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== 交渉人涼子 ==

交渉人涼子 9話 (11)

裏ろま中男 作品リスト
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交渉人涼子 Negotiator Ryoko
9話 涼子と山田 (11)

…、文字通り山田の急所を握った涼子は冷たい横顔で悶絶する山田をにらんで、手の中で柔らかい袋にくるまれたウズラの卵ほどのタマをコリコリと転がした。急速沸騰した怒りは握りつぶすことも考えたが、本心で山田を愛しく思っている涼子はそこまで冷酷にはなれなかった。怒りにまみれていても冷静な意識がかなり手加減していたが、それでもその圧迫は山田に泡を吹かせて失神させるには十分だった。

やりすぎたかも、苦痛にのたうち回っていたが急に静かになった山田を眺めながら、急所から手を離した涼子はチョット逡巡したが意識のない山田を置いてシャワーを浴びにバスルームに入った。カランをひねると涼子のほてった体に水滴がいっせいに挑みかかり、ツヤツヤしたナマ肌に素っ気なくはじかれても懸命にまとわりついて、美しい曲線をたどる幾筋もの冷たい流れが沸き立った感情の熱さを奪っていった。女体を伝わる冷たい滴に怒りもすっかり消えうせた涼子の頭には弥生の顔が浮かんでいた。

女子トイレで涼子をにらんだ弥生の目は本気だった。あれは山田に恋した女の目だった。山田と弥生なら釣り合いの取れたカップルだと涼子は思った。キャリア課長とのトラブルがあったときに山田にお似合いの女性が現れたら祝福してやろうと心に誓った涼子だったが、そのときの自分を素直に認めることが出来なかった。上司としてふたりを温かく見守らなければならないと思っても、女の本性がそんな気持ちの前に立ちはだかっていた。

はじめはどうしてもと山田に懇願されて、それに相棒が使い物にならなくなると業務に支障が出て困るので仕方なく性欲処理に協力したつもりでいたが、今は逆に涼子の性欲処理を山田に頼っている。いつの間にか淫乱な女になって、個人的な事情で部下を利用している状況に自分を律することが出来ない意志の弱さが許せないとさえ思ったが、それは山田を愛する気持ちが根底にあるからだとは、涼子のかたくなな自制心が認めなかった。シャワーは女体にまとわりつく淫靡な熱気を洗い流したが、もやもやしたわだかまりが心の底に残った。

交渉人涼子 9話 (12) につづく
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