裏ろま中男 作品リスト交渉人涼子 目次交渉人涼子 Negotiator Ryoko
11話 死なないで…、交渉人涼子よ永遠に (35)
妊娠するのを願って毎回ナカ出ししていた山田は、涼子の妊娠を心から喜んでいた。喜びのあまり勢い余って涼子をベッドに押し倒した山田のうれしそうな顔を見つめた涼子が、喜んでくれるの?、と涙で潤んだ目で不安そうに聞くと、当たり前ですよ、とはっきりと応えた。きっぱりした山田の態度に不安だった気持ちが晴れて、かすかに笑顔を見せた涼子はうれしくて半ば閉じた切れ長の目からポロポロと涙をこぼしていた。あっ、と叫んだ山田は涼子から離れた。…、急に逃げ出した山田にまた不安になった涼子だったが、どこか痛かったですか、と泣きだした涼子を心配していた。
涼子と赤ちゃんを気遣う山田に安心した涼子は、大丈夫、と泣き笑いの顔でつぶやいた。そうですか、ほっと息をついた山田も笑った。でも、7週目だとまだ不安定らしいから、と涼子が申し訳なさそうに言うと、そうか、しばらくエッチ出来ませんね、でも子供のためだし、しょうがないですよね…、男かな、涼子先輩みたいな美人の女の子だったら、いいですね、すっかり有頂天になって饒舌に喜びを口にする山田はバカ面をうれしそうにゆるませていた。…、でも、山田の喜びようにうれしくなった涼子だったが、気になっていることを黙っていられなかった。
何ですか…、小躍りして陽気に笑う山田が涼子の深刻な顔を見た。あなたの、赤ちゃんよ、涼子は真顔で山田を見つめた。…、当たり前ですよ、なんでわざわざそんなことを言うのかわからない山田だった。あなたも知ってるとおり、私は何度も犯人に…、汚されたわ…、涼子のつらそうな表情に山田は黙って聞いていた。こんなに喜んでくれる山田に水を差すようだが涼子は思っていることをきちんと伝えるのが誠意だと思った。…でも、この子は、あなたの子なの、お腹に手を当てた涼子は、山田ならきっと信じてくれる、と祈るような気持ちで山田を見つめた。しかし信じてくれなかったら、一人で産んで育てるしかない、と悲壮な覚悟を秘めていた。
オレの子供に決まってるじゃないですか、あんな犯罪者相手に、涼子先輩が妊娠するわけ無いですよ、ニッコリ笑った山田は自信満々で応えた。それに7週目ってことは、6週間ぐらい前だから、オレが初めて涼子さんの家に行った頃ですよね、あのときに出来たんだ、幸せ絶頂の笑顔に、信じてくれるの?、涼子は目を潤ませた。信じるも信じないもないですよ、元気な赤ちゃんを産んでくださいね、うれしそうに笑って顔を輝かせた山田が涼子の顔をのぞき込んだ。ありがとう…、そう言って笑顔を見せた涼子は、山田の男らしい態度に心から感謝して、うれしくてあふれる涙が止められずに抱きついたたくましい胸をいつまでも濡らしていた。
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