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女子大生菜々子 (58) 痴漢逮捕

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女子大生菜々子 (58) 痴漢逮捕

デパートのエスカレータで痴漢行為をした高校生を、菜々子は捕まえていた。

にらんでる…、退学だ…、もう、終わりだ、…。
菜々子の有無を言わせぬ態度に岡村は今にも泣き出しそうだった。
なんとか、言いなさい、…。
岡村が黙っているので、菜々子も黙って見つめていた。

「…、うっ」
もう、だめだあ、…。
岡村は緊張に耐えきれずに、泣き出した。

「…はあ」
なんで、泣くのよ…、私がイジめてる、みたいでしょ…、もう、ダメな子ね、…。
泣き出した少年に菜々子はため息をついたが、なんだかこれでは菜々子が少年をいじめているように見える。どうにも体裁が悪くて居心地の悪さに機嫌も悪くなってくる。

「来なさい」
もう、やだ、人に見られちゃう…、どっか、行かないと…。
菜々子は強引に少年の手を引くと、
…たしか喫茶店があったはず、…。
エレベーターで上の階に少年を連れて行った。

「…」
エレベーターで美少女と二人きりの状況でも、追い詰められた岡村はエッチな気分になる余裕がなく、泣きながらうつむいて、
…、学校に連絡されて、退学だ、…。
自分の心配ばかりする岡村は、高校中退の惨めな人生を想像してビクビクしていた。
…、なんてバカなことをしたんだろう、…。
淫らな欲望にそそのかされた出来心を心から後悔していた。

菜々子は喫茶店に入ると奥の席にすわった。岡村も菜々子と向かい合って座ったがすっかりしょげて菜々子の顔を見ようともしなかった。
「…」
さあ、どうしようかな、…明日から、教育実習だし…、先生らしい、大人の態度よね、…。
菜々子は黙って岡村を見つめていた。
「…」
もう、だめだ、ぼくは、犯罪者だ、…。
岡村はなんとか泣き止んでいるが、まだ視線を上げることが出来ずに下を向いていた。

「…、あなた名前は?」
いつまでも黙って向かい合っていてもしょうがないので、菜々子が声をかけると
「ひっ、ごめんなさい…」
岡村はテーブルに突っ伏して謝っていた。

「…、名前は?」
そうじゃないでしょ、もう、ダメな子、…。
テーブルに突っ伏したままの岡村に呆れた菜々子は、もう一度聞いた。
「ゴメンなさい、許してください…」
顔を上げられない岡村は、蚊の鳴くような声でまた謝っていた。

「…」
…これじゃあ、昨日の二郎さんと、同じじゃない、…。
ただ謝るばかりの岡村に菜々子は昨日の千葉を思い出していた。そして千葉の顔が浮かんで少し優しい気持ちになった。

「別にあなたを警察に突き出そうなんて考えてないのよ…、ただ名前が分からないと話も出来ないわ、あなたの名前を教えて…」
そうよ、おしり触ったくらいで、警察なんて、おおげさなことしないし…、すこし、やさしくしてあげても、いいわ、…。
大人らしい態度をしようと優しい問いかけをする菜々子は笑みさえ浮かべていた。お尻のナマ肌を触る行為は、条例違反か悪くしたら強制わいせつ罪に問われる行為だが、ここ数日間で菜々子が体験した残酷な陵辱とは比べモノにならないカワイイ行為だった。

謝ってるし、反省してるんだったら、許してあげてもいいのよ、…。
すっかり許す気になっている菜々子は、少年に問いかける優しい口調が実はお尻を触られて煽られたメスの本性が、後押ししていることを気づいてなかった。

「…」
え…、許してくれる?…、…。
口調が優しくなったのに気づいた岡村は、警察に突き出さないという菜々子の言葉にすがるような気持ちで顔を上げた。
「…ねっ」
そうよ、私を見なさい、…、私のお尻を見て、触りたくなっちゃったんでしょ、…。
岡村の潤んだ目にまたメスの部分を刺激された菜々子は、少年を知らずに誘惑してしまった自分に反省しながら、無意識下で男を魅了する自分の肉体を自慢に感じて気分が良くなり、サルのような顔を見つめて優しくほほえんだ。

「…、はい…」
ゆるしてくれる…、かもしれない、…。
菜々子の笑う人なつっこい顔があまりにかわいいくて、見とれた岡村は放心したような顔で答えていた。

(59) サルの岡村につづく
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