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== 交渉人涼子 ==

交渉人涼子 11話 (36)

裏ろま中男 作品リスト
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交渉人涼子 Negotiator Ryoko
11話 死なないで…、交渉人涼子よ永遠に (36)

家に帰りましょう、涼子を胸に抱いた山田が優しくささやくと、そうね、を涼子は涙に濡れた目で見上げて笑顔を向けた。そうだ、お祝いにおいしいものを食べましょう、なにか食べたいものありますか?、涼子の笑顔にうれしそうに笑った山田に、…、今日は家に帰りましょう、私が何か作るわ、と涼子が応えると、そうですね、…涼子先輩の手料理、楽しみだな、山田はウキウキして涼子の顔を見た。でも、準備してないし、あまり期待しないでね、以前から和食を作ると約束していたが手の込んだモノを作る時間が無いので、申し訳なさそうに涼子が言うと、涼子先輩の料理だったら、なんでもうれしいです、と山田は笑った。

涼子がナースステーションに挨拶すると、涼子の妊娠を聞いていたサエコが、退院おめでとうございます、幸せになってね、と優しい笑顔を見せた。でも、気が向いたら遊びに来てね、山田にイタズラっぽい笑顔を向けると、もう、来ません、サエコのイタズラに懲りていた山田はきっぱりと断った。山田の誠実な愛情を信じている涼子は、いいじゃない、産科には来るんだから、その時山田と一緒に顔出すわ、とサエコに笑った。そうよね、涼子の幸せそうな笑顔にサエコは笑って応えたが、もう山田にちょっかい出すのはやめよう、と自らに言い聞かせて一抹のさびしさを味わっていた。

タクシーを拾って帰路についた涼子は、材料買うから、…で止めて、とスーパーの名前を告げた。スーパーでカートを押す山田は、新婚みたいですね、とニヤけていた。そうね…、何食べたい、新婚という言葉にドキッとした涼子は照れたように笑って聞いた。そうですね、お祝いだからスキヤキがいいんだけど、暑いからなあ、と考え込む山田に、お祝いはスキヤキなの?、と涼子が笑った。え、ああっ、ウチではそうなんですよ、オヤジがどうも好きらしくて…、照れたように鼻をこする山田に、そうなんだ、と涼子はうれしそうだった。

そういうこと、これからいろいろ教えてね、涼子がはにかみながら言うと、そうですね、オレも涼子さんのご両親のこと知りたいし、…、そうだ、ご挨拶に行かないと、急にまじめな顔になった山田に、そうか、でも親は今、フランクフルトなの、しばらく帰らないと思うけど…、えっ、そうなんですか、困ったように考え込む山田に、まあ、そういう話は後で相談しましょう、とりあえず今は、夕食のメニューよ、と笑顔を向ける涼子に、そうですね…、そうだ、ブタしゃぶ食いたいですね、冷たいヤツ、と応えた。

うん、わかった、ニッコリ笑った涼子はテキパキと材料をカートに放り込んでいた。スーパーからタクシーを拾って久しぶりの家に帰った。山田は涼子の着替えを取りに何度か来ていたが、涼子は一ヶ月ぶりだった。ドアを開けるといつもと変わらない家に、涼子はほっと小さく息をついた。家の中はキレイで、山田は涼子が気持ちよく帰ってこられるように来るたびに掃除をしていたようだ。山田の優しさがうれしかった涼子が、山田、ありがとう、と言うとなんで感謝されるのかわかってない山田は曖昧に笑っていた。

てきとうに座って…、山田に座るように勧めると涼子はコーヒーサイフォンをセットして、腰にエプロンを巻いて料理をはじめた。キッチンに立つ涼子の後ろ姿を幸せそうに眺めていた山田に、はい、とコーヒーを出した涼子は、すぐ出来るから待ってて、とニッコリ笑った。初めてコーヒーをごちそうになったときのと違うが、テーブルに並ぶペアカップに山田はそれだけでまた幸せな気分に浸って顔をゆるめていた。しばらく待っていると涼子は冷しゃぶやスープをテーブルに並べて、ご飯、炊く時間なかったから、ごめんね、とレンジでチンしたパックのご飯をお茶碗によそった。涼子のかいがいしい新妻のような姿を見て感動に震える山田は急に思い出したように、コレ、もらってくれますか、とポケットから小さな包みを取りだした。

交渉人涼子 11話 (37) につづく
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