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== 女子校生由貴 ==

女子校生由貴 (60) 桜の回廊

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女子校生由貴 目次

女子校生由貴 (60) 桜の回廊

タダシが黙って駅を出て歩いていくので由貴はついて歩いていた。

「…?」
由貴は自転車置き場とは違う方向にタダシが歩いていくのに、
どこに、行くの?…。
ドキドキしていた。エッチなことをされるのかもと心のどこかで期待していた。

駅の裏をしばらく歩くと川沿いに桜並木が続いていた。月明かりの下で満開を過ぎた桜は、雪のように花びらを散らしていた。タダシは電車の中からここに桜が咲いているのを見つけていた。

「…わあ、きれい」
由貴とタダシは土手を歩いていた。降りつもる桜の花びらが白い絨毯のように敷き詰められていた。由貴は
まるでバージンロードを歩いているみたい、…。
と思った。

「ああ、雪みたいだな」
タダシは由貴のうれしそうな声に、つい応えていた。
「…えっ、由貴みたいに、きれいってこと」
由貴がうれしそうにタダシの顔をのぞき込んだ。

「ばかっ、…、雪、スノーだ」
タダシはうれしそうな笑顔で輝く由貴に、照れたように横を向いて言った。
「へっ、…あっ、ああ、雪か、そうだね」
また叱られてしまった由貴は頬を染めて、カワイイ舌をだして照れた。そしてウットリした表情で桜の花びらが真っ白な雪のように降ってくるのを眺めていた。

月明かりに照らされて白くぼおっと浮き上がった桜の木は、ふたりの上にしずかに桜の花びらを降らせていた。

由貴はネックレスを外して、リングを手にした。
「…健やかなるときも、病めるときも、死がふたりを分かつまで」
歌うような由貴の澄んだ声がした。由貴はリングを左手の薬指につけた。
「…」
急に何を言い出すんだ、とタダシは由貴を見ていた。

「…由貴は、ご主人様の、愛の奴隷として、愛し慈しみ貞節を守ることをここに誓います」
左手を差し出しながら、由貴はタダシを笑顔で見つめると目を閉じた。
「…」
よくまあ、こんな芝居がかったセリフが出てくるモンだな、とタダシは半ば呆れていたが、目を閉じてキスをせがむ由貴はかわいかった。

「…」
タダシは由貴の左手を握った。由貴のからだがかすかに揺れた。
「…、おい」
目を閉じた由貴にタダシはぶっきらぼうに声をかけた。
「…」
キスしてくれないの、と言わんばかりに由貴はすねたような目をタダシに向けていた。

「…、一生、オレの奴隷になるのか」
タダシは真顔で聞いていた。今までモテた経験が皆無のタダシは、無防備に気持ちを伝えてくる由貴が素直に信じられずにいた。
「…、うん、由貴は、永遠に、ご主人様の、モノです」
由貴はタダシの真剣な表情にまじめに応えた。そしてタダシを見つめて自分の言ったセリフに照れたように、はにかんで笑っていた。

「…」
目の前の少女がどうしようもなくかわいく見えて、胸を締めつける息苦しさに狂おしいほどいとおしく感じた。無垢な愛情を示してくれる女の子を信じてもいい気がした。そしてこれまで由貴にしてきたひどい仕打ちを思い出して、なんだか悲しくなってきた。
「…」
由貴を見つめて目に涙をためるタダシに、由貴も涙を浮かべながら優しく笑って見つめていた。

「…、うう」
タダシは何か言いたかったが、何も言えずに由貴を抱きしめた。こらえようとしたがあふれ出る涙を止められなかった。
「…」
由貴は息が出来ないほどきつく抱きしめられていた。カラダを強く拘束しようとする力に、ただ幸せを感じていた。何とか手を背中に回すと、タダシの震える背中を優しくなぜていた。

「…」
苦しいほど抱きしめられた由貴は、タダシが嗚咽でカラダを震わせるのが直に伝わってくるのをただ感じていた。タダシが落ち着くのを、黙って待っていた。
「…、ご主人様」
タダシの吐息が落ち着いてきて由貴は声をかけた。

「…」
タダシは黙って由貴の言葉を聞いていた。
「…、ちゅー、して」
由貴は明るい声で甘えていた。

「…」
タダシはゆっくり由貴から体を離すと、由貴を見つめた。
「…、ちゅー、してくだたい、ご主人様」
タダシの腕の中で見上げるようにして由貴がほほえんでいた。またロレツがあやしくなっていたが、そんなことはどうでもよかった。

「…」
タダシは由貴の唇に荒々しくキスをした。また涙があふれて、由貴の頬を伝っていた。
「…」
由貴は目を閉じてタダシのキスを受けながら、幼い顔に幸せそうな色っぽい表情を浮かべていた。唇の感触に体の芯が熱くなる気がした。

ふたりを優しく包み込むように、桜の花びらがしずかに降りつもっていた。

女子校生由貴 (61) につづく
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