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== 交渉人涼子 ==

交渉人涼子 10話 (5)

裏ろま中男 作品リスト
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交渉人涼子 Negotiator Ryoko
10話 山田刑事刺傷事件 (5)

山田の手をつかんで顔を伏せていた涼子は山田が無事だったことを感謝していた。キリスト教系女子校に通っていた頃は礼拝の時間もあったが、真剣に受けたことはなかった。しかしこのときは真摯に神様に感謝していた。涼子先輩…、山田が呼びかける声に、何、と涼子が顔を上げると、涼子先輩、ありがとうございました、と笑った山田の目が潤んでいた。…、ううん、…あなたこそ、…生きてて、くれて、ありがとう…、まぶしそうに細めた切れ長の目のハシから大きな涙の粒をこぼした涼子は、素直な気持ちで応えていた。

涼子先輩…、山田がもう一度呼びかけるのに、何、と涙に濡れた顔に笑顔を作った涼子は、スイマセン、手が、…、痛いです、という情けない泣き顔の山田に、あっ、ゴメンっ、と照れ笑いしながらあわてて手を離した。天井に向けた顔を開放された手で覆った山田は嗚咽を押し殺してすすり泣いていた。涼子のありがとうが耳にこびりついて、山田はうれしくて涙が止められなかった。涼子は山田が泣く理由がわからなくて、ただ帰ってきてくれた山田をうれしそうに見守っていた。

いてっ、痛み止めが切れたのか山田の情けない声がした。大丈夫、先生、呼ぶ?、心配そうにのぞき込んだ涼子に、いえ、大丈夫です、照れたように笑った山田が涼子の顔をしげしげと眺めていた。何?、大丈夫なの?、山田の意味深な視線に涼子が心配そうに声をかけ、何でも言って、何かガマンしているのかと気を回した涼子の不安げな顔にだらしなく笑った山田が、オスって命の危機を感じると…、命の危機、という物騒なセリフにますます不安になった涼子が、どうしたの、と切迫した悲鳴のような声を上げた。

マラ立ち、しちゃうんですね、と恥ずかしそうに山田が笑っていた。えっ、マラという単語の意味がしばらく理解できなかった涼子が照れ笑いを浮かべた山田の視線をたどると、シーツに覆われた股間がふくれていた。はあっ、涼子は山田の元気さに呆れていた。涼子先輩の、…なんていうか、哀愁ただよう、お顔が、なんとも、エロチックで…、スイマセン、オスの生殖本能です、股間を見下ろす涼子の呆れ顔に、山田は恥ずかしそうに言い訳していた。

交渉人涼子 10話 (6) につづく
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