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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 5話 無差別殺傷事件(2)

ろま中男3 作品リスト
交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 5話 無差別殺傷事件
(2)恐怖と勇気

キチ○イだ、…。
誰だかわからないがナイフを持った男が、車にはね飛ばされた人を襲っている。放送禁止用語が頭に浮かぶ。

ああっ、…。
目の前で現実に行われている凶行に、足がガクガク震えてオレはみっともなく尻もちをついた。

どこかで悲鳴がしたと思ったら、あちこちから女性の叫び声がした。

ううっ、…。
腰が抜けて震えるオレは、しかし男から目が離せずにいた。男は何度もナイフを振り下ろし、倒れた人に何度も突き刺した。

ひいいっ、…。
振り上げたナイフがキラリと陽光を反射して、鋭い刃先から血が滴るのが見えた。

逃げないと…、ひっ…。
命の危険に怯えて震えながら逃げようとすると、手をつかまれた。ビビッて振り向くと彼女の濡れた目がオレを見つめていた。

うわあっ、…。
彼女の視線に戦慄した。涙に濡れた目に込められた死にたくないという強い意志が、オレを恐怖させる。

歯の根が合わずにカチカチと鳴った。彼女に弱々しく握られた手を振り払うことも出来ずに、また尻もちをついていた。

あ…、うわあっ、…。
彼女の大きな瞳が恐怖を帯びて揺れる。ハッとなって振り返ると、男が血を滴らせたナイフを下げて、こっちに向かってくる。

ひいっ…、ああっ…。
殺されると思った。逃げようとして何とか腰を上げると、手首を掴む手が強くグリップした。ギョッとして振り向くと、潤んだ目が助けてと懸命に訴えていた。

「あ…、うわあっ」
その時のオレは、彼女をオトリにして逃げるという、賢い考えが浮かばなかった。オレが逃げたら、彼女が殺されると思ったとたん、オレは泣きべそをかきながら、男に飛びかかっていた。

「うわっ、うわああっ」
低い体勢からのタックルに男はあっさり倒れた。オレは泣きながらわめいて、男に抱きついていた。

「うわっ、あっ」
遠くでする悲鳴を聞きながら、両手に力を込めて男の腰のあたりに抱きついていると、背中を叩かれた。

「あ…、ああ…」
それから何度も背中を叩かれた。脇腹に垂れてくるナマ温かい何かに、刺されたのだと思ったけど、もうどうしようもなかった。

「ああ…」
だんだん力が抜けてきて、涙でぼやけた視界が暗くなってくる。

「あ…」
男にはねのけられたところで、記憶は途切れた。


「涼子さん、お茶、どうぞ」
デスクワークで書類を処理する涼子の前に、愛がニコニコ笑って湯飲みを置いた。

「もう、そんな短いの、はかなくていいのよ」
前回の事件処理で涼子から指示された超マイクロミニを定番にした、愛のまぶしいナマ太ももをチラ見した涼子は、不機嫌そうにつぶやいた。

「これで男の人から見られるのが、快感になっちゃいました」
涼子の不興を全く関知しない愛は、ハツラツとした脚線美を見せつける様にして足を一歩前に出すと、足を跳ね上げてシナを作っていた。

「おおっ、今日は黒かっ、気合い入ってるな」
そこへニンマリ笑った笹野が口を挟んできた。

「もう、スケベジジイなんだからっ」
「あ、マチコ先生だ」
短いスカートをのぞかれても恥じらう様子のない愛の「まいっちんぐ」ポーズに、山田が嬉しそうにツッコミを入れた。

「ふうん…」
デレデレしちゃって…、帰ったら、折檻ね、…。
愛のサービスポーズではしゃぐ山田に、涼子は切れ長の目で冷たい視線を送る。
「あ…、いや、その…」
冷たい視線を受けた山田は不機嫌そうな上司に恐縮しながら、婦唱夫随のあうんの呼吸で涼子の考えていることを敏感に察知して、マゾっぽい倒錯した興奮を昂ぶらせてニヤけていた。

「涼子、事件だ、行ってくれ」
まったりした特別班の空気をかき消すように、課長の緊迫した声が響く。
「はいっ」
その声に涼子は気を引き締めると、大人の色気を漂わせる脚線美を新米婦警に見せつける様に、ヒールを響かせて、課長席に向かった。

交渉人涼子2 5話(3) につづく
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