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== 魔法のメガネ ==

魔法のメガネ (19)ネエちゃんと優子

ろま中男3 作品リスト
魔法のメガネ 目次

魔法のメガネ (19)ネエちゃんと優子

すぐに佐藤も戻ってきて授業は再開した。チラチラと色目を使ってくる佐藤をやり過ごして、やっと昼休みになった。

「お昼、一緒に食べよ」
まだ頭にウサギ耳を付けた優子が振り返って、はにかんだような甘えた声をかけてくる。

「おまえ、恥ずかしくないのか?…」
ネコ耳系は嫌いじゃないが、やっぱりTPOってモノがある。それがレイヤーの仁義だ、などと考えていたオレが疎ましそうに視線を向けると
「あ、ごめん…」
冷たい言葉にしょげかえった優子は自称カチューシャをとって机に押し込んだ。

「パン、買ってこよ」
オレが一人言のつもりでつぶやくと、

成夫君、パンなんだ…、明日、成夫君の分も、作って…、ウフフッ…。

優子の心の声が聞こえて、弁当のカワイイ包みをぶら下げた優子が、オレの後に付いてくる。

同じ敷地にある大学生協でパンを買ったオレは、天気もいいので大学のベンチで昼飯することにした。押しかけ女房のような優子も隣に座って弁当の包みを広げた。

「卵焼き、おいしいよ、はい、あーん…」
ニコニコ笑う優子がちょっと焦げた卵焼きを差し出してくる。こういうラブコメ風のシチュエーションは嫌いじゃない。オレは顔がゆるみそうになるのをこらえて、かぶりついてやった。

「おいしい?」
甘辛な卵焼きをもぎゅもぎゅと咀嚼していると、頭に黄色い点を見せてニコニコする優子がのぞき込んでくる。
「ああ…」
「うれしっ」
てきとうに応えると、優子はニーハイソックスの足をバタバタさせて、ひざに乗せた弁当を落としそうにして喜んでいた。

「成夫、なに?…、彼女?…」
頭の上で声をかけられて顔を上げると、ニンマリ笑ったネエちゃんがいた。

「ネエちゃん…」
しまった、…。
まさかネエちゃんに会うと思ってなかったオレは、となりに優子をはべらせた状況にドキドキしていた。

こんなつまんないヤツに…、彼女なんて…、スゴイ、カワイイし…、今朝、ヘンだったけど、なんかあったのかしら…。

「カワイイじゃん…、アンタにこんなガールフレンドが、いるなんてね…」
ずいぶん失礼なことを心の中でつぶやくネエちゃんが、焦るオレをおもしろがってからかってくる。ネエちゃんの頭には黄色い点と、たまにオレンジ色の点が見えていた。

「あの…、小嶋優子です、成夫君のクラスメイトです」
弁当を横に置いた優子は立ち上がって、サラサラの髪を上下に振り回して丁寧にお辞儀してから、自己紹介した。紺ミニスカがパンチラしそうで、オレは横目でピンクのニーハイソックスの足を盗み見ていた。

「ふうん…、姉の潤です…、仲良くしてやってね」
思わせぶりな笑いを残して、茶髪のロングヘアをなびかせたネエちゃんはどこかに消えていった。

「キレイなお姉さんね…、モデルさんみたい…」
はあっ、とため息をついた優子はウットリした顔でつぶやいて、ネエちゃんの後ろ姿を見送った。

「あ、ああ…、たまに雑誌に、出てるらしいぞ…」
オレは見たこと無いが、前にネエちゃんが自慢気に言っていたことを思いだしていた。

「うそっ、じゃあ、ホントに、羽瀬川潤なの…、うそっ、すごいっ」
ネエちゃんは思ったより有名らしく、頭のピカピカする黄色い点にたまにオレンジ色を混ぜる優子はえらく感動していた。

「おい、その名前を二度と口にするなよ、このつぎ言ったら、もう、口利かないからな」
ネエちゃんが有名なモデルだと知られると、なにかと面倒くさそうなので、オレは険しい表情を作って浮かれる優子に念押しした。

「あ、うん…、ごめん、絶対に言わない…、でも、こんど成夫君ちに、遊びに行っていい?…、お姉さんのいるとき…」
オレの冷たいセリフに頭の点を紫色にしてしおれた優子だったが、すぐに復活して黄色い点を見せると、オレんちに遊びに来たいと言い出した。

ネエちゃん目当てだと…、なんだそりゃ、…。
ジトッとした目でにらんでやると
「あ、ゴメン…、絶対、言わないから…、ね、だから、いいでしょ」
ハッとした優子はうつむいたが、交換条件っぽい言い方でなおも食いついていた。

「ああ、わかったよ」
「きゃあっ、うれしっ、何、着て行こっ?」
面倒なのでうなずくと、優子は足をバタバタさせて喜んでいた。頭の黄色い点がピカピカ光っていた。

「じゃあ、さっきみたいなコスプレして来いよ、ネエちゃんも喜ぶぞ」
あんまり喜ぶのでからかってやりたくなって、オレはイジワルに笑っていた。

「そうかな…、お姉さん、ああいうの、きっと知らないから、かえって、喜んでくれるかも…」
オレの冗談を真に受けた優子は、頭に青い点を見せてまじめな顔で考え込んでいた。

「バカか、ヘンなカッコウしてくるなよ」
優子がバニーガールのカッコウで来ると困るので、オレはまじめな顔で釘を刺した。

「やだあっ、ヘンなカッコウなんて、恥ずかしいよ」
優子の考えるヘンなカッコウがどんなのかよくわからないが、優子はケラケラ笑って頭の黄色い点をピカピカさせていた。

コイツって、こんなカワイイ娘、だったか、…。
昨日までの優等生で毒舌な陰険女の印象がいまだにぬぐいきれないオレは、脳天気にはしゃぐ優子をジットリした目で見ていた。

魔法のメガネ (20) につづく
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