2ntブログ

== 千人斬りのチヒロ ==

千人斬りのチヒロ (21)朝のお出掛け

ろま中男3 作品リスト
千人斬りのチヒロ 目次

千人斬りのチヒロ (21)朝のお出掛け

「おはようございます」
チヒロが食堂に顔を出すと昨日と同じように親子がテーブルのハシとハシに座っていた。

「おはよう、昨日はよく眠れましたか」
イングリッシュスタイルの朝食を前にして上品そうな笑顔を見せるエロ紳士は、ミニスカスーツがぴったりしたチヒロのボディラインを舐め回すように見ていた。
「はい、おかげさまで」
変態オヤジ…、でも気持ちよかったから、ゆるしてあげる…。
堂々とした志柄に、もうちょっと後ろめたそうにしてもいいんじゃない、と思ったチヒロはニッコリ笑ってちょっぴり皮肉を込めて応えた。

「チヒロさん、遅れちゃう、早く食べて」
テーブルのむこうでトーストにパク付くセーラ服姿の静流が急かしていた。
「すぐにご用意します」
それにお手伝いが応えたが
「あ、コーヒーだけで…、朝は食べないので」
チヒロがさえぎってコーヒーを頼んだ。いつも朝を食べないわけではないが、静流が待っているし、まだ昨日のワインが残っている気がする。なにより面倒な作法で朝食を食べるのはまっぴらだった。

「また来て下さい」
コーヒーをブラックのまま飲み干したチヒロが立ち上がると、館の主人もたちあがって意味深な笑いを浮かべる。
「またおじゃまさせてもらいます」
スケベオヤジの目だわ…、その気になったらね…。
昨日静流に母親になってくれという言葉を覚えていたチヒロは、金持ちの有閑夫人もいいかもしれないと妄想して、好色そうな視線を投げかけてくる変態紳士にお愛想していた。

「チヒロさん、はやく」
出掛ける準備を済ませた静流がチヒロの手を引っ張って行く。さすがに靴は用意できなかったようで昨日と同じだが、キレイに磨き上げられていた。お手伝いがどんな思いで靴を磨いたかと思うと、多少引っかかるが、そんなコトで滅入るほどチヒロの神経は細くなかった。

「これを」
玄関まで見送りに来たお手伝いがメモと封筒を渡す。
「千恵さん、行ってきます」
それを確認する前に静流に手を引かれて、チヒロは明治期に建てられたらしい和洋折衷のお屋敷をあとにした。

「あれ、お金だ」
ひえっ、こんなに…。
地下鉄の駅に向かうチヒロは封筒をのぞいて、間の抜けた声を漏らした。
「いいの…、欲しいモノ買って、おねえさま」
父親のゆがんだ性癖を知っている娘は、意味深に笑うと腕を組んできた。

「急がなくて、いいの?」
あんなに急いでたのに?…。
出掛けにあれだけ急かした静流は家を出るとチヒロに甘えてのんびり歩いた。
「えへへ…、早くおねえさまと二人っきりになりたかっただけだから」
はにかんだように笑ったセーラー服美少女は上目遣いの甘えた視線を送ってくる。

「そうだ、これから遊びに行かない?」
チヒロにヤケになついてうれしそうな静流は、会社をサボらないかと誘惑してくる。
「…、だめよ、学校は行かなきゃ、私は地下鉄だけど、静流ちゃんは?」
う~ん…、良家の子女かと思ったけど、思ったよりくだけてるのね…。
自身があまり真面目でないチヒロはなんとなく抵抗を感じたが、お姉様ぶってもっともらしい返事をする。

「はあい…、私も地下鉄、どっち?」
「○○方面よ」
「じゃあ、いっしょだ、学校は行くけど、終わったら会ってくれる」
「どうかな、仕事がどうなるか…、ケー番交換しましょ」
「うん、連絡してね」
地下鉄の階段を下りた二人は改札前でケー番を交換した。静流のケータイはスワロフスキーのバラで飾られたデコ電だった。仕事はいつも定時返りなので会えないことはないが、チヒロはなんとか断る口実を考えていた。

ありゃ、混んでる…、やだなあ…。
いつもより遅い時間だったのでホームは混雑していた。すぐに電車が到着して二人が混んだ車内に潜り込む。二人に目を付けた男たちがそれに続く。男たちは集団痴漢の常習犯だった。

千人斬りのチヒロ (22) につづく
ブログランキング ケータイの方はこちらから
ブログランキングバナー1日1クリックご協力をよろしくお願いします。(別ウインドウが開きます)
にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(愛欲)へにほんブログ村 1日1クリックご協力をお願いします。(別ウインドウが開きます)
関連記事

┃ テーマ:自作長編官能恋愛小説 ━ ジャンル:アダルト

┗ Comment:0 ━ Trackback:0 ━ 16:43:32 ━ Page top ━…‥・

== Comment ==






        
 

== Trackback ==

http://aosaga9.blog.2nt.com/tb.php/2571-9f5d0543
 
Prev « ┃ Top ┃ » Next