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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 2話(12)

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交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 2話 銀行(?)立て籠もり事件
(12) 事件解決

「…、あの、ボク、生まれてずっと、独身なんです」
連行される抜水が、愛のしどけない姿に未練たっぷりの視線を向けてつぶやいた。

「愛もフリーです、彼氏いない歴8ヶ月…」
合コンと勘違いしたような間抜けな返事をした愛が、不思議そうに見ていると
「だから、娘もいないんですよ」
そういえば、娘がいるのと質問した答えを聞いてないことを思いだした愛は、連行される抜水の哀愁の漂う、というより情けない背中を見送った。

「…事件解決よ、早くスカートはきなさい」
昨日と違って一応見せ場もあった涼子がきりっとした顔で、制服の上着を羽織ってぼんやりと立つ愛に声をかけると
「あっ、そうでした」
照れ笑いを浮かべた愛が、大勢の物々しい装備をつけた制服警官に囲まれて、お尻を振りながらミニスカをズリ上げた。竹内を抱きしめたままの山田も、愛の可愛いしぐさを見ながら鼻の舌を伸ばしていた。
「竹内さん、離してあげたら…」
振り向いた涼子がジットリした目で山田を見ると
「…、そうでした、ケガ無い?」
涼子の視線から逃げるように慌てて竹内から手を離した山田が、心配そうな顔で竹内の体中を眺めていた。着やせするたくましいカラダに抱かれていた竹内はウットリした目を山田に向けていた。

「…、一応紹介しておきます、私のハズです」
バカだがアイドル顔の山田は前にも人質に惚れられたことがあるので、涼子は恋する乙女のまなざしでうっとりする竹内に紹介した。
「えっ、そうなんですか…」
あっと言う間に破れた恋に、ガックリと肩を落とした竹内に
「犯人にずいぶん肩入れしてたけど、もういいの?」
追い打ちをかけるようでためらわれた涼子は、気を使って優しく問いかけた。

「私のお父さんは、あんなスケベじゃありませんでした…、ところで私、逮捕されちゃうんですか?」
竹内は抜水のスケベオヤジぶりにすっかり失望したようだ。そして急に不安そうな顔をみせて自分の身の心配をしていた。
「ああっ、犯人隠避のことね」
「あっ、…正確には刑法103条…」
「あなたはいいから」
竹内の不安を払拭しようと明るい笑顔で涼子が声をかけると、ミニスカの乱れを直していた愛がまた口を挟んできたが、涼子は即座に却下した。

「大丈夫よ、犯人は逮捕されたんだし、あなたが心配することはないわ」
怯える竹内を安心させるように、涼子は優しく言葉をかけていた。
「ところで782万円っていう要求、なんでか聞いてる?」
抜水が要求したハンパな数字について聞くと
「…、サラ金に返さなきゃならない、お金らしいですよ」
左上に視線を向けた竹内は、抜水にはもう興味なさそうに無表情に答えた。

取り調べでも、犯行理由はリストラされ金に困っての犯行だと、抜水ははげ上がった額に汗をかき、ぬれねずみのように震えて恐縮ながら自供した。金に困ってついヤミ金から金を借りた抜水は、すぐに元金を上回った利息支払いがどうにもならなくなって、銀行はムリでも郵便局なら何とかなるだろうと強盗に入ったらしい。凶器の三角定規について聞くと、
「…だって、ナイフなんかだと間違ってケガさせるかもしれないし、それにボク、血がコワイんです…」
と応えたらしい。取り調べを担当した刑事は笑いを堪えられずに、書記を担当した刑事とともに大笑いしたそうだ。

留置所に拘留中または刑務所に服役中でも借金の返済義務はあるので、まぬけな強盗に同情した涼子は山田と二人で、そのヤミ金に乗り込んで違法金利の金銭消費貸借契約書を反故にさせた。

暴力団系のヤミ金融五菱会に対する訴訟で、平成20年6月10日最高裁第三小法廷判決「悪質な不法行為に当たる貸し付けは、利息だけでなく元本を含めて返済分全額を賠償すべきだ」とする判断を突きつけて、民事不介入だが、と前置きした上でヤミ金の違法金利を指摘して、生活安全課の知り合いにココを徹底的にマークするように依頼していることを伝えておいた。

あとでヤミ金に乗り込んだことを知った愛は、
「なんで連れて行ってくれなかったんですかあっ」
お尻をプリプリ振りながら駄々をこねて涼子を困らせた。

交渉人涼子2 3話(1) につづく
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