 スーパー立て籠もり事件(2)

ろま中男3 作品リスト
交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 4話 スーパー立て籠もり事件
(2)現場急行

「涼子、事件だ」
愛のオトボケで緩みきっていた特別班の空気が、課長の一言でたちまち引き締まった。

「はい、現場は?」
カッカッとかかとの音を響かせて課長席の前に立った涼子が、直立不動の姿勢で指示を待つ。
「FOOD ONスーパーで包丁を持った男が人質を取って立て籠もったそうだ、すぐに現場に向かってくれ」
涼子の引き締まった端正な顔を見つめる課長の声は涼子への信頼を感じさせる。

「了解しました、山田、出動だ」
涼子はFOOD ONに買い物に行ったことはないが、国道沿いの場所はすぐに思い当たった。山田に声をかけると涼子は特別班を飛び出していった。

「涼子さん、愛を、置いてかないでっ」
「涼子さん、待って」
涼子を追って愛がマイクロミニのナマ足を大きく開いて走ってくる。遅れて山田が懸命に追ってくる。

「勝手にしなさい、山田、遅いっ」
これ見よがしに…、いけない、…。
パカパカと大マタ開きするナマ足をチラ見した涼子は、若い愛にヤキモチめいた気持ちが湧き上がってくるのを慌てて否定すると、山田に渇を入れた。

駐車場の愛車YZF-6にまたがってエンジンを掛けた涼子は、静かな震動にしなやかな女体を武者震いのように震わせていた。
「失礼します」
やっと追いついた山田が走ってきた勢いのまま二ケツの恐怖も忘れて、狭いダンデムシートにまたがると、ヘルメットに頭を押し込んだ。

「涼子さん、行きましょう」
ピンクヘルメットをかぶった愛がステップボードに掛けた足を見せつけるように、涼子を促す。

「いくわよ」
今日こそ、チギッてやる、…。
前の事件では街乗りの混雑した道で125ccとはいえ原付の愛に追従された涼子は、今日こそ愛をブッチギッてやろうとアクセスに力を込めた。
くっ、いいわよっ、…。
599ccインライン4のエンジンはおおざっぱに言うと愛のエンジンの約5倍だが、、チューンナップされたパワーは実に10倍以上を発揮する。アクセルを煽られたYZFは野獣のような咆哮をあげて、獲物に襲いかかろうとするかのように前輪を持ちあげる前傾姿勢を取ろうとするが、涼子は体重を前に掛けて力ずくで押さえつける。

「ひっ、りょ、涼子さんっ、たすけてっ」
国産なら400ccクラスの車体に1.5倍の排気量エンジンを載せたYZFは、国内版のマイルドさとは比べものにならない凶暴でピーキーなトルク特性で車体をガツンと押しやって、ダンデムで縮こまった山田を恐怖のどん底に突き落とす。

「しっかりつかまってなさい」
後ろから涼子のナイズバディに抱きつく山田は震えながら、二つの大きなふくらみをしっかり手の平に握って必死にすがりつく。

私が、本気を出せば、こんなものよ、…。
愛のスクーターはあっという間にはるか後方においていかれた。バックミラーでピンクのヘルメットを確認した涼子はちょっとばかり溜飲を下げて、YZFの咆哮に煽られてうずく女体をよがらせて、小さく色っぽい溜息を漏らす。

前回の事件と違ってラッシュ時からずれた時間帯だったため、涼子のYZFはその本来の性能を存分に発揮して、愛に大差をつけて現場のスーパーに到着した。

「道が空いてると、全くかないませんね」
涼子に遅れて数分後に到着した愛は、舌をペロリと出したカワイイ笑顔でYZFの横にスクーターを停めると
「山田さん、大丈夫ですか?」
YZFの性能限界まで攻めるライディングの犠牲になった山田が、うつむいてドンヨリ座っているところに声をかけた。

「あ、うん、大丈夫…」
カワイイがあまり心配してなさそうな声に顔を上げた山田は、しゃがんでムッチリした太ももの奥に白い布地を見て、少し元気を取り戻していた。
「やだあっ、山田さんの、エッチッ」
ローアングルで真正面からミニスカの中をノゾキ込む山田のエッチな視線に気付いた愛は、なんだかうれしそうに笑うと山田の背中をバッチーンと大きな音を立てて叩き、ミニスカを太ももの間に押し込んでいた。

