2ntブログ

== 毛双太郎 ==

毛双太郎 番外編アイリ(1)憐れな小鳥

ろま中男3 作品リスト
毛双太郎 目次

毛双太郎 番外編アイリ(1)憐れな小鳥

もう、やだ…、死んじゃいたい、…。
うつむいた少女は学校に向かう坂道を歩いていた。上り坂のなだらかな勾配がまるで少女を拒んで立ちはだかるように感じる。少女は重い足取りでかろうじて歩を進めていく。同じ制服を着た女の子たちが楽しげに言葉を交わしながら、あるいは明るい挨拶の声をかけて少女を置き去りにしていく。


アイリは今朝はじめて痴漢被害にあった。いつもは途中の道や駅のホームで友達と一緒になるので、一人で電車に乗ることは滅多になかった。今日はまたたま一人だった。そんな群れから離れた可憐で憐れな小鳥を、欲望をムキ出しにしたハゲタカの群れが容赦なく襲いかかった。

混んだ電車の中でヒダスカートのお尻をまさぐられたアイリは、それが痴漢だとは思わなかった。ただお尻がムズムズするので体の向きを変えてやり過ごしただけだった。しかし痴漢は執拗にアイリのお尻を付け狙いまさぐり続けた。

痴漢?…。
スカートに入り込んだ手でお尻を揉み砕かれたアイリは、やっとそれが痴漢だとわかった。ゴツイ節くれ立った指が、柔らかいお尻に食い込んでなで回す感触が気持ち悪い。

「…、やめて…、ください…、ひっ…」
背中に毛虫が這い回るような嫌悪感に怖じけたアイリだったが勇気を出して顔を上げ、お尻をまさぐるオジサンにやめてくれるように頼んだ。その時アイリは、ハゲあがった頭と対照的に陰になった顔に浮かんだ不気味な笑いを見て、思わず顔を伏せた。恐くて気持ち悪くてそれからアイリは何も言えなくなった。

やだ、誰か、助けて、…。
いつの間にか痴漢たちに取り囲まれていた。アイリが抵抗できずに震えていると、お尻や太ももや胸に無数の腕が伸びてきて、無遠慮に触りはじめる。

気持ち、悪い…、や、やだあ…、触らないで、…。
まだ固さの残る少女のカラダをまさぐっていた手は、ヒダスカートや上衣をまくり上げて新鮮な肌のしっとりした感触を楽しみはじめる。直接肌を触れられる気持ち悪さでこみ上げる嘔吐感を懸命にこらえて、無慈悲なイヤらしい手に弄ばれる自分の意識をなんとか保って立っていた。

や、そこ…、やめて、や、やだあ、…。
震える少女に血走った目を光らせる痴漢どもは、まだ誰にも触らせたことのない秘所にまで手を伸ばしてくる。パンティを足の根本までズリ下げた手はスベスベした肌を伝って、あそこのスジに指を食い込ませてくる。

いや、やだ、助けて、…。
ふくらみはじめた胸を覆っていたブラもズリ上げられて、ピンクの突起を欲望に狂った指先が弄ぶ。満員電車の中で半裸に剥かれたアイリはこの残酷な陵辱が過ぎ去るのを、ただガマンするしかなかった。

や、やだあ…、あ、…。
全身の素肌に蛇の群れがまとわりつくようなおぞましい生理的嫌悪感に震えるアイリは、意識が遠くなって気絶する寸前だったが、急にその手が服を元に戻しはじめる。とりあえず電車に乗る前と同じ姿になったアイリは、自分が降りる駅に着いたことを知った。

ハゲタカ痴漢集団はアイリの制服でここが学校の最寄り駅だと知っていて、憐れな小鳥を開放した。押し出されるようにホームに降りたアイリは、しばらくその場に立ち尽くしていた。閉まったドアから見つめるイヤらしい視線を意識したが、恐くて顔をあげられなかった。

男たちの欲望の慰み者になった自分がミジメで悲しくて、でも涙は出なかった。学校に続く坂道までどうやって歩いたのか、アイリは記憶がなかった。


ぱあんっ
「バカアイリッ、なにノロノロ歩いてンだっ、遅刻するぞっ」
お尻を叩かれた勢いでのけぞって反射的に顔を上げたアイリは、横を走り抜けた太郎が振り返り、悪ぶって笑うのを見た。

「な…、なにすんのよっ、この変態太郎っ、…、待てっ、このスケベっ、ゆるさないわよっ」
のけぞった姿勢で胸を張ったアイリは大声を張り上げる自分に驚いたが、無意識に駆け出して逃げる太郎を追って走り出す。思いっきり叩かれたせいなのか、さっきまでカラダにまとわりついていた淫靡な邪気が払われて、心が軽くなったのかもしれない。

「待ちなさいよっ、変態太郎っ」
ヒダスカートのスソを乱して元気に走る少女は目尻から涙がこぼれていたが、その顔にはかすかに笑みが浮かんでいた。

毛双太郎 番外編アイリ(2) につづく
ブログランキング ケータイの方はこちらから
ブログランキングバナー1日1クリックご協力をよろしくお願いします。
関連記事
┗ Comment:0 ━ Trackback:0 ━ 15:05:36 ━ Page top ━…‥・

== Comment ==






        
 

== Trackback ==

http://aosaga9.blog.2nt.com/tb.php/2281-57ba73df
 
Prev « ┃ Top ┃ » Next