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== 交渉人涼子 ==

交渉人涼子 10話 (1)

裏ろま中男 作品リスト
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交渉人涼子 Negotiator Ryoko
10話 山田刑事刺傷事件 (1)

涼子の家を出た山田は、駅までの薄暗い道のりを歩いていた。熱く激しい愛の交歓を思い出して股間が熱くなり自然に顔がゆるんでいた。好き、と言ってくれた涼子の色っぽい顔が頭に浮かんで、思い出し笑いでバカ面をさらした山田に、家路に向かうのだろうすれ違う女性は顔を伏せて足早に通り過ぎた。幸せ一杯の山田だったが楽しいことだけ思い出そうとしても、やはり別れ際の涼子の憂鬱な表情が不意に浮かんできて、涼子先輩は本当にオレを好きなんだろうかと不安になってきた。

人気のない駐車場の横を歩いていると、若い女性の声が聞こえた。最初は痴話げんかでもしているんだろうと知らん顔して通り過ぎようとしたが背中で切迫した悲鳴がして、ただごとでないと感じた山田は声のする方に無意識に走った。山田の目の前には衣服を乱してナマ肌をあらわにした女性にのしかかる男がいた。何をしてるんですか、と誰何する山田の声に、助けてっ、と叫ぶ女性の涙まみれの瞳が目に入った。

乱暴は良くないですよ、一般市民に対する態度には日頃から厳しく言われているので口調は丁寧だが、うしろからがっちりと男を羽交い締めにして女性から引きはがした。何しやがる、離せっ、獣欲に狂った男は自由を奪われて興奮した口調で振り返ると山田を睨みつけた。知ってる人ですか、山田は男を無視して怯えた表情で衣服の乱れたカラダを両手で抱えてうずくまる女性に聞くと、おずおずと顔を上げた女性がふるふると涙まみれの顔を横に振った。あなた、大丈夫ですか。山田が心配して声をかけると、ありがとう、と言おうとしたのか口をパクパクさせたが声にならずに、目からポロポロと涙があふれていた。

捜査は常にふたりでするように言われているので、一人で連行するコトは考えずに署に応援を呼ぼうとしたが、涼子の家が近いことを思い出して涼子のケータイに連絡した。暴行犯を捕まえました、非番中に申し訳ないですが来てください、場所は…、そこまで言った山田は脇腹に熱いモノを感じて、目を向けると、ナイフを握った男の手が押しつけられていた。えっ、膝を落として信じられないという表情をうかべた山田を見下ろした男は、ざまあみやがれ、と捨てゼリフを残して逃げていった。

交渉人涼子 10話 (2) につづく
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