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鬼龍院サセ子探偵事務所 (20)千載一遇が…

ろま中男3 作品リスト
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鬼龍院サセ子探偵事務所 (20)千載一遇が…

「オニイチャンお帰り、クゥちゃんいらっしゃい」
家に帰ると陽菜が白メイド姿で出迎えてくれた。その横ではウサギの着ぐるみを着た麻里がニコニコ笑って立っていた。

「ちょっと待て…、いいか、オレ、落ち着け…、まずその格好は何だ?…、それからなんでコレを見ても驚かないんだ?…、っていうかクーってなんだ?…、あと横にいるのは麻里だよな?…」
わざとらしい馴れ馴れしさで笑うロリ妹に、困惑の色を隠せないオレは疑問の限りをぶつけていた。
「オニイチャン、そんなに一度に聞かれたら応えられないよ、とりあえずこの格好はオニイチャンが喜ぶからそうしなさいって、サセ子サンに言われたの」
無表情に頭をかしげる陽菜はそのロリロリな姿がサセ子サンの指図だと告白した。

「あの女、ここに来たのか?」
いつの間に追い越されたのか全く気付かなかった。
「ううん、保健室から戻ったあとに来たよ、あ、それから、河童が今日泊まるからご飯の面倒見てね、って言ってた」
オレの問いかけに不思議そうな顔を見せたロリ美少女は、学校でサセ子サンから指示を受けたと応える。
やっぱり、ペロじゃない、ってわかってたんじゃないか…。
黒づくめの男たちのあからさまな暴力で強制的に告白させたが、やっぱりペロでないことを陽菜にはあっさりバラしていたこともオレのキレそうな神経を逆なでする。

さらに陽菜は午前中の学校でサセ子さんと会ったらしい。

でもオレは事務所で別れるまで一緒にいたからサセ子サンが陽菜に会いにいけたのはその後というコトになる。ということは小一時間と感じた時間はサセ子サンにはそのまま当てはまるわけで、そうすると事務所が光速に近い速度で移動していたというトンデモ仮説が成り立たなくなる。

超自然現象の連続でムーもびっくりな無茶苦茶な事態をかろうじて理論づけてムリヤリ納得していたのに、頭の中でガラガラと崩れ落ちる音がする。

「で…、クー、って?」
木っ端微塵に崩壊してそよ風でもどこかに飛んでいきそうな自我をなんとか留まらせたオレはとりあえず単純そうな問題からかたづけることにした。
「だって、河童でしょ、だったら、クゥちゃんじゃない」
どうやら陽菜は文科省特別選定作品に選ばれたアニメのことを言っているらしい。
「そうか、わかった、たしかにクゥだ…、でなんで麻里は着ぐるみなんだ?」
当たり前のように応えるその声にいろんな想いがこみ上げてくるのをグッと飲み込み、河童にしか見えないこの生き物のアイデンティティをサセ子サンばりに無視したロリ妹を、寛大な気持ちで許してやっと最後の疑問にたどりついた。

「カワイイでしょ…、ラブちゃん、突然人間になっちゃってビックリしたけど…、でもサセ子サンからコレ渡されてたから、今日一日、私のラブちゃんでいてくれるんだ」
それまでニコニコ笑ってオレたちの会話を見守っていた麻里に、陽菜が嬉しそうに抱きついた。麻里も着ぐるみの手で嬉しそうに陽菜を抱きしめていた。

「そうか…」
着ぐるみのショートヘア八頭身美少女はアンマッチな魅力を漂わせていたが、ウサギから人間に戻ったときは素っ裸だったはずでまたとないナイスな瞬間を見逃したことがショックだった。

「ご飯できてるよ、今日はたくさんで楽しいね」
脱力気味のオレは嬉しそうな陽菜に手を引かれてキッチンに連れて行かれた。その笑顔から母子家庭で家族の愛に飢えていた少女の気持ちがなんとなく伝わってきて、オレは納得できない諸々を忘れてなんだかしんみりしていた。

鬼龍院サセ子探偵事務所 (21) につづく
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