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== THE 歓喜天ホテル ==

THE 歓喜天ホテル (48)愁嘆場

ろま中男3 作品リスト
THE 歓喜天ホテル 目次

THE 歓喜天ホテル (48)愁嘆場

「おい」
色っぽい笑顔を向けるアヤの誘惑から逃げるように、オレはぶっきらぼうに声をかけた。

「…えっ、何?、まだ足りないかった?」
朝食をキレイに平らげたオレにアヤはまだオレが食べ足りないのか、と世話女房気取りでよけいな気を回していた。
「いや、あの、ポイントのことだけど…」
オレはアヤに聞いてみたかった。
「…なに?」
大きなぱっちりした目が、笑顔でオレをのぞき込んでいた。

「…ポイントのこと、だいたいわかってるんだろ」
オレはまだよく理解してない、ココを出るときに賞金に換算してくれるというポイントのことを聞いていた。バカでかいディスプレイには
「ただいまのポイントは1059です。
ポイントはお客様がお帰りになる際に、賞金に換算し、お渡し致します」
昨日から若干アップした数字が表示されていた。

「う~ん、どうかなあ」
アヤは意味深な顔であやふやな返事をしていた。
「ポイント稼ぎたかったら、より多くの相手をしたほうがいいんじゃないか?」
オレの問いに
「…そうかも、しれないね」
アヤはまた思わせぶりな笑顔でオレの顔を見ながら、適当な相づちを打っていた。

「…だったら、オレばっかりかまってないで、他の男も相手したほうが、もっとポイントが稼げるだろ」
オレは一番聞きたかったことを聞いていた。なんでアヤがオレにまとわりついてくるのか、わからなかった。
「…」
アヤは真顔になって黙ってオレの顔を見つめたが、
「それって、アヤが他の男に抱かれても、ジョージさんは平気ってこと?」
ぱっちりした大きな目がオレの顔をのぞき込んでいた。その目はちょっと潤んでいるように見えた。

「…だって、アヤだってポイントアップしてたし、オレがいない間に、…してたんだろ」
言ったあとでなんとなく罪悪感に襲われた。
「ジョージさんの、バカっ」
アヤは叫ぶとオレンジジュースのコップを投げてきた。オレの顔をかすめたコップは窓に当たって割れていた。
「…おいっ、あぶないだろっ」
振り返ると
「…うっ、ううっ、うっ」
アヤは大きな目からポロポロ涙をこぼしながら、オレをにらんでいた。

「…なんで、泣くんだよ、…」
泣く女は苦手だった。オレをにらみながら声を押し殺して泣くアヤに、いたたまれない気持ちになったが何を言っていいかわからなかった。
「…ううっ、うっ、ううっ」
急に立ち上がったアヤは、小さい肩を震わせてドアに向かった。
そのまま行かせてやれ、…。
頭の中でそんな声が聞こえたが、オレはアヤの腕つかんでいた。

「…やだっ、離して」
アヤは自由なほうの手をバタバタさせて暴れると、オレの腹や背中を叩いた。
「ジョージさん、キライッ」
涙ににじんだ大きな目でにらんだアヤはキンキンした大声で怒鳴ると
「…痛てっ、いてえ、やめろっ、はなせ」
引き留めたオレの腕にいきなりかみついてきた。何とか振り払うと今度はだらんと下がった息子に狙いをつける、アヤの狂気を漂わせた視線にビビッたオレは
「悪かった、…ココだけは、勘弁してくれっ」
情けなく尻もちをついて、息子を狙って暴れるアヤをなんとか押しとどめていた。

歓喜天ホテル (49) につづく
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