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鬼龍院サセ子探偵事務所 (23)帰ってきたペロ

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鬼龍院サセ子探偵事務所 (23)帰ってきたペロ

「こんばんは」
真っ暗な池に消えていくクー氏を見送ったオレたちに誰かが声をかけた。

「ここです、わたし、ペロです」
振り返っても誰もいない。もう一度声がした方を見るとリトリバーがダラリと舌を出してハアハアと人なつっこい表情を見せていた。
「カワイイ、ワンちゃん」
さっきまで泣いていたことなどすっかり忘れた様に白メイド姿の陽菜がしゃがんで頭をなでる。

「カワイイお嬢さんですね、ではさっそくサービスを…」
半信半疑だったがレトリバーは人間の言葉をしゃべっていた。忠実な執事っぽい感じの声がして、ペロと名乗るリトリバーはしゃがんだニーハイの太ももの間に顔を突っ込んでいた。
「あんっ、やあんっ、だめえっ、ワンちゃんのエッチッ」
ペロと名乗る犬に股ぐらをペロペロされた陽菜は白レースミニスカを押さえて逃げ出す。

「おい、なんだ、おまえは」
陽菜をいつかモノにしようと思っているロリでペド鬼畜なオレは人語を操り破廉恥行為を働く犬畜生に血相を変えると、ふかふかしたカラダを慌てて取り押さえた。相変わらず新鮮なキュウリを握りしめる寄り目八頭身美少女は、ワンちゃんからサービスを受ける陽菜をうらやましそうに横で見ていた。

「え…、いけなかったでしょうか?…、ご主人様は、いつも喜んでくれますが…」
老練な執事を思わせる口ぶりの変態犬は悪い事をした意識が全くない。
「だいたい、なんでオマエ、日本語しゃべってんだよ」
温かくてふかふかしたカラダを押さえたオレはまずその根本的な問題から問いただした。

「ああ、これは私を捕まえた河童のような生き物に付けられたコレのおかげです、彼はこの装置で私から人間のことを色々聞き出そうとしましたが、私の知っていることと言えばご主人様のコトぐらいなのであまり参考にならなかったようですが…」
普通に会話する犬は首輪に付けられた装置を目配せする。どうやらコイツは地底人征服作戦の調査をするクー氏につかまっていたらしい。クー氏が地底に帰るのでコイツも解放されたのだろう。

「この装置は素晴らしいです、ご主人様に以前バウリンガルとかいうオモチャを付けられたことがありますが、アレでは全く意思疎通できませんでした」
変態犬は人間と話ができることが嬉しそうだった。

「おまえ、ペロって言ったな、オマエのご主人様は友美か?」
地底人の科学力なら犬と会話することも簡単なことだろうと納得したオレは、最初に声をかけられたときのセリフを思いだして聞いた。
「ああっ、アナタはご主人様のご学友の里美君ですね、ご主人様からロリコンのヘンタイ野郎だと聞いていますよ」
相変わらず執事っぽい話し方の犬から本当のこととは言え、自分の性癖を突きつけられるとなんとなくムカツク。

「ああっ、麻里さんもいらっしゃいましたか、先日はあんなに喜んで頂けて、ペット冥利に尽きます」
キュウリを握った麻里を認めたペロは紳士的な口調で麻里の恥ずかしい秘め事をバラし、なんだか自慢気だった。
「やだあっ、はずかしい…」
友美と一緒にペロのお世話になったらしい麻里は真っ赤になった顔を伏せてモジモジしていた。

「オマエ、しゃべりすぎだ、コレか、スイッチは」
清純そうな八頭身美少女が実は犬にペロペロされて悦ぶ趣味だったことに下半身がムズムズするが、これ以上コイツに話をさせるとヤバイことがすべて暴露されそうだ。
「ワンワン」
オレの勘は当たって首輪からぶら下げられた装置がOFFされた。ペロは言葉をしゃべらなくなって犬らしく吠えていた。

「オニイチャン帰ろう、ワンちゃんももうエッチなコトしちゃダメよ、オニイチャンがヤキモチ焼くから」
犬が人間の言葉をしゃべるというあり得ない光景など見てなかったような陽菜は、ペロをメッと叱りつけるとオレの手を引いて家路をたどりはじめた。

図らずもペロから羞恥責めされた着ぐるみ美少女はマゾ気な興奮をジリジリさせ、新鮮なキュウリをフサフサの手でギュッと握ってオレたちのうしろを申し訳なさそうについてきていた。

鬼龍院サセ子探偵事務所 (24) につづく
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