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== 千人斬りのチヒロ ==

千人斬りのチヒロ (2)恥ずかしい思い出

ろま中男3 作品リスト
千人斬りのチヒロ 目次

千人斬りのチヒロ (2)恥ずかしい思い出

カズオ君…、泣き出しちゃったのよね…。
少女時代の甘酸っぱい思い出に浸っていたチヒロは、カズオにしたイタズラを思いだして自己嫌悪に陥っていた。

あ?、あんなこと…、しなきゃ、よかった…。
おでん屋台でコップ酒をあおる十人並みの美人OLは、酔っぱらいとしか言いようのない真っ赤な顔を上げると、かすかに星が瞬く空をぼんやり見ながら、子供のおバカなイタズラと言うにはあまりに幼すぎる失敗を後悔していた。


「カズオくん、おんなのこだよね」
カボチャパンツの似合う幼稚園児だったチヒロは同じ年長のカズオと大の仲良しだったが、おてんばなチヒロは女の子のようなカズオのおかっぱ頭を、いつもからかっていた。

「ちがうよ、ボク、おとこのこだもん…、チヒロちゃん、どうして、いつも、いじわる、いうの」
いつもの決まり文句でからかわれたカズオは、やっぱりいつもの半ベソ顔で泣き声混じりに言い返す。

「おとこのこだったら、しょうこ、みせてよ」
いつもならここで謝るパターンなのだが、その日のチヒロはやけにつっかかっていた。

「しょうこって、なに?」
紅葉のような手から目だけ出したカズオが聞く。

「おとこのこだったら、おちんちん、ついてるでしょ、みせてよ」
いかにも子供らしい単純でおバカな発想だったが、カボチャパンツのチヒロは自慢気だった。

「やだよ、はずかしいもん」
チヒロがおバカなガキなのに対して、カズオはあくまでも冷静だった。幼稚園児の下半身にロックオンしてドングリまなこを爛々と輝かせるチヒロに、カズオは文字通り腰が引けていた。

「いいじゃない、みせてよ」
悪ノリしたチヒロはニンマリ笑うと半ズボンと一緒にパンツを引きずり下ろした。

「やめてよおっ、はずかしいよおっ」
下半身を裸に剥かれたカズオは、ラッキョウのようなおちんちんを両手で隠して泣き出した。

「ちゃんとみせてよ…、かわいいっ」
股間を隠す手をどけさせたチヒロは、ドングリまなこを寄り目にしてのぞき込むと、うれしそうにまん丸顔を輝かせて楽しげな声を上げる。

「もう…、いいでしょ」
肉食系園児の犠牲になったカズオはめそめそ泣くだけだった。

「ダメだよ、ちゃんとしたおとこのひとは、ムケてるんだよ」
お風呂でお父さんのモノを見ているチヒロは、皮かむりのラッキョウをムリヤリ剥こうとした。

「いっ、いたいっ、や、やだっ、チヒロちゃん、きらいだあっ、あっ…、ああっ、わああっ」
爪を立ててムリヤリ皮をひん剥くチヒロに悲鳴を上げたカズオは、フルチンのまま逃げ出したがヒザに引っかかった半ズボンに足を取られてすっころぶと、顔面を地面に激突させて鼻血を垂らし、火が付いたように泣き出した。

騒ぎを聞きつけた保母さんにカズオは保護されて、チヒロは大目玉を食らった。そのことがあって以来カズオはチヒロに近づこうとしなくなり、別々の小学校に通うようになってからはふたりが会う機会まったく無くなった。


ああっ、バカだ、私は、バカだ…。
20年近く前の恥ずかしい思い出にますます自己嫌悪するチヒロは、コップ酒を一気にあおった。

「おネエちゃん、そろそろ帰ったほうが、よくないかい」
フラれるたびにここに来ているチヒロはオヤジに顔を覚えられていたが、これまで酔いつぶれて迷惑を掛けることはなかった。そろそろ頃合いだとみたオヤジはチヒロに帰るように勧めた。

「そう…、じゃあ、帰るね」
苦笑いするオヤジをジットリした目で一瞥したチヒロだったが、素直に従うと怪しい足取りを見せながらちゃんと地下鉄の駅に向かった。

チヒロは酔っぱらっても飲み過ぎて酔いつぶれたことはない。一度ヒドイ目に遭ってから、酒は飲んでも飲まれるな、と自分を鍛えてきたからだ。そういう隙のないところも、男から敬遠される一因になっているのだが、チヒロ自身は気付いていない。


最終までだいぶ余裕のある地下鉄は空いていた。夜風に当たってだいぶ酔いも醒めたチヒロは、空いた席に座るとうつむいてぼんやり床を見ていた。

やっぱり、変わらなきゃ…、言い寄ってくる男なんて、ろくなモンじゃないし、…。
フラれた男の顔がふいに浮かんできてまた落ち込んだチヒロは、言い寄ってくる男をたいした吟味もせずに受け入れたことが失敗の原因だと思った。

そうだ…、これからは、自分からガンガン、いかなきゃ、…。
カズオの半ズボンをムリヤリ降ろしたガキの頃のイタズラを思いだしたせいか、酔いの回った頭は受け身をやめて逆ナンして積極的に行くべきだと考えていた。

ん?…、あ、見てる、…。
その時視線を感じて顔を上げたチヒロは、対面の座席に座る学生服を着た少年が目に入った。

酔った美人を見つけて対面に座った塾帰りの高校生は本人に気付かれたとも知らずに、ミニスカから伸びた色っぽい太ももが見せるかすかなスキマの奥を凝視していた。

千人斬りのチヒロ (3) につづく
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