「痛いよっ…、あ、涼子さん、違いますからっ」
背中にカワイイが真っ赤な紅葉模様をつけられた山田は、軽い浮気行為を涼子に見とがめられた気がして慌てて謝っていた。

「山田も回復したようだし、いくわよ」
私以外じゃ、立たないって、言ったクセに…、やだ、わたしったら、…。
最近山田の視線が愛に注目しているコトを見て見ぬふりをしてきた涼子は、癇癪を起こしそうになったが、大人の女の態度を保って上司らしく二人に気合いを入れた。

「はいっ」
「がんばりますっ」
涼子の厳しいカツに立ち上がって敬礼した山田と、相変わらずマイペースでなんだか楽しそうな愛だった。

またキジ抜きの、まぬけな桃太郎か…、笹野さんなら、キジかしら、…。
愛のお気楽な表情に前回の現場と同じような気の抜けた想像を浮かべた涼子は、笹野のシワだらけの顔にトサカつけたキジ顔を想像していた。

交渉人涼子2 4話(3) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 4話 スーパー立て籠もり事件(1)

ろま中男3 作品リスト
交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 4話 スーパー立て籠もり事件
(1)マンドラゴラ

「涼子さん、これ、カワイイでしょ、どうぞ」
デスクワークする涼子にお茶を出した愛が、ストラップを差し出した。

「何、コレ?」
正体不明なマスコットの付いたストラップを指でつまみ上げた涼子の、不思議そうなファニーフェイスを
「マンドラゴラです、カワイイでしょ」
愛がニコニコしてノゾキ込む。
「それって、引き抜くと悲鳴上げる植物で、それを聞いた人は死んじゃうとか言う…」
涼子は聞き覚えのある単語の意味を無意識に口走っていた。

「さすが涼子さん、よくご存じですね」
相変わらず脳天気な笑顔を浮かべる愛は、イスを引っ張ってきて隣に座った。いつものパンチラしそうなマイクロミニから伸びたムッチリしたナマ足がまぶしい。
「オレも知ってる…、マンドラゴラ引き抜くときはイヌにつなげたヒモで引かせるんですよ、犬は死ぬけど、それでうまく手に入れられるんです」
デスクワークに飽きた山田も話しに加わってきた。

「そんな奇怪なモノを…」
山田のせいでいつも破廉恥行為を連発しているが、自分を至極まともな人間だと思っている涼子は、そんなオカルトチックなアイテムを身につけるつもりはまったくなく、お気楽な笑いを浮かべる愛を不審げにチラ見するとまた書類に目を落とした。
「ほらね、おそろいでしょ」
涼子のいぶかしげな視線など全く気にしない愛は、ミニスカのポケットをゴソゴソ探してパンチラしそうになりながら、ケータイを取りだして同型のストラップをかざすと
「愛の光で闇を撃つ。あんたが悪事を隠しても、尻尾とアンヨが見えてるよ。その名も人呼んで、ケータイ刑事井上愛。そこら辺のギャルと一緒にすると、ヤケドするよ…、えへっ」
いきなり立ち上がってポーズをとった愛は某BS-iドラマの初代ヒロインのキメゼリフを見事に言い切ると、はしゃいで足を跳ね上げていた。

「だから何?」
愛のペースに巻き込まれたくない涼子は、愛の悪ノリをあえて無視して冷たくツッコンだ。
「えへへっ、それにマンドラゴラって…」
せっかく練習した決めポーズを涼子に無視されてもめげない愛は、イスに座り直すとちょっとイタズラっぽい笑顔を作って意味深な視線を向ける。

「愛ちゃん、オレにはないの」
何となく仲間はずれにされた気分の山田が、物欲しそうに愛の脳天気な笑顔と健康的な下半身を交互に眺めていた。
「山田さんにはありません、だってこれ以上、ねえ…」
山田の視線を意識してか、してないのか、妙にうれしそうな愛は足をパカパカ広げて涼子にパンチラしながら、意味深に笑う。

