ろま中男3 作品リストみなしごルリイ パパと呼ばないで 目次みなしごルリイ パパと呼ばないで (3)Gets 豪徳寺
「…、オジサン食べないの?…、おいしいよ」
うう~、おいしすぎるうっ…、しあわせえっ…、あれ?…、なんで、食べないの?…。
キラキラする豪華ホテルの一流フランス料理店に、普段はあまりしない物怖じをしていたルリイだったが、前菜に手をつけた後は止まらなくなっていた。
フォーク片手に出される料理を次々に平らげる元気娘を、中年紳士は柔和な笑顔で見つめていた。
「!…」
あっ…、まさか私をたべちゃお、ってエッチなこと、考えてる?…。
料理にほとんど手をつけない中年が気になったルリイは、またまた見当違いな妄想を浮かべると、照れたように笑ってフォークを唇でなぶっていた。
「私のことはいいから、ドンドン食べなさい、お代わりしてもいいんだよ」
天然な勘違いでおちゃめな表情を見せる美少女に、中年紳士はうれしそうに笑った。
「お代わりなんて…、じゃあ…、お土産に、持って帰っても、いい?…」
…、いくら何でも、はしたないよね…、でも、優しそうなオジサンだし…、お土産くらいは、いいかな…。
おじさんの優しい言葉に恥ずかしそうに笑ったルリイは、高校の制服が高級ホテルには場違いに感じた引け目がまた蘇ってきたが、このおいしい料理を施設のシスターたちにも食べさせてあげたいと思った。
「…、じゃあ、後でルリイのところに届けさせるよ」
恥ずかしそうに上目遣いにうかがうルリイのかわいらしさにニッコリ笑った中年は、ウエイターを呼ぶとなにやらエラそうな声で耳打ちする。
「ルリイ?…」
なんで?…、名前、言ったっけ?…、う…、エンコーオヤジのネットワーク、恐るべし…。
エンコーというおおっぴらに出来ないコトに手を染めるルリイは、名前を明かさないようにしている。中年男が名前を知っていることに軽く恐怖を覚えた。
「じゃあ…、部屋、行く?…」
やっぱり、ストーカー?…、とっとと済ませて、トンズラしよっ…。
届けさせるということは、きっとあとで住所を聞かれると思った勘違い美少女は、この手の粘着質なオッサンとは早めに切り上げた方がいいと思った。
「部屋?…」
ルリイのいぶかしげな表情に反応して平板な表情を見せた中年が問い返す。
「ご休憩でしょ…、ね…、優しくしてあげるよ」
もう、お金もらっちゃったし、
勘違い娘は伝統のありそうな高級ホテルに似つかわしくない、いつもの安手ラブホの用語を口走っていた。
その分はちゃんとするからね…。
正体不明で怪しげなオッサンを警戒して食べるのをやめたルリイだったが、もらってしまった報酬分の労働はちゃんとする、という責任感が身についていた。
「休憩?…、ああ、じゃあ、ちょっと休んでいこうか」
笑顔を見せなくなったルリイが疲れたのだと思った中年紳士は、またウエイターを呼ぶとなにやらささやいて立ち上がった。
「うん…、行きましょ」
なに、きどってんの…、私のカラダを想像して、エッチなコトばっかり、考えてるクセに…。
天然勘違い美少女は中年の脂ぎった欲望を曲解しながら、男に腕をかけて胸を押しつけるとニッコリ笑った。
「ああ…、こっちに…」
最初に歩道橋の上から仁王立ちして見下ろしたときのような小生意気な笑みを浮かべるルリイに、若干キョドる様子を見せた男だったが、レディをエスコートする紳士然としてロビーに向かった。
「いつもありがとうございます、豪徳寺様」
男がフロントで声をかけると、素早くフロントマンがキーを差し出す。
「ありがとう」
うやうやしく頭を下げるフロントマンに声をかけて男はエレベーターホールに向かう。
「オジサン、豪徳寺って名前?…、なんか、スッゴイお金持ちみたいな名前…」
正体不明で怪しい中年男の正体のほんの一部分を知ったルリイが、うかがうような上目遣いで見上げる。
「あ、ああ…、まあ、世間一般から見るとそうなるね…」
うれしそうに料理を平らげていた時から一転して警戒心をムキ出しにするルリイに、男はやはり若干キョドる様子を見せていた。
「そう…」
なにそれ…、きどっちゃって…、これだから金持ちは…。
持って回った言い方で金持ちだと認める男に、金持ちとはコレまでつきあったコトがないクセに、一般的な偏見を持ちだして斜に構えていた。
「入りなさい…」
キーを入れて電子ロックを解除すると、レディファーストが板についた男はルリイを先に入れる。
「…、うわっ、すっごおーい、こんなのはじめてっ」
ピカピカした豪華な部屋を予想していた以上に超豪華なスイートルームに、貧乏美少女は思わず大げさな声を上げていた。
「まあ、掛けなさい…」
元気な女の子らしい感嘆の声をあげるルリイに表情を和らげた男は、優しい笑顔でソファを勧める。
「はい…」
やだ、子供みたいだった?…、やあんっ、フカフカよおっ…。
はしゃぎすぎた自分を恥じたルリイだったが、ヒザを合わせた太ももの間に紺ミニスカを押し込んで高級そうなソファに若いカラダを沈めると、またうれしそうにニヤけていた。
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