ろま中男3 作品リスト女子アナ由香里 目次女子アナ由香里 (2)ユカリンのウチ
「え…」
振り返ったユカリンはサングラスを掛けたままだったが、明らかに動揺の色が見えた。
「テレビ富士の小島由香里さんですよね、『未来教授ムラムラ』の頃からファンなんです」
心臓がバクバクして口にツバがたまってカミそうだったが、なんとか作り笑いをしてこちらをうかがうユカリンを見つめ返した。
「ち、ちがいます…」
振り返ったことに後悔したようなユカリンは、そっぽを向いてまた足早に歩き始めた。
「でも、ユカリンがそういう趣味だったなんて、驚きでした」
しかしこんな千載一遇のチャンスを逃す気は無かった。オレは逃げようとするユカリンの肩を抱くと、耳元でささやいてやった。
「や、やめてください…、大声出しますよ」
万引き現場を見られたかも知れないという表情のユカリンは動揺というより狼狽している。それでも彼女はドモリがちに語気を強めて虚勢を張っていた。
「いいんですか?…、だって、レジ通してない本、持ってるでしょ」
オレはその声で彼女がユカリンだと確信した。ここが勝負所とばかりに小さく息を吸って気合いを入れたオレは、彼女の肩を抱き寄せると耳元でささやいてやった。
「…、警察に…、突き出すの…」
ジット見つめるオレをチラ見した彼女は、観念したようでうつむくとあきらめたような口調でつぶやいた。
「そんなコトしませんよ、だってファンですから…、ユカリン、ひとり暮らしでしょ…、ユカリンちで、ゆっくり話しませんか?」
勝利を確信したオレはこみ上げてくる笑いをこらえながら、耳をなぶるようにしてささやいてやった。
「…、わかっ、り、ました…」
うなだれた彼女にもう抵抗する気力はなさそうだった。タクシーを止めて彼女を先に乗せると、彼女は弱々しい声で自宅の住所らしい地名を告げた。タクシーの中でオレはドキドキしながら、彼女の肩を抱いていた。
タクシーが止まったのはごく普通のマンションだった。テレビ局の女子アナといっても普通のOLに毛が生えた程度の給料だろうし、入社4年目ならこんなモノだろうと思った。先にタクシーを降りると彼女が料金を払った。
別段セキュリティもなく誰でも出入りできるマンションだった。エレベーターに先に入ると彼女は8階を押した。妙に興奮して息が荒くなりそうなのを押さえるオレは、うつむく彼女をどう追い詰めるかを考えていた。
「どうぞ…」
部屋の鍵を開けた彼女はやっと口を開いた。オレは黙って彼女を先に押し込むと後ろ手にチェーン錠をかけた。
冷たい金属音にかすかに震えた彼女は、足先に手を伸ばしてハイヒールを脱ぐ。つきだした丸いお尻に手を出しそうになったが、かろうじて押さえてオレも靴を脱ぐ。
「本、見せて」
内装はシンプルで質素と言ってもよかった。リビングのソファにわざとドカッと座ったオレは、横に立つ彼女に無表情で言った。
「…、これだけは、信じて、初めてだったの…、出来心で…」
「いいから、本出せっ」
うつむいてふるえる彼女が言い訳するが、オレはわざと大声で怒鳴りつけてやった。
「ひっ…、これ…」
ビクッと震えた彼女は、あきらめたように震える手でカバンから本を取り出した。目に涙が溜まっているのが見えた。
「ユカリン、こういうのが趣味だったんだ…」
ソフトカバーの本をペラペラめくった。オールカラーのその本は最初から最後まで男の裸の写真ばかりだった。フンドシを着けているのはまだマシで、全裸で絡み合っている写真も多い。もちろんその気のないオレにとって、あまり気分のいいモノではなかった。
「おねがい…、このことは…」
横に立ったユカリンはガタガタふるえだした。てんかん患者のようでちょっと心配になるぐらいだった。目に涙をいっぱいに溜めた彼女は、泣き声混じりにそこまで言うとその場にへたり込んで嗚咽を漏らしはじめた。
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