2ntブログ

== 大学教授美穂 ==

大学教授美穂 (66)駆け引き

ろま中男3 作品リスト
大学教授美穂 目次

大学教授美穂 (66)駆け引き

「私は…、抱かれた…、後藤に…」
「私は…、喜びを…」

「やめてください、何で、そんなこと言うんですか」

真っ直ぐ見つめる真田を上目遣いに見る美穂は、
まぶしそうな顔で赤裸々な気持ちを吐露した。

うだつの上がらない万年助手に抱かれて、
喜びの表情を浮かべる美穂を想像した真田は
いたたまれなくなって声を荒げると、
無意識に美穂の告白をかき消そうとしていた。

「許して…、今、言っておかないと、私は…」
「ずっとあなたを、だまし続けることになる…」

「あなたに告白される前だけど…」
「あなたの気持ちを裏切ったことに、変わりないから…」
「だから、言ったの…」

無表情に見つめる真田の視線にゾクゾクしながら、
美穂は正直な気持ちを吐きだしていた。

「…」
美穂の言葉の意味を理解しても、
その言葉の裏に後藤に対する気持ちを感じて、
納得出来ない真田は、とりあえずいすを直して座ると、
残りのアイスコーヒーを一気飲みして、
ドンと大きな音を立ててマグカップをテーブルに置いた。

「…、嫌いになった?…」
「結婚の話…、無かったことにする?…」
静かな部屋にマグカップの鈍い思い音がして
緊張で身を固くした美穂は、
申し訳なさそうにつぶやいた。

後藤とのことを告白してしまった美穂だが、
やはり真田を失いたくなかった。
真田は何を言っていいかわからずに、
黙って美穂を見つめていた。

「さっきも言ったけど…」
「あなたがしたいときだけ、来ていいんだから…」
「結婚なんかに、縛られるコトはないのよ…」

無表情に見つめる真田に愛想を尽かされたと感じた美穂は、
悲しそうに笑いながら、
真田を失いたくない本心とは裏腹の言葉をつぶやいていた。

悲しい笑顔が目を細めた拍子に、涙が一粒こぼれた。

「…、何で泣くんですか?」
やっと口を開いた真田は、
平板な声を漏らしてじっと美穂を見つめた。

「泣いてないわ…」
目尻に小指を当てた美穂は顔を伏せた。
かすれた声は今にも泣き出しそうだった。

「何で泣くんですか?」
ゆっくり立ち上がった真田は、
うなだれる美穂の肩をつかんで引き上げ、美穂を見つめた。

「…、見ないでっ」
真田の意志のこもった目が迫ってきて、
美穂は思わず両手で顔を隠した。

「…、話はわかりました…、ボクを見てください」
後藤に美穂が抱かれたことは納得できないが、
それ以上に真田は美穂を手放したくなかった。

「教授を好きな気持ちは変わりません」
本心からそう言った真田は、美穂を抱きしめた。

「許してくれるの?…」
きつく抱きしめられた美穂は、
目尻から涙をこぼしながら、
かすれた声で聞いていた。

「許すも、許さないもないです…」
「それに教授は後藤さんにムリヤリ…、だったんでしょ」
真田は腕の中の温かい美穂のカラダを
手放したくないと痛切に感じていた。
真田は後藤を悪者にすることで
美穂のあやまちを飲み込もうとしていた。

「そうよ、私には今、あなただけよ…」
抱きしめられて真田の顔が見えない美穂は、
後藤の抱かれて官能の喜びを感じていた自分を
偽る罪悪感からなんとか逃れていた。

「だったら、問題ないです…」
抱きしめた手をゆるめて美穂の顔をのぞき込んだ真田は笑った。
しかしその笑顔にはかすかな翳りがあるのを美穂は見逃さなかった。

「ムリしないでね…、ホントにしたいときに、来てくれるだけでいいのよ」
その微妙な表情を真田の拒絶と受け取った美穂は、
甘える気持ちもあってスネたようにつぶやいた。

「じゃあ、させてください…」
後藤のことをムリヤリ飲み込んだ真田は、
スネる美穂にチョットだけムカついて
バスローブを乱暴にはだけた。

大学教授美穂 (67) につづく
ブログランキング ケータイの方はこちらから
ブログランキングバナー1日1クリックご協力をよろしくお願いします。
関連記事
┗ Comment:0 ━ Trackback:0 ━ 18:03:34 ━ Page top ━…‥・

== Comment ==






        
 

== Trackback ==

http://aosaga9.blog.2nt.com/tb.php/1196-571d4cf4
 
Prev « ┃ Top ┃ » Next