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SBY16 (4)初見

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SBY16 (4)初見

「気に入った踊り子さんにはチップを渡してください」
カーテンをくぐろうとすると老人が耳打ちする。

「チップ?」
聞き返したオレに
「コレが標準ですが、他のお客様とかち合った場合、オークションになります」
ニッコリ笑った蝶ネクタイの老人は指を一本立てて説明した。

「では、ごゆっくりお楽しみください」
カーテンの向こうはドアがあるだけだった。老人がドアを開いてニッコリ笑う。

何が出てくるかっ…。
正体不明の怪しい場所に足を踏み入れたオレは、年甲斐もなくドキドキしていた。中は真っ暗で舞台とイスがあるのがぼんやり見える。

暗さに目が慣れてくると張り出した円形舞台(デベソ)の周りを簡単なイスが取り巻いているのがわかった。「道頓堀劇場」とそっくりのつくりだった。数人の先客が座っていた。

なんだ、やっぱりストリップか、…。
老人の踊り子と言った言葉と、となりにあるストリップ劇場と同じ様子に、なんだか気が抜けた。
ボッタクリじゃねえかっ、…。
そして急に怒りがこみ上げてきた。ストリップに25万も払った自分のマヌケさに腹が立った。

「なのチンでえ~す」
老人に怒鳴り込んで料金を返してもらおう、しかしアブナイ手合いが出てきたらどうしよう、などと迷っていると、急に舞台が明るくなってふたりの少女が現れた。

「いらっしゃいませえ~、お客様っ、そこの渋いオジサマも、近くに来てノンティのことよく見てねっ」
「なにいってんの、オジサマは夏希のファンよっ、さあ、どうぞ、お座りになってね」
客いじりするお笑いコンビは『な○のん』のふたりだった。

オレは誘われるまま舞台のすぐ前に席に座った。どうやらさっきまで幕間だったようだ。

最前列の席は彼女たちの短いスカートを自然にのぞき込む形になる。ミニスカの中は黒パンではなく生パンで、ムチムチした太ももとパンティを見上げるのは結構興奮する。

「グループ名は『なのチン』なんですけど、もちろんチンチン、付いてません」
ノンティがボケてミニスカをヘソの上までまくり上げると
「当たり前でしょ、私だって付いてないよっ」
夏希も負けじとミニスカをまくり上げる。

しょうもなあ…。
ニーソの太ももからパンティまで丸出しにするふたりに、客席からかすかに笑いが起こる。オレもつい笑いそうになったが何とかこらえた。

「あ、ヘビ」
「きゃあっ、いやあっ、ヘビ、こわいよおっ」
「ゴメン、間違えた、カメだった」
「なんだ、カメか…、お客さん、まだ早いよ、しまっててね」
「そのカメなのっ、やんっ、お客さんのエッチ、夏希、恥ずかしいっ」

舞台の上ではふたりの掛け合いが続いていた。学芸会のような大げさな身振り手振りをするたびに、ミニスカがまくれ上がって生パンを披露する。

「お行儀の悪いカメさんは、ノンティが成敗してやるっ」
「なにするの?」
「ロケットパーンチッ」
「マジ○ガーZかっ、若い人知らないよっ…、ていうより、なんでパンツ脱いでるの」
「だから、ロケットパーンツッ」
「ああ…、投げちゃうのね…、だったら私もっ」
ノンティが舞台上で生パンを脱いで客席に投げつけると、夏希も脱いで投げつける。

受け取った客が歓声を上げて、諭吉を持った手を振る。

「ありがとうございま~す」
丁寧にお辞儀したノンティが舞台袖に消えていくと、諭吉を振っていた客も店員らしい男に案内されて消えていった。

アレがチップなのか、…。
ここに入る前に老人が説明してくれた意味がやっとわかった。あの客はノンティとこれから楽しいことをするのだろう。

「えーん、夏希、ひとりじゃコントできないですうっ」
舞台上にひとり残った夏希が泣きマネをすると、客のひとりがやっぱり諭吉を持った手を振り出した。その客は夏希が投げたパンティを握りしめていた。

後でわかったが、パンティを受け取った客が指名するのがお約束のようだ。

「ありがとうございま~す、じゃあ失礼しますっ」
夏希も丁寧お辞儀すると、ミニスカのスソをひるがえしてモロチラのサービスをしてから舞台ソデに引っ込んだ。

SBY16 (5) につづく
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