ろま中男3 作品リスト千人斬りのチヒロ 目次千人斬りのチヒロ (23)一網打尽
「はい、そこまで…、全員、婦女暴行と強制わいせつ罪の現行犯で逮捕します」
チヒロが肉の切れ目に食い込む鎌首の餌食になるのを覚悟したその時、後ろから歌うような美しい声がした。
「はい、おとなしくして、抵抗したら撃つから…、どうして、私を襲わないで、一般市民を狙うかな…」
満員の車内をかき分けてチヒロの後ろにたどり着いた女性は、セーラー服だったがそれが似合わない美人顔だった。犯人を威嚇したナンチャッテスリム美女は、痴漢が自分に目を付けなかった不満をぼやいてグチっていた。
「そりゃ、雪乃先輩、ナンチャッテ、バレバレだもん、私だけなら…」
セーラー服スリム美女の後ろに従う童顔セーラー服が、不満そうな声を漏らす。
「夏美ちゃん、なんか言った…」
振り返ったスリム美女の冷たい視線を浴びて
「ひえっ…、なっ、なんでも、ないですっ」
夏美と呼ばれた童顔美女は震え上がって直立不動で敬礼していた。
「はい、おとなしくしてねっ、暴れたり、逃げようとしたら、ホントに撃つからね」
夏美を威嚇した勢いそのままに痴漢集団に振り返った雪乃は、氷の視線で痴漢どもを制圧した。
「一般市民に悪さしないで、私にしてくれば、ちょっとは楽しませてあげたのに…」
拳銃をチラつかせながら萎縮した痴漢男たちに色目を使う雪乃をスルーした夏美は
「大丈夫ですか?…、しっかりして下さい」
絶頂間際で突き放されて茫然とするチヒロに声をかけた。
「おねえさまあっ」
痴漢の魔の手から逃れて緊張から解放された静流が、チヒロの着乱れた胸に抱きついて大声を上げて泣き出した。
「あらら、こんな子まで…」
正真正銘のセーラー服美少女の悲痛な泣き声に端正な横顔をわずかに曇らせた雪乃は、ケーブルを束ねるケーブルタイを大きくしたようなプラスチック・カフで男たちの両手を拘束すると、そこにチェーンを通して全員をつなげた。
「アナタたち、私が特別に絞り上げてあげるから…、覚悟してね」
太もものホルスターから拳銃を取りだして一網打尽した痴漢集団を見渡した雪乃は、ひとりの股間に手を添えてネットリした笑みを見せた。
「はい、みんな、おりて」
次の駅で降りた雪乃が拳銃をチラつかせながら、園児を先導する保母のようなかけ声でチェーンを引いて痴漢グループを引っ立てる。最後の犯人が電車を降りるとそれまで黙って見ていた乗客から拍手が湧き上がった。
「ありがとうございます、警視庁湾岸署でしたっ」
万雷の拍手にご満悦のスリム婦警は手を振って応え、とびきりの笑顔で投げキッスまでした。雪乃は柱にチェーンをつないでロックすると、婦警二人では搬送できないので所轄に応援を頼む電話を掛ける。
「すいません、一緒に来てくれますか」
電話しながら紺ミニスカをズリ上げて痴漢どもに拳銃をチラつかせる雪乃の横で、着乱れたチヒロを介抱する夏美は申し訳なさそうに事情聴取をお願いした。
「私は、いいですけど…」
まだ意識のはっきりしないチヒロは市民の義務として警察への協力を快く受けたが、静流を心配そうに見た。
「私は大丈夫…、おねえさま、ごめんね」
うつむいていたセーラー服美少女はその声に顔を上げると、涙を溜めた目をウルウルさせてチヒロの手を両手で大事そうにつかんだ。
「じゃあ、今日は学校や会社お休みしてもらっていいですか、なんなら、こちらで連絡しますが…」
事情聴取に1日もかからないが、二人が相当ショックを受けていると見た夏美は休むように勧めた。
「それはいいです、連絡できます」
警察から電話がかかったら上司の万年課長が大騒ぎするのが目に見えているので、チヒロは断った。
「私は…」
痴漢されたことが学校に知られるのは恥ずかしくてイヤだった静流は、チヒロの手を握ったまま言いよどんでいた。
「じゃあ、ご家庭から連絡してもらいましょう、今日は病欠と言うことで…」
静流の不安な気持ちを推し量った童顔セーラー服婦警は、優しい笑顔を浮かべて怯えるセーラー服美少女に提案した。
千人斬りのチヒロ (24) につづくブログランキング ケータイの方はこちらから1日1クリックご協力をよろしくお願いします。(別ウインドウが開きます)
にほんブログ村 1日1クリックご協力をお願いします。(別ウインドウが開きます)
- 関連記事
-