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美人秘書美沙希 (6)依沙紀

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美人秘書美沙希 (6)依沙紀

「ふっ…」
コンビニでイヤらしい仕打ちを受けて妖しく女体を揺らす美沙希に股間のソレを固くした男は、小バカにしたような笑いを漏らすと突然手を引いて美沙希から離れた。

え…、終わり?…、ええっ…、もう、やだ、…。
湧き上がる官能に飲み込まれようとしていた美沙希は、離れていく青年に突き放されたような惨めな気分で落ち込むと、乱暴に雑誌を棚に戻してコンビニから出た。

「はあっ」
もう、どうしたいの…、いい加減にして、…。
欲求不満気味の怒りでカツカツとハイヒールの音を響かせる美沙希は、やはりついてくる青年をチラ見すると、いまいましそうに溜息を漏らす。

襲われちゃう…、の?…、わたし、…。
しかし簡単に湧き上がった怒りは簡単に収まった。人けのない薄暗い道を通って家路をたどる美沙希は、公園の茂みを横目に見て押し倒される自分を想像して怯えていた。

やだ、助けて、恐い…。
一定の間隔を保って近寄りも離れたりもしない青年に、ますます恐怖した美沙希は自然に歩調が早くなって、ついには駆け出していた。

「はあっはあっ、あ…、はああっ…」
ああ…、助かった、…。
何とか襲われる前に自宅のマンションにたどり着いた美沙希は、窓の明かりを見て安心すると小さく溜息を漏らし、エレベータに駆け込んだ。

「開けて、依沙紀、早くっ」
ゆっくりと開く扉ももどかしくエレベーターから飛び出た美沙希は、自分の家のドアにたどり着くと、バッグの中にカギを探しながら、妹の依沙紀をインターホンで呼んでいた。

「どうしたの?…、おネエちゃん」
のんびりした声でドアを開けた依沙紀の顔を見た美沙希は、
「ああっ、こわかったよおっ」
倒れ込むように妹のカラダに抱きついて玄関にへたり込んだ。

「そんなとこに座ってないで、入りなよ」
玄関の土間に座り込んだ美沙希の二の腕を抱えて立たせた依沙紀は、ドアから顔を出して外を確認してからドアを閉めてチェーンキーをかけた。

「へんな男が、ついてきて、こわかったよおっ…、あれ、出掛けるの?…」
ドアを閉めて振り返った依沙紀にまた抱きついた美沙希は、大きめの胸にすがりついて泣きそうな声を上げたが、家にいるときはラフな部屋着の依沙紀が、出掛ける格好をしているのに気付いて不思議そうに聞いた。

「へへっ、これからお客様が来るの」
じゃれつく姉の頭を優しくなでていた妹は、うれしそうに笑って応える。
「そうなの…」
依沙紀の来客はコレまで無かったことで、誰が来るのか見当もつかずに応えた美咲は、吐いてないのを意識して内マタにしゃがんでハイヒールを脱いだ。

「あ、来た」
美沙希が自室に戻ろうとすると玄関のチャイムが鳴って、嬉しそうな依沙紀がドアをわずかに開ける。依沙紀は来客を確認してから、チェーンキーを外してドアを開けた。

「いらっしゃい」
「え…」
依沙紀がニコニコして男を招き入れる。振り返って嬉しそうな妹の様子をうかがっていた美沙希が玄関に見たのは、さっきまでついてきたあの青年だった。

美人秘書美沙希 (7) につづく
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