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エロがきコナン (116)ドーナッツのオバケ

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エロがきコナン (116)ドーナッツのオバケ

「私は教頭に事情を説明しますから、綾瀬先生はコナン君と病院に行ってください」
校門に止まった救急車の周りに物見高い生徒たちで出来た人垣をかき分けて乱子を乗せると、江崎がまじめな顔でハルカに話しかける。

「わかりました、先生、よろしくお願いします」
ずいぶん奇妙な状況でだったが、愛の告白をされたハルカは完全に信頼しているようで、盗撮犯の片割れだった江崎に緊張した顔でうなずくと、カワイイ笑顔を見せた。

「どうなんでしょうか」
乱子が倒れたときの状況を一通り説明したハルカが、乱子を手当する救命救急士に心配そうに聞く。おれはただ乱子の手を握って、静かに目を閉じたキレイな顔を見つめていた。

「病院に着いてから、詳しく検査しますが、たぶん脳震盪だと思います、命に別状はありませんよ」
まだ20代にみえる若そうな青年は真面目そうな顔にかすかに笑顔を見せて応える。

「そうですか、よかった…、コナン君、毛利さん、心配無いって」
小さく息を吐いたハルカは、乱子を見つめるオレの顔をのぞき込んで優しい笑みを浮かべる。

「うん…」
ハルカの声を遠くに聞いていたオレは、それでも乱子がどこかに行ってしまいそうで恐くて、乱子の顔を見つめていた。乱子が目を覚ますまで絶対この手は離さないと心に誓った。

「コナン君…」
そんなオレをハルカがギュット抱きしめてきた。柔らかい大きな胸が押しつけられて背中があったかかった。両手で優しく抱きしめられてオレは自分が震えていることに気付いた。

「でも…」
実直そうな青年はそんなオレたちになんだか申し訳なさそうにつぶやいた。

「なんですか?」
青年の声にハルカが顔を上げて真顔で応える。
「いえ…、後で、医師から説明してもらいます」
しばし言いよどんだ彼はハルカから目をそらして医療機器類に視線を向けると、なにか書類に書き込んでいた。

それから沈黙が続いて、救急車は病院に到着した。救急口にはすでに看護師が待機していた。

「コナン君、手を離して」
乱子の寝るストレッチャーを看護師が引き出そうとすると、ハルカが気の毒そうにオレに声をかける。

「あ、大丈夫ですよ」
ハルカを無視してオレが黙って乱子の手を握っていると、若そうな看護師がハルカに軽く笑顔を見せた。
「おねえさん、一緒におろしてあげてください」
若い看護師はオレたちを姉弟だと思ったのか、ハルカにオレも一緒におろすように指示していた。

オレは乱子の手を握ったままハルカに抱えられて救急車を降りた。

ストレッチャーがカラカラと押されるのにオレは懸命についていった。救急車から状態を連絡されていたので乱子はERには運ばれずに、そのままMRIに連れて行かれた。

「お願い、コナン君は入れないから、手を離して」
放射線医療技師と看護師がストレッチャーから乱子を持ちあげようとして、ハルカがオレに懇願するように声をかける。

「…、うん…」
ハルカの言うことはもっともで、何も出来ない無力さをかみしめたオレは断腸の思いで乱子の手を離した。にじんだ視界で乱子の乱れたミニスカを直した看護師が毛布を掛けていた。

「こっちよ、コナン君」
大げさな機械の前で横たわる乱子を見つめるオレの手を取って、ハルカがとなりの部屋に連れて行く。

ガラス張りのとなりの部屋で乱子を乗せた台がゆっくりとドーナッツのオバケのような機械に吸いこまれていく。

「脳の損傷はなさそうですね」
しばらくすると画面に脳の輪切り映像が映って、それとにらめっこしていた放射線医療技師といつの間にか来た医者が話をしていた。

「よかったね、コナン君、毛利さん、大丈夫だって」
ドーナッツのオバケからゆっくり出てくる乱子をジッと見つめるオレの前で、ムッチリした太ももをひしゃげさせてしゃがんだハルカは、安心したような笑顔でオレを抱きしめた。

「うん…」
またハルカの暖かさに包まれたオレは、まだにじんだままの視界に静かに横たわる乱子を見つめていた。

エロがきコナン (117)につづく
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