2ntブログ

== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 4話 スーパー立て籠もり事件(5)

ろま中男3 作品リスト
交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 4話 スーパー立て籠もり事件
(5)事件解決?…

やれやれ…、そういうこと…。
犯人が人質女性を好きだとわかって、危害を加える危険は低いと考えた涼子は、恋する青年をはやし立てるお気楽な山田と愛をシレッとした目で見ていた。

「ね、そんなモノ離して、ちゃんと告白しましょう」
見事に犯人の気持ちを言い当てた新米婦警は、優しく笑いながら犯人に投降を勧めた。
あらま、私の出る幕、無し、…。
このまま事件が解決しそうな雰囲気に、涼子は愛の交渉人としての素質をちょっと見直していた。

「う、うるさいっ、オレはコイツと死ぬんだっ、出てけっ」
しかし犯人は声を荒げて片手で抱きしめた女性に包丁を押しつける。幸いまだ人質はケガしてないが、犯人の興奮した様子からは、凶器が人質のカラダを傷つけるのは、時間の問題と思われた

「ちょっと…」
もう、よけいに怒らせたじゃない、…。
このまま事件解決と思っていた愛は思惑が外れて渋い顔をしていたが、
「スイマセン…」
涼子の不機嫌そうな顔にシュンとなった。

行くわよ、…。
愛をさがらせた涼子は、山田をチラ見すると強行突入を目配せして伝える。
はい…。
涼子のアイコンタクトを了解した山田が小さくうなずくと、解体途中のマグロが乗った作業台を軽々飛び越えた涼子が人質を確保するのと同時に、山田が犯人の凶器を払って抑え込んだ。

「え…」
あっという間の出来事に、逮捕された犯人は呆然としていた。
「あ…、涼子さん、スゴイ、カッコイイッ」
ネコ科の肉食獣のようにしなやかにカラダを踊らせた涼子に見とれていた愛は、神速の軽業に感嘆の声を上げ、職務を忘れて傍観者になっていた。

手錠をかけられた犯人は、警官隊に引き渡されて所轄に連行された。

「あの…」
涼子に救出されたレジ係の女性が、不安そうに涼子に声をかける。
「あの人…、どうなるんでしょうか…」
女性は犯人の罪状を心配しているようにみえた。

「あなたを不法に拘束した被疑者は、刑法220条の逮捕監禁罪に問われます、裁判で有罪判決が出れば、3月以上7年以下の懲役です、包丁で脅した行為は刑法222条脅迫罪になり、2年以下の懲役、または30万以下の罰金です、通常は併合罪としてそれぞれ罰が科せられます」

この娘、どうして、こんなに詳しいのかしら、…。
そこへまた愛が首を突っ込んで、法知識をチラつかせた。

「そうですか…、でも、お客さん、なんですよね…」
女性は犯人が刑務所に入れられるのを望んでいないように見えた。
「あなたと犯人の関係は…」
事情聴取は署に戻ってから行うが、女性の態度が気になって涼子は聞いてみた。

「関係なんて…、ただのお客さんとレジ係です…、けど…」
「けど、なに?」
うつむいた女性はそこまで言って口ごもった。

「…、『幸せの黄色いハンカチ』かも…、婦警さんのセリフで、そう思ったんです…」
女性はためらいながら続けた。どうやら女性も犯人に好意を持っていたようだ。

「あの、痴話ゲンカ…、ってコトになりませんか、誰かケガしたってワケじゃ、ないんだし」
監禁男を犯罪者にしたくなくて、女性は強い口調で訴えた。
「でも、逮捕監禁の罪は親告罪ではないし、これだけ大がかりに警察が動いている以上、告訴は避けられないわ」
レジ係の優しい気持ちになんとなく申し訳なくて、涼子は目をそらしてつぶやいた。

「いいじゃないですか、痴話ゲンカだったんですよ」
そこにまた愛が首を突っ込んで、ニコニコ笑っていた。

交渉人涼子2 4話(6) につづく
ブログランキング ケータイの方はこちらから
ブログランキングバナー1日1クリックご協力をよろしくお願いします。
関連記事
┗ Comment:0 ━ Trackback:0 ━ 10:22:01 ━ Page top ━…‥・

== Comment ==






        
 

== Trackback ==

http://aosaga9.blog.2nt.com/tb.php/1880-ca97a210
 
Prev « ┃ Top ┃ » Next