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== 女子校生由貴 ==

女子校生由貴 (259)優しい想い出

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女子校生由貴 目次

女子校生由貴 (259)優しい想い出

「ご主人様、ありがとうございます」
生理用パンティをはいた由貴は、また辺りを見回して誰も見てないことを確認すると恥じらいながらミニスカを持ちあげて、おへその近くまで覆ったコットンの生地をタダシに見せた。

「…、そんなみっともないパンツ、見せんなって、言ってるだろ」
思ったよりオシャレなサニタリーショーツにドキドキしたタダシは、カワイイ笑顔を見せる生理中の由貴に、バイ菌が入りやすい、という言葉を思いだして欲情するのが悪いみたいな気がして、乱暴な口調でそっぽを向いた。
「あう…、すいません、でした」
もう、終わったから、いいのに、…。
タダシが喜ぶと思って思い切って恥ずかしい思いをした由貴は、タダシの冷たい言葉にガックリした。

「いくぞ…」
落ち込む由貴に罪悪感に襲われてよけいに態度を固くしたタダシは自転車にまたがった。
「あ…、まって、ください」
走り出したタダシに焦った由貴は自転車にまたがっていつもの天然パンチラをすると、もうだいぶ先で自転車をこぐ背中を追いかけた。

いつもの場所に着いたタダシは、自転車から降りて由貴が追いつくのを待っていた。
「ごめんなさい…」
やっと追いついた由貴も自転車から降りて、呼吸を整えるカワイイ吐息を漏らしてタダシの横に寄り添うように立った。

「…」
吐息に合わせてかすかに肩を揺らす美少女が急にどうしようもなくいとおしく感じたタダシは、じっと由貴の横顔を見つめていた。
「?…、なんですか?…」
ご主人様?…、何考えてるの?…、ここでエッチは…、できないよね、…。
じっと見つめるタダシに由貴はあらぬ想像を巡らせながら、カワイイ笑顔で見上げた。

「…、あした、駅で待ってるから、お父さんと一緒に来い」
抱きしめたくなる衝動を抑えたタダシは、それだけ言うと自転車に乗って走り出した、
「あ…、はい…」
?…、ご主人様、お父さんと、一緒に電車、乗りたいの?…。
お父さんと、仲良くなりたい、のかな?…。
あ…、お嬢さんを、ください…、なんてね…、無いよね、えへへっ…。
自転車をこいで小さくなっていく背中をぼんやり見ながら、由貴は想像をふくらませて一人でニヤニヤしていたが、
…あ、早く、帰らないと、…。
また帰りが遅くなって八重子がお冠なのを思いだして、あわてて自宅に向かった。

「ただいま…」
家についた由貴は八重子の機嫌を伺うように声をかけた。
「…、お帰りなさい、ごはん早く、食べちゃいなさい」
台所から八重子の声がした。思ったより怒っている声じゃないのに安心した由貴は
「うん…、着替えてくるね」
トントンとリズミカルな音をさせて階段を上がり、自分の部屋に向かった。

「ただいま…、あ…」
…、あ、散ってる、…。
ドアを開けて桜の小枝に挨拶した由貴は、花びらが散っているのを見て悲しくなった。
ご主人様が、くれたのに、…。
冷静に考えれば4日経っているのでずいぶん長持ちしたものだが、タダシがくれた優しい気持ちが一つ消えた気がして、机に落ちた花びらを見ているうちに涙がこみ上げてきた。

「…、もしもし、ご主人様ですか…、桜が、桜の花が…、散っちゃいました、ゴメンなさい」
ご主人様…、ダメな由貴を、叱って、…。
桜が散ったのは自分がちゃんと面倒を見なかったのが悪いような気がして、自分を責めた由貴は無意識にケータイをかけてタダシにあやまっていた。

「何、言ってんだ…」
学生服を着替えて由貴の部屋を覗こうしていたタダシは、由貴から電話がかかってきてちょっとビビッたが、突然わけの分からないこと言う由貴に呆れた声を漏らした。
「はあっ、ああっ、あの桜か…、今日まで保ってたのか…、長持ちしたな」
望遠鏡を覗いて由貴の姿を確認したタダシは、あの桜の小枝のことだと思いだして、ずいぶん長持ちしたことに感心していた。

「ご主人様が…、せっかく、くれたのに…」
ご主人様が、早起きして、取ってきてくれた桜、だったのに、…。
タダシの声を聞いてよけいに申し訳ない気持ちが強くなった由貴は、ポロポロ涙を流していた。
「おい、泣いてるのか…、バカか…、桜なんて、すぐ散るんだから、しょうがねえだろ」
ケータイから漏れる声が泣き声になってまた呆れたタダシだったが、ここで怒ったらよけいに泣き出すような気がして慰めていた。
「ご主人様、ゴメンなさい…」
由貴が、悪いのに…、ご主人様、優しい、…。
タダシが許してくれた気がして少し気持ちの軽くなった由貴だったが、また謝っていた。

「…、そんなに惜しいなら、押し花かなんかにすれば、良かっただろ」
ケータイから漏れる嗚咽にいい加減イライラしてきたタダシが、投げやりに言うと
「あう…、ゴメンなさい」
そうか…、でも、押し花にしたら、…、あ…。
押し花にしたら桜を殺してしまうような気がして、そんなことはハナから考えてなかったが、生徒手帳を出した由貴はあの日セーラー服に紛れ込んでいた桜の花びらを眺めた。

「…、ご主人様、ありがとうございます」
これなら、ずっと、取っておける、…。
机に落ちた花びらを大事につまみ上げた由貴は生徒手帳にキレイに5枚の花びらを並べると、あのときの花びらも置いてゆっくりと閉じた。生徒手帳を大事そうに胸にいだいた由貴は、うれしそうな声でケータイに話しかけた。

「?…、ああ、そうか…」
急に明るい声に変わったわけがわからないタダシは、曖昧に相づちを打っていた。

女子校生由貴(260) につづく
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