ろま中男3 作品リスト魔法のメガネ 目次魔法のメガネ (70)さやかとネエちゃん
「ホントだ、あのヘンタイ野郎は、血のつながった娘を…、小学生のさやかを、弄んだんだ」
涙を溜めて無表情に問いかける優子に、オレも泣きそうになったが何とかこらえると、吐き捨てるように言い放った。
「ううっ」
怒気のこもったその声にビクッと震えて両手で顔を隠したさやかは、悲痛な嗚咽を漏らす。
「泣くなっ」
悲しそうな泣き声にもらい泣きしそうだったオレは震える肩を抱き寄せる。
「うわあっ、ひっ、ひいっ…」
寄りかかったさやかはオレに抱きつくと、大声を上げて泣き出した。
奴隷扱いされても慎ましい態度を保っていたさやかは、心の奥に深い悲しみを隠していたんだと思うと、とうとう涙が出てきた。
「泣かないで…」
いつのまにかさやかの横にひざまずいたネエちゃんが、端正なモデル顔を涙で濡らしながら、優しく背中をさすっていた。
さやかさん、かわいそう…、でも、成夫君、さやかさんを…。
優子に目を向けると大きな目からポロポロ涙をこぼしていた。その涙はさやかに同情すると同時に、オレがさやかに取られたと思って悲しんでいることが、心の声でわかった。
「ネエちゃん、ちょっと…、優子、泣くな」
抱きついて泣きじゃくるさやかをネエちゃんに任せて、ボロボロと涙をこぼす優子のとなり座って肩を抱いてやる。
「成夫君…」
そのひとが、すきなの?…。
涙が止まらない優子は、上目遣いにオレを見ていた。心の声が悲しく頭の中に響いた。
なんだかわからなくなったオレは優子を抱きしめるとキスしていた。
え…、キス…、されてる…、やっぱり、成夫君は、優子なんだ、…。
無意識にキスしたオレは、優子の嬉しそうな心の声をきいて、少し安心して悲しさも緩んでいた。
「ちょっと、成夫、なにしてんのっ」
さやかを慰めていたネエちゃんは、熱いキスを交わすオレたちをあきれた声でとがめる。
「やっ、違うっ、これはっ」
「お姉さん、すいません…」
無意識にしてしまったこととはいえ、悲嘆に暮れるさやかとネエちゃんの前で、こっぱずかしいキスシーンを演じてしまったオレがドキマギしていると、照れ笑いを浮かべる優子が謝っていた。
「ほら、どいて、で、それから」
ネエちゃんはオレを追い払って座ると、話の続きを促した。さやかもネエちゃんに慰められてだいぶ落ち着いたようで、ネエちゃんに同意するようにオレに頭を下げた。
「んっ、ああっ…、さやかは、ずっとあの変態ロリコンヤロウに、ヒドイ目に遭わされてきたんだ、だからさやかは、もう家に返さない、さやかはウチに住むっ」
恥ずかしいシーンを見られてバツの悪いオレは、咳払いしてから思いっきり端折って話を終わらせた。
「さやかさんに、ここに住んでもらうの?…、さやかさんは、それでいいの?」
無表情にオレの顔を見たネエちゃんは、優しい笑顔になってさやかに問いかけた。
「あの…、皆さんがそれでよければ…、わたし、成夫君の、奴隷ですから…」
姉ちゃんの優しい笑顔に少し表情を緩めたさやかは、楚々とした慎ましやかな態度を取り戻して、申し訳なさそうにつぶやいた。
「成夫、ちょっと来て」
さやかに笑ってうなずいたネエちゃんだったが、また無表情にオレをにらむと耳をつまんで部屋のスミに連れて行った。
「さやかさんにウチにいてもらうのは、いいわ、でも、奴隷ってなんなのっ」
キレイなモデル顔をこわばらせたネエちゃんは、また最初の話に戻ってオレの顔をのぞき込んでくる。
「奴隷は、冗談だから…、な、ネエちゃん…、冗談だよ」
昨日姉弟の禁忌を犯して深い関係になってしまったネエちゃんに、オレは説明にもならないセリフでなんとかごまかそうとしていた。
「アンタ…、さやかさんと、ヤッタのね」
「やりまんめがね~」をかけてないネエちゃんにオレの心の中がわかるはずもないが、まるでオレの考えを見透かしているような、ドスの利いたセリフだった。
「なっ、そんなこと言わずに、せっかくのスパゲティが冷めちゃうぞ」
ジットリした視線から逃げるようにそっぽを向いたオレは、ごまかし笑いしながら柔らかいお尻に押してテーブルに戻った。
「バカッ…、スパゲティじゃなくて、パスタよっ」
オレとさやかの関係に疑いを向けるネエちゃんは、昨日と同じようなセリフで癇癪を爆発させていた。
「きゃんっ…、お姉さん…、バスタ…、おいしいです…」
美人学生モデルが張り上げる声に、ビクッと飛び上がったゴシックロリータ優子は、いきり立つネエちゃんをおそるおそるうかがいながら、おべんちゃらでご機嫌伺いしていた。
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