裏ろま中男 作品リスト交渉人涼子 目次交渉人涼子 Negotiator Ryoko
9話 涼子と山田 (21)
山田は涼子の真意が理解できずに、オレと弥生ちゃんがお似合いですか?、とオウム返しに聞き返した。山田が不思議そうに聞く顔によけいなことを言ってしまった、と後悔したが言ってしまったことはどうしようもない。涼子は、そうよ、と山田の無垢な目から顔をそらして応えた。目をそらす涼子に気持ちがささくれ立つのを感じた山田が、オレと弥生ちゃんが、お似合いですか?、ともう一度聞いた。その声には怒りや悲しみの感情がにじんでいた。涼子はそれに応えず、黙って横を向いていた。涼子の口に出せない気持ちが表れた憂鬱なかげりが端正な横顔の美しさに深みを与えていた。
涼子の悲しそうな横顔に山田は口ごもったが、飲み込めない気持ちにもやもやしていた。黙ってしまった山田にゆっくり顔をあげた涼子は、視界に入った山田が不機嫌に落ち込むのを見たが、山田は、ああいうカワイイ女性と結婚したほうが、幸せになれると思うの、と抑揚のないつぶやきを漏らした。涼子の言葉は山田の気持ちを逆撫でして、その表情をさらに硬くさせた。山田はテーブルに置いた手がしびれて麻痺するような感覚とともに、絶望的な脱力感を感じていた。
オレがっ、キライなんですか、重くのしかかる陰鬱さを振り払うように山田の怒声が響いた。声のデカさに一瞬気の抜けたような涼子らしくない無防備な表情を見せたが、強い意志のこもった視線を山田に向けて、キライなわけ、ない、と応えた目は潤んでいた。涼子のりんとした表情に見とれた山田は、キライなわけ、ない、と何度も頭の中で繰り返していた。それって、好き、って意味ですか、山田が緊張感のない顔で素朴な疑問を口にした。涼子の顔には明らかに、しまった、という自戒の念が表れていた。
涼子のハダカエプロンが急にまぶしく見えて、山田はバスローブから息子をさらしていた。オレのこと、好きだと、思っていいんですよね、立ち上がった山田に股間の変化を見た涼子は、身じろぎできずに美しい女体を緊張させていた。高鳴る鼓動が押さえられずに組んだ足に力を入れてアソコがうずくのを意識していた。涼子先輩っ、好きですっ、気持ちを高ぶらせた山田が涼子の柔らかい体に抱きついた。いつもなら問答無用で投げ飛ばすところだが、あんっ、と小さくつぶやいただけで涼子は山田の熱い抱擁を甘んじて受けていた。
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