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== 少女真希 ==

少女真希 (12) 降参

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少女真希 (12) 降参

木立の中で真希と雄次は向かい合って立っていた。

「…言って!」
真希は乗り出すように、雄次の目を見つめてせまった。
「…、ああ」
後ずさりしそうになるのを何とかとどまって雄次が応える。雄次は意識してなかったが真希に見とれて顔を熱くしていた。

「ちゃんと言って!」
真希は背伸びすると口が触れそうなくらい顔を近づけて、雄次の顔を睨みつけた。
「…ハイ、オレは真希がスキです!」
雄次は半ばやけくそ気味に応えた。間近に真希の顔を見ながらその唇にキスしたい欲求と戦っていた。

「…」
雄次の声に一瞬放心したような顔になった真希はうつむくと、
「…、優しく、…言って」
甘えた声でつぶやいた。

「…」
真希が急にかわいくなったので、雄次はつい見つめてしまったが、
「…本田雄次は、…、真希がスキです」
真希を見つめながら応えていた。

「…、えへっ」
真希がまだ涙で濡れた顔を上げたが、そこにはうれしそうな笑顔が浮かんでいた。
「…、ホントにスキ?」
うれしそうニコニコしながら真希が聞く。

「…、ああ」
雄次はその笑顔があんまりカワイイので、真希にもわかるくらい赤くなって顔を反らしていた。
「…、もう、ちゃんと、真希を見て言って」
すねるように体を揺らした。

「…」
雄次は真希の背中から手を離すと、チョット離れて、
「…もういいだろ」
顔を赤くして、つぶやいた。

「…」
真希は雄次の顔をしばらく見つめていたが、
「…、じゃあ、今日はこれで許して上げる」
と笑った。

「…、そうか」
真希が笑ったのに、雄次はほっとしてチョット笑っていた。

「…、でもね、今度からは、スキってちゃんと言わないと」
と言って真希はまた無表情に雄次を見つめた。

「…、言わないと…?」
雄次は真希の様子をうかがった。

「エッチさせてあげない」
と真希ははにかむように下を向いて笑った。
「…、うん」
雄次も真希につられて応えた。真希の仕草がかわいかった。

「わかった?」
真希は顔を上げると、にらむようにして笑った。
「わかったよ」
雄次も困ったような顔で笑った。

「ほんとに、わかったあ」
真希はずっとつないだままだった手を引っ張ってつま先立ちになると、雄次の顔をのぞき込んだ。

「わかりました、って、勘弁してください」
と雄次は頭を下げた。

「あっ、遅くなっちゃった、早く帰ろっ」
真希は雄次の言葉が終わる前に、手を引っ張って走り出していた。

「…へっ、ああ」
雄次は真希のキゲンが直ったのにほっとして真希について走った。

(13) チカン男太一につづく
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