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== 文庫本の彼女 ==

文庫本の彼女 (2)彼女との出会い

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文庫本の彼女 目次

文庫本の彼女 (2)彼女との出会い

非常停止信号を受信しました、しばらく停車します…。
車掌のアナウンスが流れてそれまで順調に運行していた電車が減速して駅間の線路上で停止した。

水沢はチッと舌打ちした。

水沢は混雑を嫌って早い時間の電車に乗るが、朝のこの時間はちょっとでも電車が遅れると次の駅で大量の客が乗り込んできて車内は立錐の余地もないほど混雑する。

またか…。
週に1回は遭遇するこの非常停止にいまだに慣れない水沢は不機嫌そうに顔を曇らせた。
…、えっ…。
気を紛らわせようとドアの上にあるモニターのトレインチャンネルに目を向けた水沢は、優先席の前で吊革につかまって文庫本を読む女性に目を奪われた。
…、きれいだ…。
険しい表情が緩んで放心したような目が彼女を見つめていた。高慢ちきな女子高生や慢性的な非常停止に対する苛立ちなどあっさり吹っ飛んで、うだつの上がらない中年は彼女の理知的な横顔にしばらく見とれていた。
…、いくつぐらいだろう…。
20代後半ぐらいに見えるが女性の年齢は見た目ではわからないと思っている。癒し系な落ち着いた空気をまとって文庫本に目を落とす女性が醸し出す優しい雰囲気に、水沢はすっかり魅了されていた。

うっ…、なに見てんだ…、
まるで恋する少年のように端正な横顔に見惚れていた水沢だったが、まじまじと女性を見つめる自分に気付くといまいましげに目を伏せた。
でも…、いい女だ…。
彼女はニット地のワンピにジャケットを羽織っている。短いジャケットの下にのぞく、腰のくびれからお尻に続く曲線が女性らしい柔らかさを示しているように感じた。

何してんだ、オレは…。
新人女子社員のことがあってから女性に触れるのは性処理のために風俗に行く時ぐらいで、意識的に素人女性を避けてきた水沢は見ず知らずの女性にムラムラする自分を叱責したが
でも、何、読んでるんだ?…。
あまり視力の良くない水沢は彼女が手にする文庫本のタイトルが見えず、それを知りたい衝動に駆られてつい近寄っていた。

停止信号が、解除されました…。
水沢が一歩踏み出すのと同時に車内アナウンスがしてガクンと車体が揺れた。
おっ…、あ…。
揺れで前のめりになった水沢は慌ててつり革に手を伸ばして彼女のすぐ後ろに立った。肩に垂れた髪から出た耳と透き通るような白い首筋が目の前にあった。

しまった…、
後ろに忍び寄る怪しい中年になってしまったと感じた水沢は彼女に警戒されると焦ったが、
あ…、はあ…。
彼女はあいかわらず落ち着いた様子で文庫本に視線を落としていた。意識しすぎを恥じた中年はそっと胸をなで下ろした。

すぐに電車は次の駅に到着した。非常停止で止まっていたのは数分だったが水沢の予想通り開いたドアから大量の乗客が乗り込んできた。
おっ、おいっ…。
後ろから押されて図らずも彼女の後ろに密着してしまった。
あ…、や、やばい…
普段から痴漢扱いされるのを恐れて満員電車では女性に近寄らないようにしている水沢は、ドキマギしながら彼女の様子をうかがった。
…、なんだ…。
みっともなくキョドるオッサンに対して彼女の様子は変わらなかった。水沢は自分が完全無視されていることに若干落胆したが、それよりも安心する気持ちのほうがはるかに強かった。

うっ…、やばい…。
安堵したのもつかのま密着する下半身から伝わる柔らかい感触に気付いた水沢は、恥知らずにも下半身の一部を固くしていた。
お、おいっ、押すなっ…、
痴漢扱いされるのを恐れて体を離そうと後ろにズレようとしても逆に押し返され、水沢はニット地ワンピの柔らかいふくらみのワレメに固くなった分身を食い込ませていた。