「これ以上って、なに?」
愛のだらしない下半身に誘われて徐々に体の向きが斜めになって、無意識にミニスカの奥をノゾキ込む山田が不満そうに聞く。
「今日は白か、やっぱり女の子は白が一番だな」
そこにやはり事件もなく暇そうな笹野が首を突っ込んで愛の下着の色をバラしてニヤニヤしていた。

「やだあっ、もう、笹野さんたら…、スケベジジイ」
笹野のスケベ面に顔をしかめた愛がミニスカを押さえて閉じたヒザの間に押し込み、山田をガッカリさせた。
「山田はこんなモノ持たない方がいい、そうでなくてもスケベだからな」
さっきから三人の会話に聞き耳を立てていた笹野は、山田の問いかけに答える代わりに思わせぶりにからかっていた。
「スケベって、どうゆうことですか、笹野さん」
なんだか自分だけ仲間はずれにされた気がしてすこし不機嫌になった山田が、笹野に抗議するような口調で聞く。

「あ、ああ…、マンドラゴラの効用は精力絶倫だそうだ、おまえには必要ないだろ」
カラミ気味な山田をあっさりかわした笹野は、愛の代わりに説明していた。
「そんな…、まあ、そうですけど」
やっと愛から仲間はずれにされた理由がわかった山田は不満そうに答えたが、その態度は自慢気だった。
「山田さん、よく涼子さん見つめて、おっきくしてますもんね」
腰を突き出すように立つ山田に脳天気に笑う愛がコワイモノ知らずなツッコミを入れていた。

アンタも、これ以上ムダに色気を振りまいて、どうするつもりなの、…。
笹野の説明を黙って聞いていた涼子は、不気味なマスコットの二股に分かれた部分を無邪気な笑顔でイジる愛に、ジットリした視線を向けていた。
「?…、涼子さん、なんですか?…、はい、コレでおそろい」
涼子の視線に気付いてニッコリ笑った愛は、机に置いてあった涼子のケータイにストラップをつけるとニコニコ笑う。
「…、笹野さん、お茶、煎れましょうか」
愛の傍若無人に呆れてものが言えない涼子は、立ち上がって給湯室に向かった。

「涼子さん、いいですよ、私が行きます」
涼子の不機嫌などお構いなしの愛は、お茶くみは自分の仕事とばかりに涼子を制して、パタパタと給湯室に向かった。
「涼子さん、今夜は…、燃えますね」
席に戻った涼子のナイズバディを視姦するようにスケベな視線をまとわりつかせる山田は、ストラップを指先に引っかけた涼子のケータイをブラブラさせてニヤニヤしていた。

「この、バカモノッ、仕事しろっ」
調子に乗りすぎの山田に瞬間沸騰した涼子は、みごとな脚線美を一閃させて山田の側頭部を捉えた。久しぶりに折檻を受けた山田は声も上げずにその場にすっころんだが、その顔はニヤけていた。

交渉人涼子2 4話(2) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 3話 劇場立て籠もり事件(10)

ろま中男3 作品リスト
交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 3話 劇場立て籠もり事件
(10)事件解決

「あなたも、早く服を着なさい」
泣きじゃくる莉菜の背中を優しくさする涼子は、部屋の隅でYシャツ一枚のしどけない姿でだらしなく足を広げたままの愛に声をかけた。

「へ…、あ、は、はい…、いやん、エッチ…」
涼子の声に放心した顔を上げた愛は我に返ってはしたなくおっぴろげた足を閉じると、ひとりでイッてしまった恥ずかしさに照れ笑いしながら、いつもの軽口を漏らした。

「莉菜ちゃん、子供の名前は莉依子にしてね」
山田に促されてダランと下がった息子をしまった立て籠もり犯斉藤は、ナカ出しした莉菜にすがるような視線を向ける。
「愛、彼女を連れて行って、すぐに病院に連れて行くのよ」
斉藤に冷たい一瞥をくれた涼子は、すがりつく莉菜を引きはがして愛に指示する。

