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交渉人涼子2 6話 中年自殺未遂事件(3)

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交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 6話 中年自殺未遂事件
(3)真面目な自殺志願者

さて、どうしたものかな、…。
自殺志願の中年男性は異様な興奮状態で危険な状態だ。2メートル以上ある網フェンスで簡単に手が出せず、取り押さえようというそぶりを見せたとたんに男性が飛び降りる恐れがあった。

凶悪犯罪人だったら多少手荒な扱いになっても、俊敏な涼子がいきなり飛びかかって取り押さえてしまえばいい。交渉人である涼子だが犯人逮捕の決め手はいつも力業だった。

しかしただの自殺志願なら刑法犯ではないし、いつもの乱暴な手段が使えないので、調子が違って涼子は手を出しかねていた。

「オジサン…、死んだら、もう、こんなカワイイ女の子、見られなくなるよ」
うかうかしている涼子を尻目にお色気担当婦警がしゃしゃり出た。
また、この娘は…、でも、どう出るか、とりあえず、見てみるか…。
いつものように勝手に先走る愛を切れ長の目でチラ見した涼子だが、彼が愛の安っぽい色気に乗っかってくれればそれでもいいと突き放して様子見することにした。

「どお、ココ、見たくない?」
お気楽ミニスカポリスは取り囲む警官たちに恥じる様子もなく、超マイクロミニのスソに指を這わせてズリ上げるそぶりを見せる。
もったいぶるな、パッと、いっちゃえ、…。
セクシーポーズのつもりなのか、つま先から足を突き出してナマ太ももを強調する愛がシナを作ってフェンスの向こうの中年男性にウインクする。涼子は心の中でスケベオヤジのようにはやし立てて、成り行きを見守っていた。

ザ・ミニスカポリスの評判を知っている刑事や制服警官たちは、愛にイヤらしい視線を絡めて鼻の下を伸ばしていたが
「ふっ、ふざけるなっ、バカにするも、いいかげんにしろっ」
「ひっ、きゃんっ」
死ぬ覚悟を決めた人間は愛程度のガキの色気にはなびかなかった。大声で怒鳴りつけられた愛は腰を抜かして中年男性にM字開脚を披露したが、ガキのションベン臭い下穿きにはやっぱり目もくれない。

「ここは、涼子さんの出番ですね」
いつからいたのかまだ心持ち腰を引いた山田が、涼子のセクシーポーズというご褒美を期待する忠犬のように後ろで笑っていた。
「だったら、おまえが行け」
また変な事、考えてる…、あなたが行きなさいっ…。
茉莉というカワイイベイビーまでいる愛妻に人前で恥ずかしいマネをさせる妄想をして、だらしなく顔を緩めるスケベな夫を横目でチラ見した涼子は、プチ癇癪を起こして脚線美でキレイな弧を描くとみっともなく腰を引いた山田のケツを蹴り上げた。

「ひいっ…、あっ、あの…、死んじゃ、いけません」
笹野に痛めつけられたお尻の中心をまた涼子に攻められた山田は、お尻を押さえながらたたらを踏んでフェンスに寄りかかると、泣き出しそうな半ベソの顔で中年男性に訴えかけた。

「うっ…、うるさいっ、オレは死ぬんだ」
お尻の激痛のせいで半ベソになっているのだが、中年男性は意外と涙もろいようで情けない顔を見せるアイドル顔のイケ面刑事の涙に一瞬躊躇してから拒絶した。

泣き落としか、…。
山田の方が少しでも中年男性の気を引いていることに不満な愛が、つまらなさそうに横で超マイクロミニのスソをチラチラさせるのを無視した涼子は、浪花節の泣き落としで説得する作戦を考える。

「名前を聞いてもいいですか」
方針の決まった涼子が真面目な顔で近寄り、興奮して荒い吐息にまみれた中年男性をジッと見つめた。もちろん名前はさっきの刑事が調査済みだが直接聞くのが交渉の第一歩だった。
「うっ、うるさい、関係ないヤツは、引っ込んでろ」
美人刑事の真っ直ぐ見つめる目ヂカラに気圧される気がした中年男性は、心持ち顔を伏せて怒鳴り返す。

「きゃっ、あぶない」
興奮した男性の足下が崩れ落ちそうになって不満そうに見ていた愛が黄色い悲鳴を上げる。幸い男性は何とか踏みとどまっていた。遠巻きにする刑事たちも固唾を飲んで緊張したが、一様に安心したようなため息をつく。

「あなたの身元がわからないと、あなたが死んだあとで調査しなければなりません、自殺するだけでも迷惑なんですから、よけいな手間を省くべきでしょう」
落ちそうになって改めて20メートル以上はある落下点をのぞき込んでハアハアと興奮した吐息を響かせる中年に、涼子は突き放したような一見冷たい言葉を投げかける。

「う…、清水だ…、もう、いいだろ、死ぬから、あっちに行ってくれ」
50歳前後に見える男性はきっと地道で真面目な人生を送ってきたに違いない。そういう人間にとって誰かに迷惑をかけることは他人が思う以上に後ろめたさがある。涼子のセリフに過敏に反応した男はあっさり名前を教えた。

「清水さん、そんなところにいたら、話が出来ません、こっちに来ませんか」
名前を聞き出すことで交渉相手との意思の疎通ができた涼子は、神妙な面持ちで呼び寄せようとする。
「うっ、うるさいっ、死なせてくれっ」
屋上のフチに立つ中年の足はガクガク震えていた。ちょっとしたきっかけで足を踏み外すかも知れない。自殺の決意が固い中年男性は涼子の声を無視して、飛び降りるきっかけを測っていた。

どうしたものかな、…。
とりつく島のない中年に振り出しに戻った気分の涼子は小さく息を吐いて、次の手を考えあぐねていた。

交渉人涼子2 6話(4) につづく
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