くっ…、おいっ…。
なんとか後退しようとするが後ろの乗客もムキになって押し返してくる。
はああ…、しょうがないか…。
押しくらまんじゅう状態の車内でムダな抵抗をあきらめたオッサンは、痴漢行為と言われてもしかたない状態を恥じながら、下半身から伝わる女体の柔らかさにますます自分自身を固くしていた。

文庫本の彼女 (3)につづく
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== 文庫本の彼女 ==

文庫本の彼女 (1)水沢というオッサン

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文庫本の彼女 (1)水沢というオッサン

エラそうにしやがって…。
通勤電車に揺られながら水沢は心の中で悪態をついていた。ヤブにらみする水沢の視線の先には座ってナマ脚を組んだ女子高生がいた。


水沢義人はそろそろ40に届こうかという中年男でそこそこの会社に勤めて17年になるが、いまだに係長止まりだった。

同期の多くは課長以上に昇進しており後輩でも自分より昇進にしたモノが多く、部長になっている人間もいる。

昇進した同期や後輩より自分が劣った人間だと水沢は思っていない。顧客の評判は良く、仕事の評価は同期ではかなり高かった。水沢が出世できなかった理由は一つに休みが多かったことだ。

そこそこの企業らしく世の中の流れに迎合して実力主義を謳っていても結局旧態依然とした人事制度は改められず、「休まない、遅れない、仕事しない」人間が出世していた。

「休まない、遅れない」はその通りの意味だが、本当に「仕事しない」人間が出世することはもちろんない。自分だけで仕事をしようとする人間は係長どまりで、うまく部下を使って「仕事をさせる」つまり自分だけで「仕事しない」人間が上に行ける。


水沢が部下を使う能力において特に劣っているということはなかったが、女子社員のあしらいに失敗したことが彼の運命を決めた。

水沢は主任になったばかりのころ部下の新人女子社員に言い寄られた。見た目はそこそこカワイかったが腰掛けOLの典型だったようで、コギャルをそのまま引きずっているような女性だった。

仕事が面白くなってきたばかりで彼女とつきあうつもりはなかったが水沢は真摯に対応しようとした。しかしその態度が気に入らなかったのか逆に反感を買った。

デタラメなウワサを言いふらしたその女子社員は他に結婚相手を見つけてさっさと会社をやめてしまったが、ウワサは女子社員の間で根強く残り水沢は女子社員から忌み嫌われる存在になってしまった。

女子社員から総スカンを食った人間を上司は昇進させようとは思わない。旧態依然が密かに幅を利かせる職場では社員同士の「和」が何より大事なのである。

自分では精一杯の誠意を示したつもりがとんでもないしっぺ返しを食らった水沢は女性不信になってこの年まで出世も結婚もできずに来てしまった。


女子社員のあしらいに失敗したことは会社員として必要な対人関係における人間力のなさを示しているが、実務的な仕事では自信を持っていた水沢は会社にたいして不満を持つようになった。

そんな気持ちでする仕事には身が入らずミスが目立つようになり、それがまた水沢を苛立たせてミスを誘発するようになっていた。

こうして負のスパイラルにはまり込んだ水沢は万年係長の座に甘んじていた。自分で思う実力が評価されないことを嘆き、退屈な日常の些細な出来事に腹を立て不満を託つイヤミなオッサンに成り下がっていた。


電車に乗り込むときに水沢の足を踏んだ女子高生は濃いマスカラに飾られた半眼で一瞥すると、フンと鼻息が聞こえてきそうな生意気な表情を見せてあやまりもせずに空いていた席に座った。

ガキのクセに、色気づきやがって…。
盛り場にたむろしてそうなハデなコギャルのナマ脚からかすかに漂う淫靡な雰囲気に、潜在意識でオスの本能を刺激される中年男は、無意識にそれを打ち消すように心の中で呪詛の文句をつぶやいていた。

文庫本の彼女 (2)につづく
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== はじめに ==

文庫本の彼女 目次

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文庫本の彼女 目次(11/12/11更新)
痴漢や強姦は刑法犯罪です。これはフィクションです。実在の人物団体と一切関わりありません。

内容:
己の不運を託つ万年係長の水沢は、電車で見かけた文庫本を読む美女に一目惚れして…。

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