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== 女子アナ由香里 ==

女子アナ由香里 (3)コーヒータイム

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女子アナ由香里 (3)コーヒータイム

「泣かなくて、いいよ、オレ、ユカリンのファンだから…、ユカリンを、守るよ…」
床に崩れ落ちて嗚咽するユカリンの肩を抱いたオレは、いい匂いのする髪の毛に鼻を埋めて、出来るだけ優しく聞こえるようにささやいた。ヤケに心臓がバクバク鳴って、それが彼女に聞かれないかちょっと不安だった。

「う…、ひっ、ううっ、ほ、ほんと?…」
しゃくり上げながら顔を上げた彼女は上目遣いにオレを見た。涙でぐしゃぐしゃの顔から彼女が本気で泣いていることがわかる。ウソ泣きじゃないかと疑う気持ちがちょっとはあったので、彼女の本気の泣き顔に、なんだかオレは安心していた。

「ほんとだよ…、だからもう、泣かなくていいよ」
子供のような泣き顔に萌えたオレは優しい気持ちになって、彼女をギュッと抱きしめていた。スポンジのようなふかふかした柔らかいカラダが気持ちいい。彼女の震える背中をさすりながら、オレは泣きやむのを待っていた。

「…、泣きやんだ?」
しばらくの間オレは黙って彼女を抱きしめて、柔らかい女体の感触をしみじみ味わっていた。すすり泣きがやんで吐息が落ち着いてきたのを見計らったオレは、優しく声をかけた。

「…、うん…」
ユカリンはハナミズをすすりながら返事をした。もうこの頃には彼女はオレの背中の回した手にギュッと力を入れてしがみついてきていた。押しつけられた胸の柔らかさに顔がニヤけそうになる。

「もう、万引きなんてしないよな」
ユカリンのサラサラした髪に顔をくすぐられながら、恋人同士の気分でオレは耳元にささやく。
「…、うん…、もう、しない…」
甘えた響きの交じった子供のような幼い声が応える。

「よし、イイ子だっ…、涙、拭いて…」
うれしくて自然に顔がゆるんでくるオレは彼女のカラダをなで回すと、しがみつく手を引き離して涙をぬぐってやった。
「うん…、ありがと…」
伏し目がちにオレをうかがうユカリンは、泣き顔にかすかに笑みを浮かべていた。

「なんか、飲もうよ、冷蔵庫、見ていい?」
「あ、うん…、コーヒー、煎れるね…」
オレがそう言って立とうとすると、彼女はだいぶ落ち着いてきたようで、ゆっくり立ち上がるとコーヒーサイフォンの準備を始めた。柱に隠れるように背中を向けた彼女はティッシュで涙を拭いて鼻をかんでいた。

「本格的だね」
オレはソファに座ってコーヒーが出来るのを待っていた。
「うん、好きだから…」
いつものユカリンに戻った声がする。コーヒーのいい匂いがしてきて、オレは手の平が汗で濡れていることに気付くと、見られないように服でぬぐった。

「どうぞ」
彼女ははにかんだ笑顔でコーヒーを置くと、
「砂糖とミルク、いる?」
伺うような目で彼女が聞く。

「いい、このままのほうが、おいしそうだ」
そう応えると、オレの前でぺたんと床に女の子座りしたユカリンが
「うん…」
うれしそうに応える。彼女はカップを両手で大事そうに抱えて、フーフー冷ましながら少しずつ飲んでいた。

ああ、うまいな、…。
カワイイ女の子が煎れてくれたうまいコーヒーに自然に顔がゆるんでくる。ユカリンが見つめる目に気付いたオレが照れたように笑うと、彼女も笑顔で応えてくれた。

女子アナ由香里 (4) につづく
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