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== 英語教師英梨2 ==

英語教師英梨2 (12)戸惑う直紀

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英語教師英梨2 目次

英語教師英梨2 (12)戸惑う直紀

はあっ…、出てった、…。
個室の外の様子をうかがって気配を消していた直紀は、佐藤がトイレから出て行くと便座に腰掛けて小さく息を漏らした。

逃げないと…。
英梨が目を覚ました気配はないし、今が逃げ出すチャンスだった。

えりせんせい…、ちょっとくらい、…。
こっそり個室から抜け出した直紀は、トイレを支配する重苦しい静けさが英梨の眠りの深さを示しているように感じた。美人教師の恥ずかしい寝姿をのぞく千載一遇のチャンスだと、英梨のいる個室を見つめてスケベ心を起こしていた。

タバコの臭い…。
そして静寂が支配するトイレには紫煙がかすかに漂っていた。耳を凝らして様子をうかがっていた直紀は、佐藤が何をしていたかだいたい見当がついていたが、まさか火を付けたままのタバコを英梨に投げつけていたことまではわからなかった。

消してけよ…。
その時は火も消さずに吸いかけのタバコを置いていった佐藤のだらしなさにあきれていた。

せんせい、ちょっとだから…。
佐藤のいた個室に入った直紀は洋式便座に足をかけて囲い板から顔を出した。

うはっ…、へっ…、な、なにしてんだ、あの女はっ、…。
脱いだパンティをヒザに絡めた英梨のしどけない姿にスケベな気持ちを昂ぶらせた直紀だったが、そのパンティにまだ火の付いたタバコが乗っていることに愕然とした。

せんせい、ヤケドしちゃうよ…。
満員電車で密着した英梨の柔らかいカラダの感触を思いだしていたスケベ心は、佐藤の陰湿なイヤガラセから英梨を救い出す使命感に変わった。

でも、どうする…。
エリに声をかけて起こすのが一番簡単だったが、そうすると自分がいてはいけない教員用女子トイレにいたことを知られてしまう。

…しか、ないな、…。
タバコの火はパンティを焦がしているし、一刻の猶予もないと感じた直紀は、囲い板を乗り越えてタバコを排除することにした。

…、ヤバイッ、…。
直紀は囲い板に手をかけてもう一度のぞいてみた。英梨の顔が上を向いていた。

見られたっ、おしまいだっ…、あれ?…。
慌てて直紀は頭を引っ込めた。ぐっと息を飲み込んだ直紀はカラダを緊張させて、英梨の悲鳴が聞こえてくるのを予想して、耳に神経を集中させた。しかしなんにも起こらない。直紀は佐藤と同じ轍を踏んでいた。

?…、なんだ…、やっぱり、寝てンじゃん、…。
しばらく待ったがやっぱり物音ひとつしない。直紀はおそるおそる囲い板から顔を出してみた。やはり英梨は上も向いているが、このときはもう少し冷静に英梨の顔を見ることができた。英梨のまぶたは閉じられていた。

「エリせんせい…、寝てたのか…、う…、…」
…、ヤバッ…、あれ?…、
つい気を抜いた直紀は口に出して言っていた。ハッとなって全身を緊張させて英梨を見つめたが、ぐっすり寝ている英梨は身動きひとつしない。

「はあ…!…、うっ」
なんだよ、…、やばいやばい…。
安心して若いカラダを弛緩させた直紀は、また大きなため息をついて慌てて口を押さえたが、それでも英梨はスヤスヤとのんきに寝息を立てていた。

英語教師英梨2 (13) につづく
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