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== 真央 ==

真央 (52)美しい蝶

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真央 (52)美しい蝶

「私の意識がないときに、何したのっ?」
いつになく肌のツヤがいいことを不審に思った真央は、問い詰めるように沢村を見つめた。

またどこだかわからない場所で目を覚ました真央は不安に駆られて怯えた様子も見せたが、やっと落ち着いて、というより持ち前の気の強さが顔を出し、怒りという強い感情で自分を奮い立たせていた。

「だから、落ち着いて、大丈夫だから…、真央ちゃんをキレイにした看護師やネイリストやエティテシシャンの人たちは、みんな女性だし、私はもちろん、真央ちゃんに指一本触れてないから」
毛を逆立てるメスネコのような強い視線に後ずさった沢村は、言い訳がましい口調で説明する。

「エステシャン?…、うそ…」
イナカ出のどちらかというと貧乏学生の真央はまだエステに行ったことがなかった。都会のあこがれと同義だったエステを寝てる間に経験したことが何となく惜しい気がして、さっきの勢いをなくして言いよどむと、磨き上げられて輝くようなカラダをぼんやり見ていた。

やだ…、私…、寝てる間に…、恥ずかしい、…。
しかし沢村の言う通りだとすると、自分が寝ている間に看護師に体中をキレイにされたことになる。男たちにもてあそばれたオンナの部分まで寝ている間に洗浄されたのかと思うと、恥ずかしさで頬が熱くなる。顔を伏せた真央は、スケスケのシルクローブでほとんど見えている股間を思わず両手で押さえていた。

「…、ホントだ、キレイだよ」
真央の怒りが収まって安心したように表情を緩めた沢村は、思ったままを素直に口にした。最初の頃に比べたらずいぶん砕けた口調になっている。
「キレイ?…、そんな…」
キレイといわれてうれしくないオンナはいない。ついさっきあれほど怒りをあらわにした真央でも、頬がゆるみそうで顔を上げられなかった。

事実エスティシャンに磨き上げられたハタチのカラダは自分で見惚れるほど美しかった。真央はまだ気付いてないが髪もヘアマニキュアでキレイになっている。色こそつけてないが髪のハリとツヤが増して、それだけでも美人が2割増しになっている。だから沢村の言葉はお世辞でもなんでもなく、正直な気持ちだった。

「そうだ、鏡見る?」
真央のご機嫌な様子を見て気をよくした沢村は手鏡を差し出した。キレイになった真央を沢村は単純に喜んでいるように見えた。

これまた凝った装飾で値打ちモノらしい手鏡を慎重に受け取った真央は、
「!…」
わたし…、ホントに?…。
今まで見たことのない自分にしばらく声が出なかった。さなぎから美しい蝶に変身したと言っても過言ではない見事な変身ぶりだった。

普段から化粧っ気がほとんどない真央は、美人に違いないが少年の面差しを残していた。しかし鏡に映った真央はオンナの魅力を全開にした正統派美女だった。プロのメイクの威力をまざまざと見せつけられた気がした。

気の強い所もあるが真央もやはり普通の女の子だった。エステシャンやメイクアップアーチストやネイリストがよってたかって自分をキレイにしたと思うと、自分がセレブになった気がしてなんだか無性にうれしかった。沢村に対する警戒心もだいぶ薄れ、自然に頬が緩んでカワイイ笑顔になっていた。

「でも…、こんなことして、私をどうする気?」
すっかり気をよくした真央はニッコリ笑ってみせる。その笑顔には男を堕落させる妖しい色気が漂っていた。鏡に映る正真正銘の美女に、ご機嫌を通り越して有頂天になってしまった真央はつい軽口を叩いていた。

「ふっ…、キスしたいね」
真央のおふざけに乗った沢村は、言うのと同時に二枚目らしいスマートな所作で真央の唇を奪った。
え…、あん…、はああ、…。
その素早さに大きな目を見開いた真央は、しかしゆっくり目を閉じて沢村の優しいハグに身を任せていた。

真央 (53)につづく
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