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== 真央 ==

真央 (74)分身

ろま中男3 作品リスト
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真央 (74)分身

「もう、欲しくてたまらないんだろ」
全身から発情したフェロモンを発散してガマンの限界にいる真央に、沢村が笑いを含んだ声を漏らす。

「ああんっ、はあっ、もう、いっ、やっ、いやっ」
余裕綽々な態度ではぐらかす沢村にジラされた真央は、大きな目に涙を溜めて視線を泳がせながら、火照った体をもてあまして癇癪を起こしていた。沢村に切られて布きれになった服の絡んだ手がポカポカとたくましい胸板を叩く。

「そう…、じゃあ、彼女に変わって貰おうか」
駄々をこねる真央に沢村はいつもの落ち着いた声をかけると、ヘッドから立ち上がった。
「え…、ひっ…、だれっ?」
沢村が歩み寄る先に全裸の女性がいた。全く気配を感じてなかった真央は、お化け屋敷で幽霊に遭遇したように腰を抜かしかけて、うわずった声で誰何する。

「紹介するよ、真央ちゃんが私をほったらかしにしていた間、相手をしてくれたマオだ」
沢村が腰に手を回すとマオはうれしそうにしなだれかかる。さっきまで真央が抱かれていた胸に寄りかかるマオは、ウットリした視線で上目遣いに沢村を見つめている。ベッドに火照った体を横たえた真央はその風景を茫然と眺めていたが、下腹をチリチリ焦がす感情にかすかに顔をしかめた。

「マオ…、なの?」
食堂で男子学生たちがウワサしていたマオを目の当たりにして、自分の感情を移植したセクサロイドを身動きできずに見つめていた真央は、恐怖さえ感じて震えた声を漏らす。

「彼女は特製でね、真央ちゃんを寸分違わず再現してるんだ」
ベッドの横まで来た二人を見上げる真央は、マオを間近に見て沢村の言葉を理解した。マオは真央そっくりだった。どうやらエステシャンやヘアスタイリストに磨き上げられた時の真央を再現しているようで、自分と瓜二つの姿に動揺する真央の無意識下で、マオの匂い立つような艶やかな肌や輝くような髪の美しさが、嫉妬心を生んでいた。

「スゴイだろ、真央ちゃんにそっくりだ」
ベッドに腰掛けてマオをダッコした沢村が、目を見開いたまま表情の固まった真央と腕の中の美女と見比べながら、満足げにつぶやいた。

「マオ、好きだよ」
沢村のセリフからこの女性が作り物で、アンドロイドに嫉妬するなんてバカバカしいと頭では理解は出来る。しかし沢村の唇が白いあごを突き出してウットリする自分と同じ顔をしたマオの唇に触れた瞬間、
「やめてっ」
真央はふくれあがった嫉妬心で癇癪を炸裂させて叫んだ。

「あんっ、はあっ」
真央の絶叫が聞こえないようにマオは沢村の愛撫にセクシーな声を漏らす。それは真央がその時に漏らす声と全く同じだったが、録音した自分の声が他人の声に聞こえるように、真央はそのよがり声に嫌悪感を催して、
「やだっ、離れて」
二人の間に割って入っていた。

「そう…、じゃあ、マオ」
涙を溜めた目で見つめられた沢村は、小さく溜息をつくとマオに目配せした。
「ハイ、ご主人様」
沢村をウットリ見つめるマオは長いまつげを瞬かせてうなずくと、真央のあごに接吻した。

「ひっ、やっ、やだあっ」
沢村にダッコされていたマオが真央にハグして柔らかいカラダが触れる。形のいい乳房の先端が柔らかい弾力で真央のカラダを刺激する。首筋を愛撫する柔らかい唇に嫌悪感を覚えながら、真央はカラダの奥で熱い欲情の炎をくすぶるのを、いまいましくも悩ましく感じていた。

真央 (75)につづく
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