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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 1話(4)

ろま中男3 作品リスト
交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 1話 交渉人涼子、再び
(4)朝餉

「…耕太さんも、早く支度して」
涼子の乳房に見とれていた山田に、涼子は困ったように笑った。
「あっ、すいません」
いつまで経っても涼子に対する丁寧語が抜けない山田は、まだ元気にそそり立つ息子をパンツに押し込むとスーツを着込んだ。涼子はスラックスのスーツ姿で鏡に向かって薄化粧を済ますとグロスリップを引いていた。

もう、いいんだった、…。
結婚前はスカートを履いていくのが山田に対するOKのサインだったが、もうそんなサインを使う必要がないことを、クローゼットをのぞいたときに考えていた涼子だったが
「…今日はスカートじゃないんですか」
鏡に向かう涼子に、そんな考えを見透かしたように山田が聞いてきたので
「そうよ」
涼子は心持ち頬を染めて応えた。

「…お母さん、これ茉莉が起きたら、お願いね」
涼子は朝餉の支度をする母の喜久恵に、母乳を入れたほ乳瓶を渡した。
「はい…、わかったわ」
朝食の支度をする喜久恵は、手を止めてほ乳瓶を受け取ると冷蔵庫に入れた。
「…昨日はよく眠れた?」
ニッコリ笑って聞かれた涼子は、喜久恵をチラ見してかすかに頬を染めて黙っていた。

「お母さん、スイマセンね」
朝食のテーブルに着いた山田は、喜久恵が作る朝食を前に恐縮していた。
「涼子の手料理の方がいいでしょうけど…、耕太さん、いっぱい食べてね」
姑であり、養子縁組して義母にもなった喜久恵は、優しく笑って山田にご飯をよそった。
「そりゃ、涼子さんの方が…、スイマセン、いただきます」
つい口を滑らせた山田は照れ笑いを浮かべてご飯をかき込んだ。

「…ほら、涼子も早く食べなさい」
お茶碗にご飯をよそった喜久恵が、涼子に手渡した。
「ありがと、…、お父さんは?」
背筋を伸ばしていただきますと手を合わせた涼子は、ここにいない父を聞いていた。
「…、茉莉と一緒よ」
奥の和室で茉莉と一緒にまだ布団のなかにいる泰造に、喜久恵は苦笑して応えた。

朝食を終えた涼子と山田を、喜久恵は玄関で見送っていた。
「…ほら、パパとママにバイバイは」
いつの間にか布団を抜け出した泰造が、茉莉を抱いて立っていた。
「茉莉ちゃん、パパは今日もガンバッテきまちゅね」
祖父に抱かれてご機嫌ではしゃぐ茉莉に、山田は親バカ丸出しの顔で笑っていた。
「…茉莉、イイ子にしててね」
涼子は愛児とのしばしの別れに乳房がきゅんとしたが、ニッコリ笑った。普段から祖父母に慣れている茉莉は、母との別れに泣き出すこともなく上機嫌にはしゃいでカワイイ笑顔を見せていた。

「気をつけてな」
「気をつけてね」
茉莉が振る紅葉のような手に送られて玄関を出る涼子と山田の背中に、両親の声がしみじみ響いた。

交渉人涼子2 1話(5) につづく
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