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魔法のメガネ (68)みんなで晩ご飯

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魔法のメガネ (68)みんなで晩ご飯

「おおっ、ジョン、ただいま」
ウチに戻ったオレは、頭に黄色の点を見せて嬉しそうにまとわりついてくるジョンの頭をなでると、家に入ってダイニングにふたりを連れて行った。

「おそかったわね、あら、優子ちゃん、いらっしゃい、かわいいわね…、あれ、そちらは?」
キッチンで晩ご飯を作っていたネエちゃんが振り返る。

顔見知りの優子に気の置けない笑顔を見せたネエちゃんは、寛子や優子と同じような反応でストラップボンテージ衣装のさやかを見る。

「こんばんは、おじゃまします、お姉さん」
ネエちゃんの笑顔にうれしそうに笑ったゴシックロリータメイドもニッコリ笑って応える。

「初めまして、成夫君の奴隷の秋元さやかです」
さやかはネエちゃんと優子の挨拶を待ってから、うやうやしく頭を下げた。

「奴隷、なの?…、ちょっと、成夫っ」
奴隷という単語にあきれたような怒ったような顔になったネエちゃんは、オレの耳を引っ張って部屋の奥に連れて行った。

「痛いよ、ネエちゃん」
「奴隷って、何なのよ」
耳をつままれて顔をしかめたオレを、キレイなモデル顔をこわばらせたネエちゃんがのぞき込んでくる。

「ちゃんと、説明するから…、とりあえずメシ食おうよ」
「ん…、わかった…、あの娘たちも、食べるんだよね」
自分は後ろめたいことは何もないという気持ちを込めてネエちゃんを見返すと、とりあえず追求するのをやめたネエちゃんはキッチンに戻る。

「お姉さん、手伝います、コレ借りていいですか」
優子もキッチンに入ると、エプロンを借りて超ミニスカに着いた小さなエプロンの上から重ねる。

「じゃあ、パスタ、4人分…、じゃなくて、多めにゆでて」
「すいません、急におじゃまして」
「いいのよ、手伝ってくれて、ありがと」
ふたり分しか用意してなかったので、ネエちゃんは急遽パスタに変更したようだ。

「あ、おまえは座ってろよ」
自分も手伝おうとするさやかの手をつかんだオレは、キッチンダイニングのテーブルに着いた。チェーンを引かれたさやかもオレの横に座る。

「あの…、モデルの羽瀬川潤、さん…、ですよね」
イスのかしこまって座ったSMボンテージのさやかは、キッチンに立つネエちゃんの背中に、なんだか申し訳なさそうな様子で聞いた。

「え…、知ってるの?…、うれしい」
ネエちゃんは手際よくパスタのソースとサラダを準備して、ニコニコしながらテーブルに置いた。

「知らない人なんて、いませんよ、お会いできて嬉しいです」
慎ましい態度を保っていたさやかが、人気学生モデルに逢えたのがよほど嬉しいのか、少女のような浮きたった表情を見せるのが意外だった。

「お待たせしました」
ゆであがったバスタを大皿に乗せた優子もテーブルに着いた。

「簡単で悪いけど、食べましょ」
優子がパスタをみんなの皿に取り分けると、ネエちゃんがソースをかける。

「そんなこと無いです」
みんなとの食事が嬉しそうな優子が応える。
「そうです、潤さん…、潤さんって呼んで、イイですか?」
それに続けたさやかが、ネエちゃんを上目遣いに見る。

「いいわよ」
「潤さんの、手料理なんて感激です」
ネエちゃんが優しく笑うと、さやかは嬉しそうだった。

「ところで、その…」
みんなでパスタを食べ始めると、ネエちゃんが口火を切る。

「ああっ、さやかは、ウチの高校の国語教師で秋元ってヤツがいるんだけど、その娘で…」
さっそく、来た、…。
真面目な顔でネエちゃんが聞いてくる。オレは最初から説明しようと応える。

「せんせいに、ヤツって…、成夫…」
普段から身の回りの面倒見てくれて、オレの母親代わりでもあるネエちゃんは、説教がましい口調でオレをさえぎった。

魔法のメガネ (69) につづく
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