「莉菜ちゃん、オレ、莉菜ちゃんのこと、絶対忘れないから」
毛布にくるまれて楽屋を出て行く莉菜に、斉藤はなおも追いすがるように声をかける。
「オマエ、自分の立場がわかってないな」
山田とまな板ショーまでさせられた涼子は、卑劣な強姦魔に沸々と怒りが湧き上がってきてスパルタンな艶姿で斉藤の前に立ちはだかる。

「なんだよ、エロ女刑事…、コイツのマラ咥え込んで、ヒーヒー言ってたな」
涼子の冷たい視線に気圧された斉藤だったが、強がって悪態をつく。
「山田、ドアを閉めろ」
怒りで美しい顔をこわばらせた涼子の指示に、山田が慌ててドアを閉めると
「な、何する気だっ」
怯えた表情で後ずさる斉藤の股間に、涼子のワイドトップスーパーロングブーツの足先が振り下ろされた。
「やめっ、ぐえうっ…」
口から泡を吹いてうずくまり股間を押さえて苦悶する斉藤に、山田は男にしかわからない激痛地獄を想像すると、身震いして股間を両手で押さえていた。

「連れて行け」
激痛にもだえる斉藤に全く同情を感じない涼子は、制服警官を呼んで連れて行かせた。

「いやあ、ご苦労様でした」
警官隊が引き上げてようやく落ち着いた頃、ストリップ劇場の支配人が手もみしながら涼子にすり寄ってきた。
「いえ、なにか?」
支配人の不気味な笑いに涼子が怪訝そうな表情を見せると、山田が間に入って背中で涼子をかばい威嚇する。

「いえ、あのですね…、見させて貰いました、素晴らしいです、ウチで働きませんか」
山田の肩越しに涼子に愛想笑いを浮かべる支配人は、こともあろうにストリッパーとして涼子をスカウトしようとしていた。
「ええっ、どうしよっかなあ…、でもお~、愛はあ、生涯警察官ですから」
いつの間にか話に加わっていた愛が黄色いくちばしをツッコンで、モジモジしながらまんざらでもなさそうに応える。

「ダメですよ、何言ってるんですか」
愛に調子を外された山田だったが、支配人をにらみつけて威嚇した。しかし脳裏に舞台の上で脱衣しながら、あやしい視線を送る涼子が踊る姿を浮かべて、股間を膨らませていた。
「愛…、私たちに遠慮しなくて、いいんだぞ、キミならすぐにナンバー1になれるぞ」
股間をチラ見して山田の考えていることを見透かしたように冷笑した涼子は、浮ついた愛を突き放すように声をかけた。

「いやんっ、冗談ですよっ、涼子さん、愛は、生涯一警官ですからっ」
涼子の冷たい態度に少しは反省したようで、愛は涼子にすり寄ってお尻を揺らし、ナマ足をすり合わせてミニスカのスソを波立たせていた。
「そうですよ、これからもこの3人で頑張りましょう」
冷たくあしらわれる愛に同情したのか、山田も愛に同調していた。

「そう…、じゃあ、どっかでお昼ごはん、食べてく?」
愛に味方する山田にちょっとヤキモチを焼いた涼子だったが、大人の態度で切り返すことにした。なおも取りすがろうとする支配人を無視して、涼子はプライベートモードになって山田にカワイイ笑顔を見せた。

「そうですね、ちょうどお昼だし」
「愛、おいしいお店、知ってますよ」
涼子の笑顔にだらしなく顔を緩めた山田はうれしそうに応え、愛も楽しそうに涼子の腕に抱きついていた。

犯人の斉藤は監禁、強姦の罪で懲役5年を喰らった。豆ドロボウは刑務所でもっとも軽蔑される犯罪であり、服役者たちの最下位に置かれた斉藤は同室の受刑者たちに性のはけ口にされて毎晩犯され、出所する頃には立派なオカマになって莉菜のことなど全く忘れていた。

交渉人涼子2 3話 劇場立て籠もり事件 終わり
交渉人涼子2 4話(1) につづく
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┃ テーマ:自作長編官能恋愛小説 ━ ジャンル:アダルト

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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 3話 劇場立て籠もり事件(9)

ろま中男3 作品リスト
交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 3話 劇場立て籠もり事件
(9)狂乱の楽屋

