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== アベンジャー由紀 ==

アベンジャー由紀 (13)由紀のトラウマ

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アベンジャー由紀 目次

アベンジャー由紀 (13)由紀のトラウマ

帰りが遅いのを心配して懸命に通学路付近を探した両親に、由紀は強姦された時の姿のまま見つかった。

母の淑子は草むらに横たわる娘の変わり果てた姿を茫然として見つめたが、慌てて駆け寄って乱れたセーラー服を直すと、大声で泣きながら意識のない娘を抱きしめた。

悔しさの混じった悲痛な泣き声が、しばらく夜の森の静けさをかき消していた。父の安弘は淑子がこのまま泣き狂ってしまうのではないかと心配したぐらいだ。

とりあえず生存が確認された由紀は、安弘の運転で病院に担ぎ込まれた。

ERで膣洗浄などの処置を受けた。処置が済んだのちに命に別状無いと医師は説明したが、それから1週間、由紀の意識が戻ることはなかった。

意識が戻らない原因は体が受けた傷より、心が受けた傷がはるかに大きいかったためだと思われた。心因性の場合、すぐに目を覚ますこともあれば、最悪の場合は1年経っても目を覚まさないこともあると、医師は沈鬱に告げた。

愛娘の目覚めを願って淑子は由紀のベッドから片時も離れなかった。淑子の願いが届いたのか、あの事件があってから8日目に由紀は目を覚ました。

無表情に病室の白い天井を見つめた由紀が、ゆっくりと頭を傾けると目に涙を溜めながら笑う淑子の顔があった。

母に抱きしめられた由紀は柔らかくて温かい胸で、嗚咽に震えて荒いが優しい息づかいを聞いていた。

意識の戻った由紀は、しかししばらく口がきけなかった。何かしゃべろうとすると、強姦魔グループにされたことがフラッシュバックし、涙があふれてきて何も言えなくなった。

意識の戻った由紀に学校の友達が見舞いに来てくれた。陽気に振る舞う女の子たちに、話せない由紀は静かな笑顔で応えた。そのさみしそうな笑顔に、淑子は病室の外で泣いていた。

そんな入院生活がしばらく続いていたが、友だちが不用意に口走った噂話を聞いた由紀は、急に切羽詰まった表情を見せて、ギュッと握った拳をブルブル震わせた。

淑子は強姦事件をまた思い出したのかと思ったが、その日はちょっと違った。思いつめた表情で虚空を見つめていた由紀は、唇を噛み締めるとちいさな背中を震わせ、そして悲鳴のような泣き声をあげた。

慌てた友だちがなだめても由紀の涙は止まらなかった。悲しい嗚咽に泣き暮れる娘に、自分も泣きそうなのをなんとかこらえた淑子が抱きしめても、由紀はボロボロ涙を流して慟哭した。

噂の内容はあの少年が自殺したという話だった。少年は由紀を強姦したあのあと、首を吊って死んでいた。

アベンジャー由紀 (14)につづく
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