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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 1話(5)

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交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 1話 交渉人涼子、再び
(5)久しぶりの職場

休職前のようにバイクで出勤することも考えていた涼子だったが、涼子が激しくライディングするダンデムシートで何度も死ぬような目に遭って、バイクは危険だと思い込んでいる山田が、涼子の体を心配して一緒に通勤したいと駄々をこねたため、電車通勤にした。

久しぶりに見る特別班別館は全く変わらず、門衛に立つ制服警官も、1年ぶりに見る涼子の顔に相好をくずしてうれしそうに敬礼した。涼子は答礼しながら、ニヤける制服警官をとがめるように苦笑してウインクした。ヤニ下がった彼は敬礼の姿勢のまま振り返って、美しい姿勢で階段をあがる涼子の後ろ姿に見惚れていたが、ミニスカでないことだけが残念だった。

「涼子、戻ってきたか、また乳がデカくなったんじゃないか」
ニコニコと涼子を迎えた笹野は、その手でしっかりとスラックスのお尻をなでていた。
「結婚したら、やめる約束でしたよね」
それを見た山田が笹野のイヤラシイ手を押さえようとすると、その前に涼子が軽くひねりあげていた。
「そうです、笹野さん、困ります」
山田は行き場のなくなった手をもてあまし気味に笹野に抗議した。

「いてて、…いいじゃないか、老い先短いジジイに、少しくらい楽しみをくれても…」
手首を押さえた笹野は、シワクチャの顔で残念そうにつぶやいた。
「ダメです、私は人妻です」
きりっとした顔を見せた涼子に、金魚のフンのようにつきそう山田がうれしそうに顔をゆるませた。
「人妻…、言い響きだな、浮気は結婚したモノしか出来ん大人の楽しみだぞ」
セクハラジジイの本性さらした笹野に、山田は不満そうな顔を見せたが
「私は夫を愛してますから、浮気なんてあり得ませんね」
綺麗なスタイルを見せつけるように、すっくと立った涼子はきっぱりと言い切った。涼子のセリフに山田は幸福感いっぱいの笑顔を浮かべていた。

「…涼子、良く帰ってきたな」
すっかり特別班の課長として板についた佐々木が、涼子に笑顔を向けた。
「今日から、また、よろしくお願いします」
不動の姿勢を取った涼子が敬礼すると、課長もまじめぶった顔で答礼した。すぐに佐々木の顔が柔和な表情になって、涼子も優しい笑顔を見せた。山田の負傷事件以来、課長に対する信頼を深くしていた涼子は、結婚式の仲人も課長に頼んでいた。
「…まあ、しばらくは勘を取り戻す意味でも、のんびりしてくれ」
産休後の涼子を気遣って、佐々木は優しい言葉をかけた。
「お言葉に甘えて、と言いたいところですが、事件があればすぐに出動させて貰います」
佐々木の心遣いをうれしく思った涼子だったが、ニッコリ笑って応えた。

「…そうか、まあ、がんばってくれ、そうだ弥生君の代わりに来た愛君だ」
やる気満々の涼子に苦笑した佐々木は、事務担当の愛を紹介した。
「井上愛です、涼子先輩のお噂はいろいろ伺ってます」
伝説の交渉人を前に、緊張気味に敬礼をする愛に
「私も山田からあなたのことは聞いてたわ、1年のブランクがあるし、いろいろ教えてね」
軽く答礼を返した涼子は、優しく笑った。愛は歳の近い山田と仲がいいようだが、既婚者に手を出すような非常識な人間ではないと、山田から聞いて安心していた。

「山田さんには仲良くして貰ってます、なにかお役に立てることがあれば、なんでも言ってください」
涼子の笑顔に愛は緊張が解けたようで、カワイイ笑顔を見せていた。
「その時は、よろしくね」
はっきりと受け答えする愛に涼子は好感を持った。

前の日に山田がキレイに掃除して整理整頓された机についた涼子は、イスに深く腰掛けて背筋を伸ばすと大きく息を吸った。ゆっくりと息を吐きながら、現場の空気を味わった涼子は、
帰ってきた、…。
現場に戻った実感を噛みしめて、きりっとした表情を見せた。

交渉人涼子2 1話(6) につづく
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