「あ、ああ、涼子さん…、愛…、イッちゃいますっ」
Yシャツ一枚羽織っただけの若い女体をさらす愛は、ここが凶悪犯の事件現場であるコトなどお構いなしに、淫靡な指先の動きにカラダを任せて快感をむさぼっていた。

「涼子さん、はあっ、涼子さんが、一番です」
涼子に後ろからしがみつく山田は狂ったように腰を振り続けて、極上の女体を翻弄する悦びに浸っていた。
「く、おおっ、いいぞ、はあっ、もっと、やれえっ」
美男美女の激しい交接に煽られた犯人の斉藤も、対面座位に抱く莉菜のカラダをズンズンと突き上げて、ケモノのような劣情に支配されていた。

「あ、あんっ、ああっ、見て、愛、もう、イっちゃう…」
股間に当てた指先を妖しくうごめかせる愛は、火照った女体を誇示するようにYシャツを肩から脱いでピンクの乳首が屹立する乳房をプルプル揺らす。
「涼子さん、オレ、幸せですっ」
任務をはき違えた山田も、愛に負けじとばかりに腰を振って涼子を激しく揺さぶって、人並み以上の息子でかきだした愛液を、細かいしぶきにしてお互いの股間に飛ばしていた。

「あ、ああっ、もう、ああっ、だめえっ」
山田の強引な愛撫に涼子も肉欲の悦びに浸っていた。匂い立つような女体をのけぞらせる美人刑事は懸命にお尻を突き出して激しい突き上げを受け止めていた。
「…うふうっ、ふうっ、うっ、ふっ」
立て籠もり犯に緊縛されて広げられた足の間に挿入された踊り子莉菜も、お互いに絡ませた足の中心をぶつけられる激しい突き上げにもだえ、苦悶の表情を浮かべて猿ぐつわされた口から苦しそうなうめき声を漏らす。

「お、おおっ、出るっ、で、」
犯人は涼子と愛が欲情した女体から発散するフェロモンに酔って淫欲に狂っていた。抵抗できない莉菜に欲望のまま腰を突き上げて相棒の挿入を繰り返す斉藤は、早々と絶頂に達して熱い粘液を踊り子のナカに放出した。

「あ、いく、イキますっ、うっ、ううっ」
犯人が腰を突き上げて莉菜にザーメンを注ぎ込むのに合わせるように、山田も涼子のナカに熱いほとばしりを放出してガタイを震わせる。
「あ、あんっ、あつっ、やっ、あんっ」
山田がめいっぱい腰を突き上げて火照った体を抱きしめると、息苦しさで妖艶な横顔を悩ましげに曇らせた涼子は、体の芯で熱くはじける奔流に切なげにカラダをよじらせる。

「あ、あっ、いくっ、イっちゃう、ああんっ」
愛も濡れ濡れの股間を突き出すように若いカラダを緊張させて壁に寄り掛かると、プシュッと潮を吹いて絶頂に達していた。

「山田…、確保…」
感極まって潤んだ視界に犯人がグッタリして莉菜を抱きしめる姿を見た涼子は、満足そうに後ろから抱きついてバカ面をさらす山田に指示する。自分でイッてしまった愛は壁に背を当ててしゃがみ込み、床にお尻をつけてだらしなく足を開いた姿をさらしていた。
「あ、はい…、犯人確保…、11時20分…」
まだ涼子に抱きついていたい山田だったが、涼子の命令には絶対服従の山田は名残惜しそうに火照った女体から離れると、精を絞り出して放心した斉藤に手錠を掛けた。

「もう…、大丈夫よ」
あそこをキレイにする間を惜しんでパンティを引き上げた涼子は衣装の乱れを直すと、まだ犯人のイチモツが突き刺さったままの莉菜を抱き上げて猿ぐつわを外す。
「あ、はあっ、ああっ、はあっ、いやあっ、やだあっ」
やっと口の縛めから開放された莉菜は大げさに息を荒げると、涼子に抱きつき豊かな胸に顔を埋めて泣きじゃくった。

交渉人涼子2 3話(10) につづく
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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 3話 劇場立て籠もり事件(8)

ろま中男3 作品リスト
交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 3話 劇場立て籠もり事件
(8)乱交の事件現場

