裏ろま中男 作品リスト女子校生由貴 目次女子校生由貴 (370)だって、かわいそう
「由里子は柊君と、行っちゃったから…」
あ~あ…、しまったあ…、ヒマつぶしのつもりだったんだけどなあ…。
カワイイ顔でヤブにらみする不思議ちゃん系メガネッ娘から渋い顔で目をそらした優は、単にヒマつぶしで呼び出した由里子を省吾退治に連れてくことになると、タダシがいい顔をしないだろうと思って後悔していた。
「そうだけど…、だったら朝電話くれた時に、教えてくれもいいじゃんっ」
ゴスロリ美少女は不機嫌そうにホッペタを膨らませて、横を向いて頭をかしげる優に迫ってくる。
「ああ…、わかったよ、でも約束の時間までまだあるから、どっかでなんか飲もうよ」
しょうがない…、でも、コイツ案外役に立つから、いいか…。
タダシの不機嫌な顔を思い浮かべてため息をついた優だったが、ラブスナイパーの切れ味を知っているだけに省吾退治のお供が増えたことを前向きに考えようとした。
「そうだね、ノド渇いたモンね…、そこでゆっくり聞かせてもらうし…」
不機嫌そうな顔が突然機嫌良くなってニコニコ笑った。優の腕を取ったゴスロリ美少女はどこに行くとも言わずに歩き出す。
「何にする?…、ここのミルフィーユショコラ、おいしいんだよ」
由里子がうれしそうに入っていったのは、例の極甘ケーキショップだった。このあと由貴に連れられてタダシも来るのだが、それはまだあとのことだ。
「ああ、うん…、由里子のお薦めでいいよ…」
もう、なんでもいいや、…。
前向きに考えようとしても、やっぱりタダシに苦虫をかみつぶしたような顔でにらまれるのが思いやられて、優はショコラどころではなかった。
「わかった、…、じゃあ、さっそく聞かせてもらおうかな…」
リリカルな店内の奥まで行ったゴスロリ美少女はメニューも見ずにオーダーを済ませると、縦巻きロールをイジリながら楽しげなアニメ声を発して興味津々に乗り出してくる。
「昨日、省吾に犯されたんだ」
いいや…、もう、言っちゃえ、…。
野次馬根性丸出しの不思議ちゃんをチラ見した優は、前置きなんかをゴチャゴチャ言うのは潔くない気がして、イキナリ本題から切り出していた。
「それって、あのヘタレ変態男とやっちゃった、てこと?」
真顔で告白する優のセリフに、大きな目をパチクリさせた由里子は、合意のセックスだったのかと聞き返す。
「ちがう…、アイツがまたエリ先生にチョッカイ出したから、シメてやったんだけど…、アタシ、気絶しちゃって、それで意識が無い間に…」
アホか…、なんで、私が、あんなのとしなきゃ、いけないのよ…。
不思議ちゃん系メガネッ娘のオトボケにいつもならツッコミが炸裂するところだが、やっぱりあのことを思い出すのはつらくて、意図せずにその口調は沈んでいた。
「え…、じゃあ、気絶してる間に、アイツが…」
由里子もいつものツッコミを予想して身構えていたのだが、予想外の沈んだ声に拍子抜けした。そしてその沈鬱なつぶやきに、カラダとともに純粋な気持ちまで穢された優の悲痛な心の叫びを聞いた気がした。目の前にいる友達が遭遇した過酷な現実を想って言葉につまっていた。
「そう、だから…、って、アンタ、何、泣いてんのよ」
いかん、いかん…、え…、なんで…。
うつむいた自分に気付いた優が気を取り直して顔を上げると、こちらを見つめる大きな目からボロボロ涙がこぼれているのを見た。
「だっ…、だって…」
優のツッコミを待っていたかのように、ゴスロリ美少女はカワイイ顔をグシャグシャにして大声を上げて泣き出した。
「だって…、だって、うっ…、優ちゃん、ひっ…、か、かわいそうっ」
「ああ…、わかった、わかったから…、よしよし…」
なんなんだろ、コイツは…。
辺り構わずに大声で泣き出した由里子を慌ててなだめた優だったが、テーブルに突っ伏して切なげに揺れる肩を抱いて、元はといえば自分のことなのにもらい泣きしていた。予測不能な不思議ちゃんの泣く姿を見守る優は、なんだか温かい気持ちだった。
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