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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 2話(7)

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交渉人涼子2 2話 銀行(?)立て籠もり事件
(7) 出動

あわただしくラブホを後にした涼子たちは、まだラッシュで混雑する道を疾走して特別班別館に着いた。門衛の制服警官は敬礼しながら、ナイスバディのキレイな曲線をくっきりと見せるレザースーツに鼻の下を伸ばしていたが、山田のにらむように視線を感じて顔を伏せると制帽のツバに顔を隠した。

「…おい、涼子」
涼子は席に着く間もなく課長に呼ばれた。たいして遅れたわけではないが、ラブホにしけ込んでいたという後ろめたさがあった涼子は、心持ち重い足取りで課長席に向かった。
「事件だ、行ってくれ」
涼子の逡巡などお構いなしに、課長は出動を命令した。
「はい」
朝一の出番に、表情をきりっとさせた涼子は、
「…で、何があったんですか?」
課長の次のセリフをうながした。

「…銀行立て籠もりだそうだ、急いでいってくれ、…詳細は現地で聞いてくれ」
課長に追い立てられて涼子があわただしく装備を身につけている間、課長は山田を呼んで場所を説明した。
「ご苦労様です」
押っ取り刀で飛び出す涼子と山田を、愛が意味ありげに笑って見送った。山田の運転で事件現場に向かう覆面パトは、しかしまだ混雑する朝のラッシュにつかまって足止めを食っていた。

「…パトライト、付けますか?」
チョット焦れた山田が涼子に聞いたが
「この状態じゃ、変わらないわね」
数珠つなぎになった車を忌々しそうに見て涼子はつぶやいた。せっかくバイクで来たんだから、と後悔したが後の祭りだった。

「…えっ、あれっ?!…」
涼子たちの覆面パトの横を見覚えのあるスクーターが通り過ぎた。ピンクのヘルメットをかぶったミニスカポリスが乗っていた。
「なんですか」
涼子のダイナマイトバディをくっきり見せるレザースーツに見とれていた山田が、間の抜けた声を漏らしたときにはそのスクーターはすでに見なくなっていた。

「お待ちしてました」
数十分後、現場に着いた涼子は照れ笑いを浮かべる愛の出迎えを受けた。
…、やっぱり、…。
途中で通り過ぎたスクーターはやはり愛だった。昨日のようなメイド服では無いが制服のスカートがずいぶん短い気がした。昨日お手柄だった愛に涼子は出し抜かれた気がして、心のどこかでやっかみを感じていたのかもしれない。
「ねえ、…」
高校生でも通りそうなカワイイ笑顔を見せる愛を、
寒くないの?…。
いぶかしげに見た涼子はスカートの短さを指摘しようとしたが、なんだか口うるさいお局OLのような気がして黙ると
「…、犯人はあそこです」
愛が指さす先に小さな郵便局があった。大きな窓から女子局員を楯にしたしょぼくれた中年男が見えた。

「…銀行じゃなかったの?」
頭頂部の薄くなった中年男性に、チョット気抜けした涼子がつぶやくと
「ゆうちょ銀行、立て籠もり事件だそうですよ」
すぐに愛が応えた。先に現場に着いて情報を仕入れていた愛は、ちょっと自慢げな笑顔で事件の概要を説明してくれた。

「…、ちゃんと課長から許可貰ってますから…、実は私、刑事志望なんです」
部外者に情報を漏らしていいのか、と不審気な涼子だったが、愛は課長から許可を貰って涼子チームの一員だと名乗ったらしい。ニコニコとカワイイ笑顔を見せる愛に、
はあっ、…。
涼子はため息をついた。

交渉人涼子2 2話(8) につづく
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