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== 女子校生由貴 ==

女子校生由貴 (369)○妻物語

裏ろま中男 作品リスト
女子校生由貴 目次

女子校生由貴 (369)○妻物語

「ぐうう…、ま、待て…、せめて、さ、触らせろ…」
急所を蹴り潰された地獄の苦しみにもだえて口から泡を吹く男は、痴漢としてのアイデンティティをアピールするかのごとく、ローアングルから優の紺ミニスカをのぞき込み震える手を伸ばす。

そんなに、触りたいんか…。
断末魔のうめき声に振り返った優は、苦痛にもだえながら痴漢行為を切望する男にあきれかえったが
「きゃあっ、こわあいっ」
由里子はデキの悪いホラーを茶化すかのように、キャアキャア声を上げて走り出す。

「はあ、おもしろかった…、優ちゃん、やっぱり、イチゴ、って言われたから、怒ったんだよね」
優の手を引いて駅前の通りまで走った自称ゴスロリ少女は、ハアハアと華奢な肩を上下させて楽しそうに笑っていた。
「なに、それ…」
まったく…、コイツの言うことは、よくわからん、…。
ゴスロリ映画『下妻○語』で土屋ア○ナの演じたヤンキーが、本名の「イチゴ」を嫌って「イチコ」と自称し、「イチゴ」と呼ばれると暴力に訴えていたことを由里子は言ったのだが、優は痴漢男が「イチゴー」と言ったことさえ忘れていた上に、そんな昔の映画など知らなかった。

「そうだ、優ちゃん、服買おうよ、特攻服」
どうやら自称ゴスロリは自らをフカキョンになぞらえて、優を土屋○ンナにしたいと思いついたらしい。
「はあっ、特攻服…、それって不良が着るヤツでしょ」
なんで、私が不良のカッコ、しなくちゃイケナイのよ…。
由里子本人にしてみればいちおう筋は通っているだが、突飛なことを言い出す不思議ちゃんに呆れすぎて、優はいつものツッコミが沈黙していた。

「優ちゃん、 胸、小さいから、土屋アン○が着てたのが、ピッタリなんだけどな…」
中世ヨーロッパ風ワンピドレスの由里子は、気分はもう『下妻物○』になりきっているようで、ノッてこない優が不満そうだった。
「悪かったね、胸が小さくて…」
なにおっ、胸が小さいのがスキだって、男だって…、そうだ、タダシのヤツだって…。
縦ロールにボンネットの頭を揺らす由里子の毒舌にムッとした優だったが、タダシがふざけて「ツルペタがスキ」と言ったのを思いだして、突然ニヤケだした。

「そうか、じゃあ、BABYの服にしよう、そうしよう…」
特攻服をあきらめた由里子は、ニヤける優を無視して今着ているメゾンの服を買いに行こうと言い出す。
「ベイビー?…、なにそれ」
赤ちゃん、プレイ?…、私ったら、なにを…。
由里子が愛用するゴスロリメゾンの知識が皆無の優は、タダシにムリヤリオムツを付けさせられて変態プレイする自分を妄想して、軽く自己嫌悪していた。

「優ちゃんなら、きっと、ピンクのヒラヒラ、似合うよっ」
スレンダーな少女っぽいカラダにゴスロリピンクワンピを装着したカワイイ優を妄想した由里子は、心持ち息を荒くしてなんだか妙にイレ込んでいた。
「いや、服は、タダシが買ってくれる…」
なんかキョワイ…、って、やばいよ、言っちゃった、…。
自称ゴスロリ少女のランランと輝く眼光に怖じけた優は、ついタダシに服を買ってもらうことを口走った。しかし由里子の反応が思い浮かんですぐに後悔した。

「ええっ、タダシ君にいっ、ずるうい…、いいなあっ、由里子もおっ」
予想どおりの反応を見せる由里子に優は黙るしかなかった。痴漢男から巻き上げた諭吉で優に服を買おうとしていて由里子は、自分の着るモノは自分で選ぶことにしているので服を買ってもらいたいのではなく、あのタダシから貢ぎ物されるコトをうらやましがっていた。

「いや、ちがうから…、そうっ、省吾退治のため、だからっ」
ひいい…、由里子の目が…、そうだ、省吾を懲らしめるためじゃんっ、…。
剣呑で異様な眼光を帯びた由里子に恐れをなした優は、建前のはずだった省吾征伐を口走って、図らずもタダシの本心を語っていた。

「なにそれ…、由里子、聞いてないよ」
こういうコトには勘の鋭い不思議ちゃんは、優がタダシたちと結託して何かたくらんでいることを瞬時に見抜いて、動揺する優をジットリした目で見つめていた。

女子校生由貴(370) につづく
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