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== 女子校生由貴 ==

女子校生由貴 (45) 和解

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女子校生由貴 (45) 和解

人気の少ない駅のホームでサラリーマンの陽一を、高校生のタダシがやりこめていた。

すごい、ご主人様…。
タダシが社会人のお兄さんと堂々と渡り合う様子にすっかり感心していた由貴だった。
いやんっ、…、あ、そうか…。
彼女という単語に一瞬恋人気分になってうかれた由貴だったが、タダシの言葉は自分を恋人として呼んでいるわけではないことに気づいて、
由貴は奴隷だったのよね、…。
とちょっと落ち込んでいた。

「一発や二発では、収まらないのは分かってくれますよね」
タダシは無表情に陽一を見つめていた。その言葉に陽一は恐怖を帯びた視線を一瞬タダシに向けたが、すぐにうつむいてうなずいた。

…勝った、…。
陽一の怯えた態度にタダシは心の中でつぶやいた。一か八かのハッタリだったが効果てきめんだった。しかしこれからが正念場だと、気を引き締めた。

「しかし暴力は法律違反です、そんな野蛮なことはしたくない」
「陽一さんが謝罪の気持ちを示してくれれば、ボクも彼女も納得できると想います」

陽一はやっぱり金じゃないかと思ったが、ココは穏便に納めるためにタダシの口調に合わせて、
「スイマセンでした」
と小さくつぶやいた。

タダシは電車が駅に着くまでに、いくらふっかけようかと考えていたが、特に具体的な金額は浮かばなかった。しかし陽一が
「謝罪の気持ちとして30万払います」
とあっさり言うのに内心しめしめとほくそ笑んで、こりゃまだイケルナ、ともっとふっかけることにした。

「素直に謝罪の気持ちを示してくれて、アリガトウゴザイマス」
タダシは感情を抑えた声で言った。陽一はその言葉につかの間安堵したがタダシに
「でも処女の彼女が心に受けた傷を癒すには、…少なすぎませんか」
と言われて処女という言葉に引っかかりながら、30万でも足りないのかとチョットむかついていた。

「…」
タダシはウソを言ってなかった。昨日はじめて由貴が痴漢されたときは確かに処女だった。その後タダシ自身がしっかりと由貴の処女を頂いてしまったが…。

…、そういえば、由貴、…昨日、処女じゃ無くなったんだ、…。
タダシの言葉に由貴の頭にもそんなことが浮かんでいた。
…、由貴の、ご主人様、…。
タダシに処女を奪われたという意識はなかった。どこまでものんきな由貴は好きだと言ってくれた人と結ばれて、一緒にいられる自分は幸せだとさえ思っていた。

あるいはタダシの残酷な仕打ちにそんな風にでも考えないと、由貴は頭がおかしくなっていたのかもしれない。心の安全装置が由貴の理想の恋愛にタダシを当てはめていただけかもしれない。しかし今目の前のタダシは由貴が恋心を抱くのに十分な男っぷりだった。由貴は一生この人と一緒にいるとまで考えていた。

タダシは銀行のATMなら50万まで引き出し可能だということを思いだして、50万までつり上げてやろうと考えていた。

「わかった40万でいいだろう」
陽一が投げやりに言うと、タダシは陽一の顔を意味ありげに眺めて由貴の方を向いた。由貴はその様子を黙ってみていた。美少女の無垢で無表情な顔に、先ほどの処女という単語が頭に浮かんで陽一はいたたまれなくなって目を背けた。
「50万…」
陽一は絞り出すようにつぶやいた。

タダシはうつむいたままの陽一を眺めながらまた由貴を見た。そして陽一をつかんだ腕に力を入れると陽一の顔をのぞき込んだ。

陽一が腕をつかんだ手の力にチョットおどろいてタダシの顔を見るとにらんでいる。また陽一は目をそらした。追いかけるように
「分かりました」
とタダシは言った。

…ごじゅうまん、…。
由貴はその金額を頭に思い浮かべてあっけにとられていた。お金にあまり執着しない由貴だったので50万の価値は考えなかったが大金だと思った。そしてその大金を年上のお兄さんからあっさり引き出したタダシはスゴイ人だと思った。

「じゃあこういうことはすぐに済ました方がいいでしょう、今から銀行に行きましょう」
と陽一を引っ張って改札に向かって歩いていく。

「変なマネをしたらすぐに駅員に突き出しますよ」
「証拠も身分証明書もこちらにあることをお忘れ無く」
タダシは陽一にしっかりとくぎを刺しておくことも忘れなかった。

陽一に抵抗する気はなく、
「わかった」
とうなだれて返事をした。

電車が到着して客で混雑するホームを横切って、タダシたちは駅の外に出た。

駅前の一番近くに銀行に入った。まだ営業時間前なので窓口は開いていないがATMは使える。陽一の手を離すとタダシは手を振ってうながした。

陽一は財布を取り出すと、キャッシュカードでお金を引き出していた。

戻ってきた陽一から銀行の封筒に入れた50万を渡された。タダシそれを受け取ると50枚あることを確認してカバンに収めた。

…あらら、…。
あっという間に50万を手に入れたタダシに由貴は感心するばかりで、自分にそのお金の権利があることなどまったく考えていなかった。

「カバンを返してくれ」
という陽一に、
「チョット待ってください」
とコンビニに入った。

「この後、何かトラブルがあると困るので、コピーを取らして貰います」
と免許と社員証のコピーを取った。

陽一はお金を渡したことでもう終わったと考え、この時間ならまだ会社に遅刻せずに済むと早くこの場を去ることばかりを考えていた。

身分証のコピーをとられることにチョット不快に感じたが、やはりこの場から早く立ち去りたいという気持ちが先に立った。

「じゃあこれで和解成立ですね、この後陽一さんが何かおかしなことを考えない限り、何も起こりません、安心してください」
そう言ってカバンを差し出すと、引ったくるようにして陽一は逃げていった。

普通なら証拠の写真を消去するように要求しそうなモノだが、この場を早く立ち去りたい陽一にそこまで考える余裕はなかった。

女子校生由貴 (46) につづく
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