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鬼龍院サセ子探偵事務所 (22)美少女の涙

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鬼龍院サセ子探偵事務所 (22)美少女の涙

「実は、私は…、河童じゃありません…」
「ええっ、クゥちゃんじゃ、ないのっ?」
彼の告白にお気楽ロリ美少女があからさまに落胆した声を漏らす。

「すいません、お嬢さん…、私は地底人です、地上征服を計画する地底人軍隊の先発調査員なのです、本当の名前はクゥではなく地上人風に言えばリチャード・クーです」
正座した河童にしか見えない生き物は淡々とした語り口で、未知の知的地下生物による帝国主義的な膨張覇権主義的示威行動の先兵であることを告白した。

「コレは地上調査用の特殊スーツです」
緑色のぬめるスーツを脱いだクー氏はか弱い体型から数倍に巨大化していた。

この緑色のこじんまりしたスーツにどうやって押し込めていたのか理解不能なムッシュムラムラな岩石男リチャード・クー氏は、マッチョな堂々たる体躯の持ち主だった。物理法則を無視したような河童スーツはNAVY SEALSの潜水装備のようなモノらしい。これだけでも地底人が人間以上の高い科学力を持っている事が想像できる。

「よくわかんないけど、やっぱりクゥちゃんなんでしょ」
混乱するばかりのオレと同様やっぱり現実を理解してない陽菜だったが、筋肉バカの大山など足元にも及ばない岩石肌の巨人に怯える様子もなくまだクゥだと言い張っていた。
「陽菜、やめてとけ、それにクゥじゃなくてクーだって…」
こわいものしらずなロリ美少女の暴走をオレは怖じけながら食い止めようとした。

「お嬢さん、ウソついていて、スイマセンでした」
「胸が不自然に大きなあの女性につかまってしまって死ぬよりつらい仕打ちを受けていたときは、残忍で冷酷なくせに虚弱なカラダしか持っていない地上人を我が地底軍団の精鋭たちに根絶させて、残った男は奴隷か私たちの食糧に女性は地底人風に生体改造して慰み者にするコトだけを、生きる希望にしていました」
クー氏は地底人による地上人絶滅計画を教えてくれた。

「ずいぶんオドオドしてたけど…、凶悪なコト考えてたんだね…」
高度な科学力を持つ地底人の軍隊に蹂躙されてひねり潰される自分を想像したオレは、身震いしながらついツッコミを入れていた。

「しかしお嬢さんの優しい心の触れて、自分たち地底人の悪逆非道を思い知りました」
「地底本国には地上は有毒ガスが蔓延する地獄のような場所で、私たち地底人が生活するには全く適さないと報告しておきます」
モグラのように小さな目を潤ませた岩石巨人は、白メイド姿のロリ妹を見つめて笑ったつもりなのか岩石顔をゆがませていた。

「クゥちゃん、帰っちゃうの…、陽菜、さびしいよお」
岩石男の優しい気持ちに共感したのか、陽菜も泣き出して岩石のカラダに抱きついていた。
「でも…、私が帰らないと本国の軍隊が地上征服作戦を開始しますし…」
小さな目から一筋の涙をこぼした岩石男は白メイドのカラダを優しく抱きしめていた。さっきまで人類絶滅をたくらんでいた地底人とお気楽女子高生の奇妙で感動的なシーンだった。

「クゥちゃんには、大事なお仕事があるんだね…、陽菜、もうワガママ言わない…、でもまだイワシたくさんあるから、いっぱい食べていって…」
大きな目から涙をポロポロこぼしたロリ美少女は、ムリしてニッコリと笑顔を作っていた。
「はい…」
悲しげに肩を震わせる岩石男に、イボイボが新鮮なキュウリを握りしめたふかふかウサギな着ぐるみ麻里ももらい泣きしていた。

巨大な岩石のカラダを河童スーツに押し込んで数分の一の大きさに戻ったクー氏は、陽菜が楽しそうに投げるイワシにクチバシの口を四角にして嬉しそうにパク付いていた。

食事を済ませたクー氏はまた泣き出した陽菜の頭を優しくなでて、近くの池から地底に帰っていった。

鬼龍院サセ子探偵事務所 (23) につづく
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