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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 4話 スーパー立て籠もり事件(3)

ろま中男3 作品リスト
交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 4話 スーパー立て籠もり事件
(3)説得開始

「ご苦労様です」
野次馬の人だかりをかき分けた涼子は、犯人が立て籠もる鮮魚コーナーを取り巻く警官隊に指揮官の警部を見つけ敬礼する。

「ご苦労様ですっ」
緊張感のないミニスカポリスはニコニコ笑って敬礼すると、またもナマ足を跳ね上げてコビを振りまく。
だから、短いのよ、…。
愛が来る前は、現場で制服警官たちのイヤラシイ視線を一身に受けていた涼子だったが、愛に注目する視線を感じて、不機嫌そうなジットリした視線を向けた。

「涼子さん?…」
え…、イケナイイケナイ…、事件に集中しないと、…。
お気楽ミニスカポリスに気を取られてた涼子は、山田に声をかけられて我に返り、
「犯人は?…」
宗田と名乗る警部に状況説明を求めた。

犯人はレジの女性を拉致して鮮魚コーナーの調理場に立ち籠もった。作業中の職人から柳包丁を奪って、女性に突きつけて脅しているらしい。女性以外の店員はすでに待避済みで、犯人からの要求は特にない。

「山田、行くわよ」
「はいっ」
涼子が気合いを入れて山田に声をかけると、愛がハツラツとした声で応えた。

アンタじゃ、ないわよ、…。
子供っぽい元気のいい返事に、ココが小学校で自分が低学年の担任のような錯覚を覚えた涼子は拍子抜けして、
「山田、いいわね」
返事するタイミングを逃してイジける山田を切れ長の目で見ながら、もう一度声をかけた。

「はい」
涼子の冷たい流し目にゾクゾクして、折檻されたときのような喜びを感じた山田は、愛に負けじと元気よく返事をする。
何考えてるんだか、…。
山田の目が微妙に笑っているのに、小さく嘆息を漏らした涼子は、もう一度気合いを入れ直して調理場のドアを開ける。

「くっ、来るなっ、こっ、コイツを殺すぞっ」
解体中のマグロが乗った作業台の向こうに、20代ぐらいの男性が血走った目でこちらをにらんでいた。

男は手に刃渡り20センチはありそうな包丁を握って、片手で引き寄せた女性に突きつけている。

「その女性を離して、投降しなさい」
興奮する犯人を無表情に見つめた涼子が、お約束のセリフで犯人の自首を勧めると
「来るなっ、来たら、コイツを殺すっ」
こわばった顔に怯えの表情を見せる犯人が、また同じような文句をわめいた。

「その人、誰ですか?…」
涼子の肩の後ろからひょいと顔を出した愛が、緊張感のない笑顔で犯人に問いかけた。
またアンタは、出しゃばって、…。
耳元でしたその声に誰よりも気が抜けた涼子は、苦々しい思いでお気楽な笑顔をにらんでいた。

「た、たすけて、くださいっ」
人質の女性がその声に反応して、涙混じりのかすれた声を漏らす。
「お、おまえは、黙ってろ」
哀れを誘うその声に、犯人がうわずった声でまたわめく。
「ひっ…」
女性は目の前にかざされた鈍い光を放つ刃物に、縮み上がって口をつぐむ。

「女性に危害を加えるなっ、罪が重くなるだけだぞっ」
涼子の後ろに控えていた山田が、もっともらしいご託で犯人に渋い顔を向けた。
「うるさいっ、だ、黙れっ、ホントに殺すぞっ」
アイドル顔のイケ面のお為ごかしにますます興奮した犯人が、女性の首筋に包丁を突きつけ、
「ひっ、た、助けてっ、殺さないでっ」
冷たい刃先の感触を素肌に感じた女性が、半ベソで助けを求める。

「アンタは、黙ってなさい」
よけいに犯人を興奮させた山田に、涼子が冷たくつぶやく。
「あ、す、すいません…」
涼子に怒られて恐縮した山田だったが、美人刑事の冷たい視線にまたマゾ気を昂ぶらせていた。

「ダメだよ、好きな人に、そんなコトしちゃあ」
涼子と山田の奇妙な関係を匂わすやりとりの横で、困った人を見るような目で犯人の粗暴な行為を見る愛が、聞きようによっては思いやりがこもったとも感じる声で話しかけた。

交渉人涼子2 4話(4) につづく
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