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== 千人斬りのチヒロ ==

千人斬りのチヒロ (24)お台場署到着

ろま中男3 作品リスト
千人斬りのチヒロ 目次

千人斬りのチヒロ (24)お台場署到着

「災難だったわね」
所轄からの応援に痴漢グループを引き渡した雪乃は、ミニパトにチヒロと静流を乗せてレインボーブリッジを渡っていた。

「いえ、ありがとう、ごさいました」
後部座席でうなだれる静流を抱いて優しく背中をさするチヒロは、沈んだ声で応えた。

「あの痴漢たち、絶対許さないわ」
悲しそうな声に応えた雪乃の声は怒りに満ちていた。
「ホント、痴漢は死刑にすべきですよ」
ドライバーズシートでハンドルを操る夏美が先輩婦警に同意して憤慨した声を漏らす。

「せっかく、こんなカッコウして我が身をさしだしてるのに、見向きもしないなんて、失礼よ」
似合わないセーラー服を着た美人婦警は、自分が痴漢されなかったことを怒っていた。
「はあ…、雪乃さん…」
ココに及んでまだそんな不満に憤る先輩に、後輩童顔婦警はあきれかえっていた。

「さあっ、ついたわよ、痴漢ども、こってり絞ってやるわっ」
そうするうちにミニパトは警視庁お台場署の看板を掲げた警察署に到着した。意気揚々とミニパトを降りた雪乃は元気に手を振っていたが、それは手コキする手つきにしか見えなかった。

「あの…、さっき『警視庁湾岸署』って…」
地下鉄の駅で浮かれた雪乃のセリフを覚えていたチヒロは、ついツッコミを入れていた。
「ああ、あれっ…、だってその方がカッコイイでしょ、タンタンタタンッ、ってね」
照れ笑いした雪乃は例のドラマのテーマ音楽を口ずさんで、マヌケな作者に変わってうっかり口走った間違いを訂正していた。

「志乃原巡査、痴漢おとり捜査から戻りました」
交通課に二人を連れてきた夏美が、課長に綺麗な姿勢で敬礼する。
「志乃原君、ごくろう様、大量検挙だそうだね」
バーコードハゲの課長は答礼を帰すと、夏美の幼児体型の名残を残したセーラー服姿を好色そうな目で舐め回していた。

「こちらで、ちょっと待ってて下さい」
交通課に案内されたチヒロは、なんで交通課の婦警が痴漢の取締をするのか不思議だったが、
「たいへんでしたね、どうぞ」
パンティが見えそうなほどのマイクロミニで脚線美を誇らしげに披露するミニスカポリスに
「あ、ありがとうごさいます」
缶コーヒーを渡されて丁寧に頭を下げた。

「あの、聞いてもいいですか?」
缶コーヒーのプルタブを開けて静流に渡したチヒロが遠慮がちに聞くと、
「なんですか?」
夏美が親しげな笑顔で応える。

「交通課って、こんなコトもするんですか?」
チヒロは先ほどの疑問を口に出していた。コーヒーの湯気を吹いて寄り目なファニーな顔を見せる静流も、気になっていたのか横でうなずいていた。
「あ…、そうですよね、それは、『婦警』の仕事って言っちゃうと、それまでなんですが…」
もっともな疑問に困惑した笑顔を見せた夏美は、なんだか要領を得ないコトを口走った。

「女性警官」ではなく「婦警」と言ったことに特別な意味があったのだが、一般市民のチヒロには理解出来るはずもなかった。

「あっ、それでですねっ、私が署内で一番子供っぽい顔だから、セーラー服着ても、違和感無いだろう、ってことで…、それに私、刑事志望なんですっ」
チヒロの納得できない表情を見た夏美は、あわてて説明を付け加えた。
「そうですか」
たしかにセーラー服を着た夏美は高校生だと言っても通りそうで、一応納得したチヒロは笑顔で応えた。

「でですねっ、雪乃先輩も、『自分もイクッ』って言い出しちゃって…」
チヒロの笑顔に元の親しげな笑顔に戻った夏美は、雪乃が飛び入りした理由も説明していた。

「はあ…、雪乃さんには助けて頂きました」
夏美はセーラー服の似合わない美人顔の婦警がなぜいたのかを説明したのだが、チヒロもあの性格ならあり得ることだと見当を付けていたので、スリム婦警に失礼にならないように言葉を選んでいた。

千人斬りのチヒロ (25) につづく
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