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交渉人涼子 9話 (32)

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交渉人涼子 Negotiator Ryoko
9話 涼子と山田 (32)

そんなこと、言ってませんよお、あっ、中華がイイです。涼子の機嫌が悪くなりそうで、あわてた山田は今日はじめて食べた涼子のチャーハンを思い出して中華と答えた。中華、そうねえ、和洋中の心得のある涼子だったが、実はあまり中華が得意ではなかった。満漢全席で、三昼夜食べっぱなしになるけど、いい?、自分から言い出して出来ないとは言えないプライドの高い涼子の精一杯の見栄だった。前を向いた涼子の表情がよく見えない山田だったが、三日間、食いっぱなしって、豪華な料理がつぎつぎに出てくるのを想像して胸やけしていた。

あっ、やっぱり、オレ和が好きだった、和食でお願いします、間違った答えをしたことに気づいた山田があわてて言い直すと、そう、和食ね、おいしいの作ってあげる、実は母親譲りの和食料理が涼子の自慢だった。前を向いたまま笑顔で答える涼子に、山田は女王様の機嫌が直ってほっとしていた。でも、私は肉じゃがなんて、作らないから、男に媚びるような料理をバカにしている涼子の生意気そうな笑顔を斜め後ろから見ながら、楽しみにしてます、と山田もうれしそうに答えた。

浴槽でリラックスしたふたりはカラダを密着させて、お湯とは違う体温の暖かさを交換して幸せな気分に浸っていた。そろそろ、出る?、いつまでもこうしていたかったが涼子は無表情に聞いた。そうですね、山田も同じ気持ちだったが涼子の言葉に従った。てっきり山田が駄々をこねると思っていた涼子は、じゃあ、出ましょ、とチョット不機嫌そうに言うとお湯から上がって、そのまま浴室を出ていった。あっ、涼子のきれいな背中に冷たい雰囲気を感じた山田があわてて浴槽から出ると、足を滑らせて浴室の床に頭をぶつけていた。

あうっ、鈍い音と山田の悲鳴に涼子が浴室をのぞくと、頭を押さえて山田が座り込んでいた。どうしたの、と苦笑した涼子が山田の頭に手を当てると、しゃがんだ柔らかい女体の太ももの間にアソコがのぞくエロチックな光景が山田の目に入って、興奮した山田が抱きついた。どうしたの、急に抱きつかれた涼子はドキドキしていた。柔らかい乳房に顔をうずめた山田は、ずっとこうしていたいです、とつぶやくと涼子は胸を熱くして小さく息を漏らした。

風邪引くわ、口ではそう言ったが涼子は胸の高なりと体が熱くなるのを感じていた。今日、泊まっちゃ、ダメですか、二つの暖かい乳房から目だけ上げて見上げる甘えた山田の顔が涼子に聞いた。涼子はそれには答えずに山田を優しく抱きしめていた。山田の言葉はうれしかったが、なんだかうまくいきすぎて何か不安な気がして涼子は素直になれなかった。ホントに風邪引くから、涼子は立ち上がって山田の目を見ないようにして浴室から出た。

涼子の憂鬱な表情にどうしていいかわからない山田は、ぼんやりと涼子の背中を見ていたがゆっくり立ち上がると浴室から出た。脱衣所にはタオルをまいた涼子が立っていた。髪を下ろした涼子を山田はキレイだと思った。しかしその感傷的な表情に何も言えずに、山田はそそくさと水気を拭き取った。涼子が黙ってリビングに戻るのを、バスタオルから伸びる脚線美をぼんやり見ながら、山田もついていった。脱ぎ散らかした服を着ると、失礼します、と山田は玄関に向かった。靴を履く山田を見下ろす涼子はキスしてと言いたかったが、気をつけてね、また明日、と山田の背中を見送った。

交渉人涼子 9話 おわり
交渉人涼子 10話 (1) につづく
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