2ntブログ

== 鬼龍院サセ子探偵事務所 ==

鬼龍院サセ子探偵事務所 (19)すぐに発見

ろま中男3 作品リスト
鬼龍院サセ子探偵事務所 目次

鬼龍院サセ子探偵事務所 (19)すぐに発見

「落ち着いてコーヒーなんか飲んでていいの?」
強引に学校から連れ出されたオレは、サセ子サンの探偵事務所?でコーヒーを飲んでいた。

「いいのよ、ペロはもう見つかってるんだから」
脚線美を見せつける様にゆったりと足を組んでコーヒーをすするサセ子サンがネットリした色っぽい笑顔で応える。
「なんだよ、だったらオレ、学校にいてもよかったんじゃんっ」
うかうかと不思議美女についてきてまるで役立たずな自分に腹が立ってまたも大声を上げていた。
「だから興奮するならベッドの中で…、となり、行く?」
いきり立つオレに涼しげな笑みを絶やさない不思議美女は隣の部屋に目配せして大人の色香を漂わせる。

「もういいから、いるんなら連れてこいよ」
ムッチリしたナマ太ももに成熟した女体をよじって見せつけるサセ子サンを見ないようにして乱暴なセリフを口走ると
「もうせっかちなんだから…、入って」
オレをジッと見ながら思わせぶりに足を組み替えたセクシー美女が指を鳴らすと、ドアが開いてメンインブラックなサングラス背広二人が現れた。

「ええっ、典型的な日本的フォークロア妖怪っ、キターっ!!」
二人とオリバー君状態で手をつないでいた緑色の生き物はどう見ても河童だった。二人からサセ子サンに引き渡された河童にしか見えない生き物は、頭の皿を大事そうになでながらいじましい目でオレを見ていた。オレはついケータイを取りだして日本の代表的UMAを動画に収めていた。

「じゃあ、ペロ、今日は里美君ちに泊まってね」
ニコニコしてシナを作るサセ子サンが背中の甲羅を押すと、オドオドした態度で河童としか言いようのない生き物が近寄ってくる。
「何言ってンだよ、コレ、ペロじゃないだろっ」
こんな不気味な生き物を家に連れて行くのはカラダが生理的に拒絶していた。

「ペロよね」
サセ子サンがゆったり笑うと、河童らしき生き物は黒背広二人にタコ殴りされていた。
「ペロ…、です…、よ、よろしく、お願い、します…」
ボロ切れのようになってヨレヨレな河童らしい生き物はフラフラして立ち上がると、甲高い声を漏らしてオレに頭を下げる。

「しゃべったっ…、って、いいのかっ、それでっ」
人語を操る河童のような生き物に驚愕したオレだったが、限りなく強制的に言わされたセリフに同情もしていた。
「いいから、じゃあよろしくね」
オレの動揺を完全スルーしたサセ子サンは妖しい笑みを残して隣の部屋に消えていった。

まだ午前中だと思っていたが事務所を出ると外はもう暗くなっていた。ほんの小一時間しかいなかったような気がするのにすでに日没の時間とは体内時計が狂いまくりだが、昨日から数々の不可思議現象に遭遇したオレは動じなかった。

今朝は自分の部屋が宇宙空間に漂っていたぐらいだから、サセ子サンの事務所はきっと光速に近い速度で移動していたに違いないと相対性理論を持ち出して強引に自分を納得させていた。

「…アンタ、ホントにいいの?」
河童にしか見えない生き物を連れて歩くに日が沈んで暗いのは有り難いぐらいだったが、情け容赦ない迫害を目の当たりにしていただけにションボリと歩く彼に同情を禁じ得なかった。
「いいんです、私なんて、どうなっても…」
しょぼくれた生き物は夕陽が似合いそうな猫背気味な甲羅を見せて、自暴自棄なセリフをつぶやいていた。

鬼龍院サセ子探偵事務所 (20) につづく
ブログランキング ケータイの方はこちらから
ブログランキングバナー1日1クリックご協力をよろしくお願いします。
関連記事
┗ Comment:0 ━ Trackback:0 ━ 22:38:25 ━ Page top ━…‥・

== Comment ==






        
 

== Trackback ==

http://aosaga9.blog.2nt.com/tb.php/1922-68260bf4
 
Prev « ┃ Top ┃ » Next