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魔法のメガネ (69)秋元の正体

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魔法のメガネ (69)秋元の正体

「悪いけど、ネエちゃん、黙って聞いてて」
口を挟んできたネエちゃんに、オレは不機嫌そうに言う。

「あっ、あのっ、秋元先生って、1年の担任なんです、ね、さやかさん」
ネエちゃんが黙って険悪になりそうな空気を感じた優子が、フォローすると
「はい、そうです」
さやかも優子に話を合わせる。

「で、その秋元って、ロリコンで有名なんだよ」
場の空気を和らげようとするふたりを無視して、オレが続けると
「ロリコンって、さやかさんの前で…、成夫、失礼よ」
ネエちゃんがまたツッコんでくる。

「あ、潤さん、いいんです、ホントのことですから…」
場の空気がまたざわついて、ストラップボンテージに女体を引き絞られたさやかが取りなそうとする。

「さやかさん、このバカ、ホントに失礼で」
「ホント、いいんです…、ね、優子さん、学校でも有名でしょ」
申し訳なさそうに言うネエちゃんにさやかが恐縮する。

「お姉さん…、実は、そのとおりなんです」
ゴシックロリータの優子も申し訳なさそうに、ロリコン教師の学校での評判を伝える。

みんなで成夫に味方して…、なんか、私ひとりが、悪者みたいじゃない…。

「そう、わかった、黙って聞いてればいいのね」
さやかと優子が恐縮するのを見て、なんだか自分が悪者になった気分のネエちゃんはヘソを曲げて、頭に赤い色の点を見せてフォークでパスタを巻いていた。

「ネエちゃん、秋元って、そういうヤツなんだって、わかってくれよ」
目線を合わせようとしないネエちゃんを取りなす気持ちでいうと
「いいわよ、私に気を使わなくても、話、続けたら」
髪を後ろでまとめた頭に赤い点を見せるネエちゃんはやっぱり機嫌の悪そうで、キレイなモデル顔がこわばって見えた。

「秋元がフィリピンパブでつまみ食いして出来たのが、さやかなんだ」
とりあえずネエちゃんはほっておくことにして続けると
「…、続けなさいよ」
その言い方がやっぱり気にくわないのか、大きな目でオレをにらんだネエちゃんは先を促した。

「秋元は認知せずに、毎月わずかな生活費だけ出してたらしい、だからさやかは私生児なんだ」
いちおう間違ってないのを確認してさやかをチラ見すると、ウンとうなずいた。

「ちょっと…、ひどいわね」
やっとロリコン変態教師の一端を理解したネエちゃんが、さやかに同情して表情をこわばらせる。優子はまださやかに警戒しているのか、黙って真面目な顔で聞いていた。

「小学校だっけ、そのロリコンヤロウが、な…」
その先をオレが言っていいモノかためらわれて、横を見る。

「はい…、おとうさん…、私に…」
受け取ったさやかはそれだけ言って顔を伏せた。緑から紫色に変わった点滅を見せる重そうなロングヘアが、東南アジア系の混じった顔を隠していた。

静まった空気の中で、素肌がむき出しの肩がかすかに震えていた。

「どういうこと?」
なんとなくその先がわかってしまったネエちゃんも、頭に紫色の点を見せていた。

小学生なのに…、そんなこと、ほんとに、あるなんて…、ウソよね…。

SM衣装に身を包んださやかの落ち込んだ様子に同情して、しかし予想が間違っていることを願ってネエちゃんが聞く。

「秋元のヤツ、まだ小さいさやかを…、襲ったんだ…、小学生の女の子を、慰み者に…」
さやかはとても言えそうにないのでオレは先を続けた。最後の言葉がさやかには残酷すぎる気がして、そこで口をつぐんだ。

「襲った?…、小学生のさやかさん、を…」
予想通りだったはずだがその言葉に衝撃を受けたネエちゃんは、まだ信じられないという表情でうつむくさやかを見つめていた。

「ホント、なの…、成夫君」
それまで黙っていた優子の声がして視線を向けると、大きな目に涙を溜めた優子がこっちを見ていた。

小学生に…、そんなの、ひどすぎる…

頭にでっかい紫色を見せるゴシックロリータの優子は、無表情にこぼれそうな涙を振るわせていた。

魔法のメガネ (70) につづく
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