「…ううっ、ううっ、うっ、うっ」
ニンマリ笑う斉藤の邪悪な肉棒に貫かれ、華奢な女体を上下させられる莉菜は、コロスなどとすごんで言う剣呑なセリフに震え上がって、ピンクの乳首をプルプルさせながらこもった声を漏らしていた。

「涼子さんは、世界一の女性です…、犯人に見せつけてやりましょう」
愛の不用意な一言で犯人の斉藤にとんでもない要求を突きつけられ、それに乗せられてすっかりその気になって股間をふくらませた山田が血走った目で涼子を見つめてくる。
「…、ばかっ、しっかりしなさい」
涼子は山田を叱りつけたが、イヤラシイ目で視姦されて頬をほんのり染め、息を弾ませてミニスカの股間を湿らせていた。
「涼子さん、嫌がってるじゃないですか、…なんなら私がお相手しますよ」
山田の血走った目を笑いながら見ていた目立ちがりの愛は、Yシャツをヒラヒラさせてパンチラさせて一歩前に出る。

「…どっちでもいいから、早くしろっ、殺すぞ」
ジレた斉藤が声を荒げると莉菜がビクンと震える。犯人と莉菜が腰を下ろした床の水たまりがまた大きくなって湯気を上げる。
「…山田さん、…いいですよ」
恥ずかしそうに頬を染めた愛はなぜかうれしそうな笑顔で、フリルのパンティを下ろしてお尻を突き出した。Yシャツのスソからチラチラするナマ尻をチラ見した山田が、涼子の顔を物欲しげに見ていた。

「…わかったわよ、ほら、どうぞ」
山田の視線で女体の芯を熱くした涼子は、火照ってゆるみそうな顔を引き締めるとミニスカに手を入れてパンティを引き下げた。
「涼子さん、…私、任務だったら、ガマンできますよ」
笑顔を絶やさない愛が、ナマ尻をチラ見せしながら口を挟んできたが
「じゃあ、失礼します」
すでにうれしそうにズボンを下ろした山田が涼子に後ろから抱きついていた。

「あっ、はあっ、ああ…」
前技もなく貫かれた涼子は、しかししっとりと濡らした淫裂で山田の人並み以上のそれを受け入れた。初っ端から勢いよく突き上げる山田に押されて、涼子はもだえながら莉菜の楽屋に入っていった。仲間はずれになった愛はYシャツのスソを握って所在なさげに若い肉体をモジモジさせながら、物足りなさそうに二人の激しい交わりを眺めていた。
「おっ、いいぞ、刑事さん、イヤラシッ」
激しく出入りする肉棒に汁気を飛ばす股間を凝視しながら、莉菜の肉体を翻弄する斉藤は狂気の漂う笑いを浮かべ、口からツバを飛ばして涼子と山田をあおっていた。

「…うっ、おっ、おおっ、うおおっ」
甘い吐息をもらす涼子の切なげで妖艶な横顔をのぞき込んだ山田は、絶品の女体にすっかり没頭して、犯人の言葉など耳に入らないように腰の前後運動に熱中していた。
「…あっ、はあっ、いやっ、…こ、壊れちゃう、…」
後ろからしがみつく山田にズンズンと突き上げられて、翻弄される女体を快感に震えるワイドトップのスーパーロングブーツの足で頼りなげに支える涼子は、股間から広がる熱い官能の波に甘美な喜びに浸る意識を漂わせた。
「…涼子さんは、世界一ですっ」
端正な横顔を肉欲の喜びに曇らせた涼子に、劣情を昂ぶらせた山田は任務そっちのけで火照った女体を攻め続けた。

「…おう、おうっ、おうっ」
二人の濡れ場にあおられた斉藤も莉菜に欲望を叩きつけて、やせた女体を激しく揺らしていた。
「…あっ、はあっ、はあっ」
ひとりかやの外に置かれた愛は、二組の情欲が渦巻く淫靡な熱気にあてられて、無意識に股間に潜ませた手で敏感な突起に触れてビクッと震えると、手淫を始めて若い女体をよがらせていた。

交渉人涼子2 3話(9) につづく
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