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お天気キャスター(7)業界の掟

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お天気キャスター(7)業界の掟

「お願いだから、大声出さないでね、このスタジオ、他に人いるから」
なんとかふくらんだナニを納めた木村は、お気楽に笑う友里にまじめな顔で念を押した。

「はい、わかりました…、大きな声出して、ゴメンネ」
この人、スゴイ一生懸命…、なんか、友里、口説かれてるみたい、…。
切羽詰まったような声に笑いを含んだ声で応える友里は、真剣なまなざしで見つめられてほんわかした気分になっていた。

「キミはテレビ局のことよく知らないと思うけど、テレビ局って世間の常識とはずいぶんズレた所があるんだよ」
座るように勧められた友里が部材の積まれた上に腰掛けると、木村も横に座ってどこか遠くを見るような顔で話し始めた。

「この番組の看板MCの好崎美香さんだって、石田プロデューサーをあの美貌とカラダで誘惑してMCに収まったって話だよ」
新米ADの感情のこもってない声が、事務所の大先輩のスキャンダルを暴露する。

「え、ウソでしょ」
さっきあったばかりの美香がそんなコトをしているなどとはにわかに信じられない友里は、木村にすがりつくようにして聞き返していた。

「あくまでも、ウワサだけど、多分本当だよ…、テレビ局じゃよくある話なんだ…、みんな知ってるけど、誰もおおっぴらにはしない…、それがこの業界の決まりなんだ」
訴えかけるような目で見上げる友里をチラ見した木村は、残念そうな口調で続けた。

「でも…」
成功した大先輩を貶める言葉に抵抗したい友里だったが、木村の寂しそうな横顔を見ながら、会議室で会った美香の石田Pにすり寄るような態度に感じた違和感を思いだして、それ以上何も言えなかった。

「番組の最高権力者の醜聞をおおっぴらにしても、自分のクビが飛ぶのが関の山だしね…、モラルや常識に反することだとわかっていても、だれもそれを糾弾したりしない…、それに好崎さんは立派に結果を出してる…、誰も文句は言えないよ」
黙ってしまった友里を無視するように言葉を続けた木村は、言い終わるとやっと友里の方を見て、理解して欲しいと言いたげにうなずいた。

「そうなんだ…、でも、それとその…、と、なにか関係あるの?」
業界の暗い一面を知ってしまってショックを受けた友里だったが、木村の恥ずかしい姿となんの関係があるのか、単純な疑問を気安い気持ちでつぶやいていた。

「あ、それ…、それなんだけど…」
核心を突かれた木村はしばし言いよどんだが、また話し始めた。
「新人キャスターは、オレたちにご奉仕するのが暗黙のルールなんだ」
そこまで言って、木村は友里の様子をうかがった。

「友里、ご奉仕するの?」
木村の言わんとすることが全く理解出来ない友里は、オウム返しに聞いていた。
「石田Pがいい想いしても、誰も文句を言わないのはクビがコワイのもあるけど、その下の人間もおこぼれに預かるからなんだよ…、石田Pのすぐ下の人は美香さんみたいな、カラダを売ってでも売り込みたいベテランのキャスターが相手してくれるし、オレみたいな下っ端は新人のキミみたいなキャスターがあてがわれるんだ」
木村はナニも知らない友里に、ちょっと申し訳なさそうに説明した。

「??…、友里は、木村さんにあてがわれたの?…、友里はナニご奉仕するの?…」
木村の説明をほとんど理解してない友里は、純真な瞳を向けてロリっぽい声で聞いていた。
「そう…、小林真央さんも、キミのところの先輩だろ…、オレ、あの人がデビューしたての頃に、してもらったことがあるんだ、すぐに人気が出たから、オレの相手はそれっきりだったけどね」
汚れのない乙女の視線に、木村は申し訳なさそうに説明を続けた。

「真央さんが…、ナニをしたの?」
木村の言わんとすることは何となく理解出来るが、いかんせん処女の友里には具体的なイメージが浮かんでこなかった。木村の言わんとする淫靡なイメージが全くない友里は、小学生が質問するように単純な疑問を口にしていた。

お天気キャスター(8) につづく
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